世界の羊の毛生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2014年度の世界羊毛生産量ランキングによると、最大の生産国は中国で459,564トンに達し、次いでオーストラリア（350,546トン）、ニュージーランド（152,480トン）が上位に続いています。上位3カ国だけで、世界全体の羊毛生産量の大部分を占めていることが分かります。また、インドやイギリス、イラン（59,997トン）などもランキング上位に位置しています。一方で、北欧諸国や小規模な経済国では生産量が非常に少ない傾向にあります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	459,564
2	オーストラリア	オセアニア	350,546
3	ニュージーランド	オセアニア	152,480
4	イギリス	ヨーロッパ	67,426
5	イラン（イスラム共和国）	アジア	59,997
6	トルコ	アジア	58,403
7	モロッコ	アフリカ	57,771
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	56,409
9	インド	アジア	48,140
10	アルゼンチン	南アメリカ	45,988
11	南アフリカ	アフリカ	45,200
12	パキスタン	アジア	44,100
13	トルクメニスタン	アジア	38,564
14	カザフスタン	アジア	37,779
15	アルジェリア	アフリカ	36,776
16	ウルグアイ	南アメリカ	35,755
17	ウズベキスタン	アジア	34,006
18	インドネシア	アジア	28,000
19	スペイン	ヨーロッパ	23,213
20	シリア・アラブ共和国	アジア	19,341
21	アゼルバイジャン	アジア	16,784
22	イラク	アジア	16,707
23	モンゴル	アジア	16,059
24	アフガニスタン	アジア	15,227
25	アイルランド	ヨーロッパ	14,031
26	フランス	ヨーロッパ	14,014
27	アメリカ合衆国	北アメリカ	12,111
28	サウジアラビア	アジア	12,045
29	ドイツ	ヨーロッパ	12,011
30	ブラジル	南アメリカ	11,851
31	キルギスタン	アジア	11,806
32	エジプト	アフリカ	11,005
33	チュニジア	アフリカ	10,678
34	ペルー	南アメリカ	9,975
35	リビア	アフリカ	9,717
36	イエメン	アジア	8,234
37	エチオピア	アフリカ	7,939
38	イタリア	ヨーロッパ	7,807
39	ギリシャ	ヨーロッパ	7,666
40	チリ	南アメリカ	7,514
41	タンザニア連合共和国	アフリカ	6,824
42	タジキスタン	アジア	6,776
43	ポルトガル	ヨーロッパ	5,801
44	メキシコ	南アメリカ	4,936
45	ヨルダン	アジア	4,311
46	コロンビア	南アメリカ	4,156
47	ノルウェー	ヨーロッパ	3,943
48	ハンガリー	ヨーロッパ	3,887
49	レソト	アフリカ	3,654
50	オランダ	ヨーロッパ	3,191
51	アルバニア	ヨーロッパ	3,117
52	セルビア	ヨーロッパ	2,687
53	ウクライナ	ヨーロッパ	2,602
54	ブルガリア	ヨーロッパ	2,542
55	レバノン	アジア	2,435
56	バングラデシュ	アジア	2,300
57	ジンバブエ	アフリカ	2,294
58	ケニア	アフリカ	2,117
59	グルジア	アジア	2,100
60	モルドバ共和国	ヨーロッパ	1,947
61	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	1,874
62	ナミビア	アフリカ	1,584
63	アルメニア	アジア	1,477
64	エクアドル	南アメリカ	1,350
65	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,308
66	カナダ	北アメリカ	1,289
67	エリトリア	アフリカ	1,216
68	イスラエル	アジア	1,103
69	パラグアイ	南アメリカ	1,076
70	オーストリア	ヨーロッパ	1,042
71	ポーランド	ヨーロッパ	997
72	クロアチア	ヨーロッパ	941
73	北マケドニア	ヨーロッパ	829
74	スロバキア	ヨーロッパ	768
75	アイスランド	ヨーロッパ	714
76	ミャンマー	アジア	697
77	クウェート	アジア	609
78	ネパール	アジア	588
79	スイス	ヨーロッパ	560
80	マリ	アフリカ	307
81	キプロス	アジア	247
82	チェコ	ヨーロッパ	239
83	モンテネグロ	ヨーロッパ	238
84	リトアニア	ヨーロッパ	236
85	デンマーク	ヨーロッパ	164
86	マレーシア	アジア	159
87	スロベニア	ヨーロッパ	156
88	スウェーデン	ヨーロッパ	156
89	ラトビア	ヨーロッパ	153
90	エストニア	ヨーロッパ	134
91	ベラルーシ	ヨーロッパ	112
92	フィンランド	ヨーロッパ	80
93	マルタ	ヨーロッパ	26
94	ルクセンブルク	ヨーロッパ	17
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2014年度のデータに基づき、世界の羊毛生産量の現状を把握することができます。羊毛はテキスタイル業界の重要な原材料として、衣服やカーペット、その他の製品に幅広く利用されています。このランキングは、各国の牧羊業および関連産業の規模や発展度を反映しており、地理的条件や社会経済的要因が大きく影響を及ぼしていることが分かります。

中国が1位として他国を圧倒している理由の一つには、広大な土地と多様な気候条件が挙げられます。これらは、羊の繁殖に適した環境を提供するとともに、大量生産を可能にしています。また、中国は国内のテキスタイル産業が発展しており、羊毛の需要も多いことがポイントです。一方で、オーストラリアは長い歴史を持つ羊毛生産国として、国内外問わず高品質なメリノウールの供給で名高い国です。ニューサウスウェールズ州やビクトリア州といった主な生産地では、高い生産性を誇り、2位の座を維持しています。ニュージーランドもまた、羊の飼育に適した環境と効率的な生産システムを有しており、世界的な羊毛輸出国として重要な役割を担っています。

ランキングの下位を見ると、北欧諸国や中東・アフリカのいくつかの国々では生産量が非常に少ないです。これら地域は、地理的条件や経済規模、人々の主な生活基盤が羊毛生産には向かないことが影響していると見られます。例えばスウェーデンやフィンランドといった北欧諸国では、厳しい冬の気候も飼育に適した条件とはいえず、国内産業として羊毛生産は小規模に留まっています。

興味深い点は、国際的な紛争や経済制裁などの地政学的なリスクが特定地域の羊毛生産に与える影響も無視できないということです。たとえば、シリアやイラクでは2014年時点の地域紛争が農業生産に悪影響を及ぼし、羊毛生産量が制約されていると考えられます。また将来的には気候変動への対応も重要な課題となるでしょう。気候変動が羊の生育環境に変化をもたらすことで、生産地の移動や全体的な生産量の減少が懸念されています。

日本での羊毛生産は少量に留まり、自給率が低いことを踏まえ、国内での羊毛資源の増産を進めるべきかは重要な検討課題です。ただし、日本の限られた土地や気候条件は、効率的な羊の飼育には必ずしも適しているわけではありません。そのため、輸入に頼った安定的な供給経路の確保や、品質面の規制を設けることに注力することが現実的です。一方、高品質なニッチ市場を対象に、国内生産者が伝統的な和毛織物や高付加価値製品を育成する道筋も検討されるべきです。

全体を通して、羊毛生産は各国の経済基盤や地理的条件に支えられた産業であるとともに、気候変動や紛争など地政学的リスクの影響を受けやすい点が見て取れます。今後の国際的な課題として、持続可能な牧羊業の構築に向けた技術革新の促進、環境への負荷軽減を図る取り組み、そして国際協力を基盤とした輸出入の安定性向上が必要とされていくでしょう。これは、羊毛市場の安定化だけでなく、地域間の経済格差の是正や、農村部の発展にも寄与する方向性となります。