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イタリアのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、イタリアのキャベツ生産量は1961年には約81万トンを記録した後、長期的に減少傾向が続いています。特に2004年以降、生産量は30万トン台を中心に推移していますが、2018年以降は40万トン前後での回復も見られます。一方で、各年の変動は天然資源の利用や気象条件、農業政策の影響を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 396,700
-1.78% ↓
2022年 403,890
-2.32% ↓
2021年 413,500
-1.7% ↓
2020年 420,630
-8.12% ↓
2019年 457,810
3.18% ↑
2018年 443,680
53.08% ↑
2017年 289,839
6.82% ↑
2016年 271,330
-6.7% ↓
2015年 290,799
2.9% ↑
2014年 282,597
-8.13% ↓
2013年 307,596
-1.39% ↓
2012年 311,936
-6.49% ↓
2011年 333,597
-4.35% ↓
2010年 348,762
3.16% ↑
2009年 338,087
-2% ↓
2008年 344,999
4.17% ↑
2007年 331,204
0.58% ↑
2006年 329,287
-3.27% ↓
2005年 340,425
6.12% ↑
2004年 320,787
-25.01% ↓
2003年 427,800
1.26% ↑
2002年 422,458
-4.2% ↓
2001年 441,000
-8.43% ↓
2000年 481,600
-7.99% ↓
1999年 523,424
9.82% ↑
1998年 476,636
1.37% ↑
1997年 470,211
4.28% ↑
1996年 450,920
-0.5% ↓
1995年 453,200
-5.62% ↓
1994年 480,177
-1.36% ↓
1993年 486,819
-1.94% ↓
1992年 496,467
0.52% ↑
1991年 493,900
0.47% ↑
1990年 491,600
1.03% ↑
1989年 486,600
-1.28% ↓
1988年 492,900
-1.48% ↓
1987年 500,300
1.4% ↑
1986年 493,400
3.18% ↑
1985年 478,200
1.29% ↑
1984年 472,100
-8.17% ↓
1983年 514,100
1.18% ↑
1982年 508,100
-0.65% ↓
1981年 511,400
0.91% ↑
1980年 506,800
-4.97% ↓
1979年 533,300
-9.72% ↓
1978年 590,700
0.84% ↑
1977年 585,800
-2.29% ↓
1976年 599,500
-4.09% ↓
1975年 625,090
0.12% ↑
1974年 624,360
-4.09% ↓
1973年 650,960
-8.11% ↓
1972年 708,400
-4.89% ↓
1971年 744,800
-9.24% ↓
1970年 820,600
-2.17% ↓
1969年 838,800
4.33% ↑
1968年 804,000
-1.43% ↓
1967年 815,700
2.89% ↑
1966年 792,800
0.06% ↑
1965年 792,300
-6.37% ↓
1964年 846,200
3.12% ↑
1963年 820,600
20.09% ↑
1962年 683,300
-15.69% ↓
1961年 810,500 -

イタリアはヨーロッパの中でも農業生産が盛んな国のひとつで、キャベツは伝統的に家庭料理や加工食品に使用される重要な作物の一つです。しかし、FAOのデータを見ると、その生産量はこの60年間で大きく変化しており、1961年の81万トンから2022年の40万トンにほぼ半減しています。この減少傾向の背景にはいくつかの要因が関与していると考えられます。

まず、長期的な減少を説明する一因として、農業の収益性や競争力の変化が挙げられます。イタリアでは経済発展とともに、多くの農業従事者が他産業へ移行し、特に小規模農家では生産効率の確保が困難となりました。その結果、生産活動が減少した可能性があります。また、ヨーロッパ全体での消費者志向の変化や、他国(例:中国や韓国など)の野菜生産の拡大が市場競争を激化させた点も見逃せません。

加えて、気候変動の影響が顕著化しています。特に2000年以降、極端な乾燥や高温の夏、または寒冷な冬が収穫量に打撃を与えるケースが増え、持続的なキャベツ生産を困難にしているようです。これらの気象条件が自然災害のリスクを高め、生産活動に不確実性をもたらしているのが現状です。一方、2018年から2019年にかけて生産量が一時的に回復した要因としては、有利な天候条件や農業技術の向上が挙げられますが、この回復は長期的なトレンドを覆すものではありません。

地域課題として、農地の他用途転換や労働力の不足も問題です。都市化の進行や、より収益性の高い作物への転換がキャベツの供給に影響を与えています。イタリアだけでなく、近隣諸国であるフランスやドイツも似た課題を抱えています。しかし日本では、消費者の健康志向や地域農業の振興により、キャベツの需要と生産が安定している点が対照的です。

また、地政学的リスクとしては、国際市場における輸出競争力の低下や、特定地域の紛争が供給チェーンを阻害する可能性があります。この状況下で、イタリア国内においてキャベツ生産の健全な成長を維持するためには、持続可能な農業への投資が不可欠です。政策としては、気候変動に適応した品種の導入や、生産過程のデジタル化による効率化が挙げられます。また、国際的な協調の下で市場戦略を強化し、需要を安定させる取り組みも重要です。

結論として、イタリアのキャベツ生産量データは、同国が直面している農業の課題を端的に示しています。このような状況を改善するために、テクノロジーの活用や競争力のある農業経営への転換が求められます。地球温暖化の影響を軽減しつつ、国内外の需要に合致した生産・供給体制を構築することが、イタリア農業の持続可能性を高める鍵と言えるでしょう。