国際連合食糧農業機関(FAO)が1976年に発表したデータによると、世界の羊毛生産量ランキングにおいて、1位はオーストラリア(754,274トン)、2位はニュージーランド(311,760トン)、3位はアルゼンチン(156,000トン)です。これら上位3カ国が全体の羊毛生産量において中心的な役割を果たしていることが明らかです。一方、日本はランクインしておらず、羊毛生産についてはほとんど関与していないことが推察されます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 754,274 |
| 2 |
|
オセアニア | 311,760 |
| 3 |
|
南アメリカ | 156,000 |
| 4 |
|
アジア | 135,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 107,300 |
| 6 |
|
南アメリカ | 60,357 |
| 7 |
|
アジア | 53,915 |
| 8 |
|
北アメリカ | 52,590 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 47,530 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 33,844 |
| 11 |
|
アジア | 33,000 |
| 12 |
|
アジア | 32,100 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 32,020 |
| 14 |
|
アジア | 30,741 |
| 15 |
|
南アメリカ | 30,591 |
| 16 |
|
アジア | 25,400 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 22,100 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 21,561 |
| 19 |
|
アフリカ | 21,000 |
| 20 |
|
アジア | 19,600 |
| 21 |
|
南アメリカ | 18,502 |
| 22 |
|
アジア | 18,000 |
| 23 |
|
アフリカ | 16,740 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 14,567 |
| 25 |
|
アジア | 13,000 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 11,900 |
| 27 |
|
南アメリカ | 11,442 |
| 28 |
|
アジア | 10,809 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 10,562 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 9,774 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 9,647 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 9,085 |
| 33 |
|
アフリカ | 9,050 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 8,570 |
| 35 |
|
アフリカ | 8,400 |
| 36 |
|
南アメリカ | 7,988 |
| 37 |
|
南アメリカ | 6,040 |
| 38 |
|
アフリカ | 4,900 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 4,208 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 41 |
|
アジア | 3,230 |
| 42 |
|
アジア | 3,224 |
| 43 |
|
アフリカ | 2,796 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,100 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 2,100 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 1,677 |
| 47 |
|
南アメリカ | 1,670 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 1,489 |
| 49 |
|
アフリカ | 1,380 |
| 50 |
|
アジア | 1,350 |
| 51 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 52 |
|
南アメリカ | 1,170 |
| 53 |
|
アジア | 1,150 |
| 54 |
|
北アメリカ | 1,073 |
| 55 |
|
アジア | 1,000 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 624 |
| 57 |
|
アジア | 580 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 560 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 499 |
| 60 |
|
南アメリカ | 410 |
| 61 |
|
アジア | 400 |
| 62 |
|
アジア | 372 |
| 63 |
|
アフリカ | 310 |
| 64 |
|
アジア | 260 |
| 65 |
|
アジア | 191 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 140 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 130 |
| 68 |
|
アジア | 49 |
| 69 |
|
アジア | 40 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 23 |
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羊毛生産は農業と畜産業の重要な一部門であり、衣料品産業や繊維市場の原材料供給に大きな役割を果たしています。1976年のデータによれば、オーストラリアが圧倒的な1位として羊毛生産をリードしており、総量754,274トンに達しています。この数値は2位のニュージーランド(311,760トン)の2倍以上に達しており、オーストラリアが世界市場で極めて重要な地位を占めていることを示しています。この背景には、オーストラリアの広大な牧草地や適切な気候条件、そして羊毛生産に特化した農業政策の整備が挙げられます。
2位のニュージーランドでは、高品質な羊毛の生産で知られ、輸出市場で重要な役割を果たしています。アルゼンチン(156,000トン)が3位に位置しており、同国の広大な牧場地域とコスト効率の高い生産手法が競争力を支えています。4位の中国(135,000トン)は現在(2024年時点)の経済大国として広範な農業活動を背景に徐々に生産を拡大中ですが、1976年当時はまだ限定的な規模に留まっていました。
これら上位4カ国がランキングの約52%を占めており、世界全体の羊毛生産の集中が見られます。一方で、南アフリカ(107,300トン)やウルグアイ(60,357トン)といった順位の中位国も、ニッチな繊維市場で重要な寄与をしており、生産地域の多様性が一定の安定性を担保しています。
このランキングで特に注目すべき点は、一部の地域での気候条件や地政学的背景が生産に影響を与えていることです。たとえば、中東や北アフリカ地域の国々では牧草地帯が限定されるため、生産量が少ない傾向があります。一方で農業大国とされるインド(32,100トン)やアメリカ(52,590トン)の生産量が、上位国と比べて相対的に少ない理由には、主産業の異なる分野への集中や消費市場の違いが影響していると考えられます。
将来を見据えると、羊毛生産は気候変動や地政学的リスクの影響を受ける可能性が大きい農業・畜産分野の一つです。例えば、干ばつや洪水といった自然災害は牧草の生育や畜産環境に直接的な影響を与えるため、これを緩和するためには、適応的な農業技術の導入や効率的な水資源利用が求められます。また、南半球の主要輸出国に依存する現在の構造は、貿易摩擦や輸送の遅延といった課題を引き起こす可能性があります。これに対処するため、地域間協力の強化や技術移転を通じた羊毛生産国の多様化が進められるべきです。
具体的な対策としては、先進国による乾燥耐性のある牧草開発や新たな育種技術の研究支援が挙げられます。また、不利な条件を持つ地域でも持続可能な収益モデルを確保するため、小規模畜産農家への補助金政策やマーケティング支援が効果的です。さらに、消費地においても持続可能な羊毛製品需要を促進するための政策を進めることが重要です。
全体として、1976年時点での羊毛生産データは、地域的な環境条件、政策、地政学的背景などが羊毛生産量に与える影響を鮮明に示しています。このランキングを基に、効率的で持続可能な農業モデルを構築することが、今後の国際的な課題のひとつといえるでしょう。FAOをはじめとした国際機関や主要国が連携を深め、課題解決に向け持続した取り組みを行うことが求められると言えます。