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イタリアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、1961年以降のイタリアのカリフラワーとブロッコリーの生産量は大幅な変動を経て、近年では減少傾向が続いています。ピークとなった1969年(755,600トン)以降、1970年代後半から急激に減少し、1980年代以降は年ごとに小幅な上下はあるものの長期的な減少トレンドが確認されます。2023年の生産量は355,200トンで、ピーク時の生産量と比較して約47%減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 355,200
0.89% ↑
2022年 352,070
-2.13% ↓
2021年 359,730
-1.54% ↓
2020年 365,360
-0.76% ↓
2019年 368,150
0.01% ↑
2018年 368,120
-0.93% ↓
2017年 371,568
-4.3% ↓
2016年 388,281
0.6% ↑
2015年 385,972
-4.71% ↓
2014年 405,053
6.14% ↑
2013年 381,634
-7.85% ↓
2012年 414,142
-1.63% ↓
2011年 420,989
-1.5% ↓
2010年 427,407
8.03% ↑
2009年 395,637
-4.96% ↓
2008年 416,300
1.4% ↑
2007年 410,571
1.85% ↑
2006年 403,129
-6.39% ↓
2005年 430,669
4.11% ↑
2004年 413,682
-14.68% ↓
2003年 484,854
7.22% ↑
2002年 452,200
-2.04% ↓
2001年 461,600
-10.89% ↓
2000年 518,030
2.63% ↑
1999年 504,741
-4.04% ↓
1998年 525,974
6.49% ↑
1997年 493,897
3.83% ↑
1996年 475,692
1.02% ↑
1995年 470,866
-1.18% ↓
1994年 476,490
7.08% ↑
1993年 444,975
-7.61% ↓
1992年 481,631
3.67% ↑
1991年 464,600
23.89% ↑
1990年 375,000
-9.11% ↓
1989年 412,600
-10.21% ↓
1988年 459,500
6.98% ↑
1987年 429,500
6.89% ↑
1986年 401,800
14.7% ↑
1985年 350,300
13.15% ↑
1984年 309,600
-26.43% ↓
1983年 420,800
-0.21% ↓
1982年 421,700
-7.3% ↓
1981年 454,900
-0.74% ↓
1980年 458,300
-5.56% ↓
1979年 485,300
3.23% ↑
1978年 470,100
-14.03% ↓
1977年 546,800
-3.02% ↓
1976年 563,800
-3.39% ↓
1975年 583,600
-2.83% ↓
1974年 600,600
-2.39% ↓
1973年 615,300
-6.16% ↓
1972年 655,700
-1.18% ↓
1971年 663,500
-10.88% ↓
1970年 744,500
-1.47% ↓
1969年 755,600
0.64% ↑
1968年 750,800
4.89% ↑
1967年 715,800
5.68% ↑
1966年 677,300
-2.19% ↓
1965年 692,500
1.17% ↑
1964年 684,500
2.18% ↑
1963年 669,900
39.04% ↑
1962年 481,800
-26.61% ↓
1961年 656,500 -

イタリアは地中海性気候を有し、高品質な農産物の生産が盛んな国として知られており、カリフラワーやブロッコリーも国内外で高く評価されています。しかしながら、データからは生産量が長期的に減少していることが明らかです。

1961年から1970年代までは、イタリアのカリフラワーとブロッコリーの生産量は増加基調にありました。この時期は、農業技術の進展やヨーロッパ市場への輸出拡大が生産量の増加に寄与したと考えられます。しかし、1970年代後半以降になると、生産量は急激に減少し、1980年代にはこれが顕著となります。この背景には、農産物価格の低迷や農業従事者の減少、そして輸入品が国内市場に及ぼした競争激化が影響した可能性があります。また、都市化や温暖化による気候条件の変化も生産量の減少要因と考えられます。

2000年代以降では、生産量はやや安定していたものの、2010年代以降は再度減少傾向が顕著になっています。この現在の状況について分析すると、乾燥化や異常気象といった地球規模の気候変動がカリフラワーやブロッコリー栽培にとって大きな障害となっている可能性があります。また、イタリア国内では農地不足問題や若年層の農業従事離れが、生産量回復の妨げとなっている状況です。さらに、食生活の変化や他国産野菜の競争も、生産減少の一因として考慮しなければなりません。

他国と比較してみると、日本や韓国ではカリフラワーやブロッコリーの生産量が近年横ばい、または減少している傾向があり、これらの国も類似した課題に直面していることが伺えます。一方、インドや中国といった新興市場では、国内需要の増加や農業イノベーションを背景に生産量が増加しており、これらの国々との競争がイタリアの生産量減少に拍車をかけている可能性があります。

今後の課題として、持続可能な農業技術の導入や、気候変動に対応した品種改良が挙げられます。また、国内外におけるマーケティング施策の強化や高付加価値商品の開発を通じて、イタリア産のカリフラワー・ブロッコリーの付加価値を高める取り組みが求められます。さらに、若年層の農業参入を促進するため、農業経営教育の充実や補助制度の充実も重要な課題となります。

加えて、地政学的なリスクも考慮する必要があります。イタリアを含む地中海地域では、移民流入や社会的不安が農業労働力の維持に影響を及ぼしています。こうしたリスクを軽減するためには、EU内の協力枠組みを強化し、安定的な労働力供給を確保することが求められます。また、気候変動対策として国際的な協調がさらに必要になるでしょう。

結論として、イタリアのカリフラワーとブロッコリーの生産量減少を克服するためには、多方面での取り組みを同時に進めていく必要があります。技術革新と地域政策を組み合わせた総合的な戦略の遂行により、イタリアの野菜栽培の持続可能性を守り、その高い競争力を維持する可能性が開かれるでしょう。