Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)のデータによると、1999年の世界の羊毛生産量ランキングでは、1位がオーストラリア(687,600トン)、2位が中国(283,152トン)、3位がニュージーランド(252,000トン)でした。この3か国が圧倒的なシェアを占めており、それ以降の国々との生産量格差が顕著でした。日本はランクインしていません。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 687,600 |
| 2 |
|
アジア | 283,152 |
| 3 |
|
オセアニア | 252,000 |
| 4 |
|
アジア | 73,907 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 66,000 |
| 6 |
|
南アメリカ | 65,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 60,293 |
| 8 |
|
アフリカ | 56,032 |
| 9 |
|
アジア | 47,900 |
| 10 |
|
アジア | 45,665 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 40,234 |
| 12 |
|
アジア | 38,700 |
| 13 |
|
アフリカ | 38,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 30,575 |
| 15 |
|
アジア | 25,500 |
| 16 |
|
アジア | 22,283 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 21,939 |
| 18 |
|
アジア | 21,900 |
| 19 |
|
アジア | 21,677 |
| 20 |
|
アジア | 21,200 |
| 21 |
|
北アメリカ | 21,130 |
| 22 |
|
アジア | 20,900 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 18,983 |
| 24 |
|
アフリカ | 17,131 |
| 25 |
|
南アメリカ | 16,700 |
| 26 |
|
アジア | 15,702 |
| 27 |
|
アジア | 13,550 |
| 28 |
|
南アメリカ | 13,402 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 12,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 11,988 |
| 31 |
|
アフリカ | 11,858 |
| 32 |
|
アジア | 11,702 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 10,943 |
| 34 |
|
アジア | 10,496 |
| 35 |
|
アジア | 9,800 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 9,412 |
| 37 |
|
アフリカ | 8,949 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 8,879 |
| 39 |
|
アフリカ | 8,625 |
| 40 |
|
南アメリカ | 8,575 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 8,477 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 8,000 |
| 43 |
|
アフリカ | 7,193 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 5,105 |
| 45 |
|
アジア | 4,207 |
| 46 |
|
南アメリカ | 4,170 |
| 47 |
|
アフリカ | 3,783 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 3,759 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 3,387 |
| 50 |
|
アジア | 3,325 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 3,000 |
| 52 |
|
南アメリカ | 2,800 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 2,600 |
| 54 |
|
アフリカ | 2,550 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 2,278 |
| 56 |
|
南アメリカ | 2,195 |
| 57 |
|
アジア | 2,138 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 1,996 |
| 59 |
|
アフリカ | 1,970 |
| 60 |
|
アジア | 1,712 |
| 61 |
|
アフリカ | 1,636 |
| 62 |
|
アジア | 1,600 |
| 63 |
|
北アメリカ | 1,500 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 1,374 |
| 65 |
|
アジア | 1,350 |
| 66 |
|
アジア | 1,311 |
| 67 |
|
アフリカ | 1,280 |
| 68 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 69 |
|
ヨーロッパ | 880 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 875 |
| 71 |
|
南アメリカ | 854 |
| 72 |
|
ヨーロッパ | 791 |
| 73 |
|
アジア | 720 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 720 |
| 75 |
|
アジア | 616 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 499 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 458 |
| 78 |
|
アジア | 390 |
| 79 |
|
アフリカ | 380 |
| 80 |
|
アジア | 379 |
| 81 |
|
アジア | 343 |
| 82 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 83 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 84 |
|
ヨーロッパ | 194 |
| 85 |
|
アジア | 152 |
| 86 |
|
ヨーロッパ | 130 |
| 87 |
|
ヨーロッパ | 102 |
| 88 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 89 |
|
ヨーロッパ | 92 |
| 90 |
|
ヨーロッパ | 48 |
| 91 |
|
ヨーロッパ | 33 |
| 92 |
|
ヨーロッパ | 25 |
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このデータは、世界各国における羊毛生産の規模を示しています。羊毛は衣料品、特に冬季の防寒製品や高級衣料に欠かせない繊維であり、その生産は畜産業だけでなく、経済や環境、さらには文化にも影響を与える重要な要素です。
1999年のデータでは、オーストラリアが687,600トンで首位を獲得し、2位の中国の283,152トンと比較しても大きな差がありました。これは、オーストラリアが広大な牧草地と温暖な気候を活かし、高品質なメリノ種を中心とした羊毛生産に特化していることが背景にあります。また、これは輸出主導経済であるオーストラリアにとって、重要な外貨獲得源になっています。一方、中国は国内市場の需要増加に加え、農業および畜産業への政府支援が進む中で、この分野でも高い生産量を誇っています。ニュージーランドも同様に、牧畜業の効率的な管理と輸出重視の政策で上位に食い込んでいます。
4位以下を見ると、イラン(73,907トン)、イギリス(66,000トン)、アルゼンチン(65,000トン)などが続いていますが、上位3か国との生産量格差はきわめて大きいのが特徴です。これらの国々は、気候条件や地理的条件により羊の飼育が一定規模行われているものの、地政学的な課題や近代的な畜産技術の導入が進まないため、生産効率は限定的といえます。
地域ごとの課題として、例えばアフリカ諸国では自然災害や社会的な不安定性が畜産にも影響を及ぼしています。エチオピアの生産量は11,858トンである一方で、紛争状況や干ばつが羊毛の供給にとって大きな脅威となっています。同様に、中東ではイランやトルコがランキングトップ10に入っていますが、その周辺国は政治的不安定さが生産効率を著しく下げています。
一方、アメリカ合衆国やフランス、ドイツなどの先進国は、伝統的に羊毛生産よりも合成素材の利用が進んできたため、羊毛の生産量は低調です。アメリカは21,130トン、ドイツは8,879トンと、近代的な農業が普及した国々の中では生産量が限られています。特にアメリカでは、多くの州における牧畜業の多角化が進み、羊毛以外の家畜生産が優先されていることがその一因となっています。
このランキングを見る限りでは、世界規模で見た羊毛生産の地域的な偏りが浮き彫りになっています。オーストラリア、中国、ニュージーランドの3か国が市場の大部分を握る一方で、大多数の国では生産量が10,000トン未満と非常に低い水準にとどまっているのが現状です。
今後の課題としては、まず効率的な生産方法とサステナブルな牧畜を導入することが挙げられます。国際協力や技術移転を通じて、気候変動の影響を軽減しつつ生産量を増加させる方法が模索されるべきです。また、合成繊維が市場で増加している中で、リサイクル可能な天然繊維としての羊毛の魅力を高めることも重要です。特に環境負荷を抑える生産方式を優先することで、羊毛の付加価値を向上させることができます。これらの取り組みは、羊毛市場のサステナビリティを確保しつつ、より多くの国々に利益を分配する仕組みを作る一助となるでしょう。
結論として、1999年の羊毛生産量データは、国や地域ごとの経済・地理条件の影響を反映しています。特定の国に大きく偏った構造を克服するためには、国際的な連携と革新が欠かせません。国連や関連機関が支援の枠組みをさらに強化し、持続可能な畜産業モデルを採用することが今後の成長の鍵となるでしょう。