国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1987年度の羊の毛生産量データによると、1位はオーストラリア(890,351トン)、2位がニュージーランド(350,000トン)、3位が中国(208,909トン)でした。このランキングから、羊毛生産の大部分がオセアニア地域と一部のアジア諸国に集中していることが分かります。同時に、ヨーロッパや南米、アフリカなど、多様な地域が一定のシェアを占めている点も注目に値します。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 890,351 |
| 2 |
|
オセアニア | 350,000 |
| 3 |
|
アジア | 208,909 |
| 4 |
|
南アメリカ | 138,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 92,453 |
| 6 |
|
アフリカ | 89,600 |
| 7 |
|
アジア | 70,371 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 61,590 |
| 9 |
|
アジア | 53,162 |
| 10 |
|
アジア | 41,000 |
| 11 |
|
アジア | 40,100 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 38,853 |
| 13 |
|
北アメリカ | 38,305 |
| 14 |
|
アフリカ | 32,000 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 31,550 |
| 16 |
|
南アメリカ | 31,042 |
| 17 |
|
アジア | 26,568 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 25,896 |
| 19 |
|
アフリカ | 25,000 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 24,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 23,004 |
| 22 |
|
南アメリカ | 20,100 |
| 23 |
|
アジア | 18,000 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 17,253 |
| 25 |
|
アジア | 16,220 |
| 26 |
|
アジア | 16,088 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 13,300 |
| 28 |
|
アジア | 13,000 |
| 29 |
|
南アメリカ | 11,400 |
| 30 |
|
アフリカ | 11,300 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 11,000 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 10,050 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 9,493 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 8,800 |
| 35 |
|
南アメリカ | 7,692 |
| 36 |
|
南アメリカ | 7,246 |
| 37 |
|
アジア | 6,812 |
| 38 |
|
アフリカ | 6,750 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 5,287 |
| 40 |
|
アフリカ | 4,500 |
| 41 |
|
アジア | 3,976 |
| 42 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 43 |
|
アフリカ | 3,143 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 3,100 |
| 45 |
|
アジア | 2,200 |
| 46 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 48 |
|
アフリカ | 1,962 |
| 49 |
|
南アメリカ | 1,600 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 1,500 |
| 51 |
|
南アメリカ | 1,300 |
| 52 |
|
北アメリカ | 1,195 |
| 53 |
|
アフリカ | 1,130 |
| 54 |
|
アジア | 950 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 720 |
| 56 |
|
アジア | 716 |
| 57 |
|
アジア | 700 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 664 |
| 59 |
|
南アメリカ | 654 |
| 60 |
|
アジア | 598 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 564 |
| 62 |
|
アジア | 470 |
| 63 |
|
アジア | 397 |
| 64 |
|
アフリカ | 370 |
| 65 |
|
アジア | 304 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 146 |
| 68 |
|
アジア | 130 |
| 69 |
|
アジア | 48 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 35 |
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1987年度の羊の毛生産量データは、世界各地の牧羊業の重要性とその地理的分布を浮き彫りにしています。最も注目すべきポイントは、1位のオーストラリアが約89万トンの羊毛を生産しており、2位のニュージーランドを大幅に引き離してトップを占めている点です。オーストラリアは、その広大な牧草地と羊毛生産に適した気候条件を活用し、長年にわたって羊毛産業を発展させてきました。また、ニュージーランドも独自の高品質ウールで知られており、世界中で需要があります。
中国の3位という順位にも注目する必要があります。この当時、中国はオーストラリアやニュージーランドのように輸出を主な目的とした生産ではなく、国内市場を満たす産業構造が主流でした。しかし、広大な農村部での羊の飼育は経済活動の重要な一環となり、これが生産量の多さに寄与しています。
南米では、アルゼンチンが13万8千トンで4位、次いでウルグアイの9万2千トンが5位を記録しました。アルゼンチンとウルグアイは、広大な草原地帯(いわゆる「パンパ」地方)が牧羊業に最適な環境を提供し、南米羊毛市場の一翼を担っています。
一方、ヨーロッパでは、イギリスが61,590トンで最上位にランクインしていますが、総量としてはアジアやオセアニアに比べて少なく、依然として地域別でみると二次的な役割にとどまっています。ドイツやフランスといった他の国々もランキングに入っていますが、生産量は2万トン前後と控えめです。
アフリカに目を向けると、南アフリカが6位に入り、世界全体で一定の影響力を持っています。この地域では特にモヘアやカシミヤのような特殊な羊毛の生産が注目されており、国際市場で需要があります。
しかし、羊毛生産の地理的分布は、地政学的課題とも関連しています。著しい例は、中東や一部アフリカ諸国に見られる紛争や不安定な政治状況です。これらの課題は農牧業の発展を阻害し、羊毛生産量が低く抑えられる原因となっています。例えば、イラクやシリアのような国々では、十分なインフラの整備や効率的な生産体制の確保が難しく、この傾向が生産量に反映されています。
将来的には、羊毛産業が抱える課題への対応が求められます。例えば、気候変動の影響により、乾燥地帯では牧草地の荒廃が進む可能性があります。このため、持続可能な牧草管理や、乾燥に強い羊の品種改良といった研究が重要となります。また、国際市場での競争力を維持するためには、品質の向上や効率的な供給チェーンの構築が鍵となるでしょう。
結論として、1987年度のデータをもとに世界の羊毛生産の状況を理解することで、国や地域ごとの産業構造や課題が明確になります。国際協力をさらに強化し、各地域に最適な政策を導入することが、持続可能な羊毛産業の発展に繋がるでしょう。