Skip to main content

イタリアの大麦生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、イタリアの大麦生産量は1961年の278,700トンから2023年の1,193,930トンまで大幅に増加しています。特に1983年から1991年にかけて大きく伸長し、その後1990年代後半には減少傾向が見られましたが、近年は再び回復傾向にあります。このデータはイタリアの農業生産力や気候、技術進歩が影響していることを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,193,930
3.07% ↑
2022年 1,158,410
6.08% ↑
2021年 1,091,970
-2.83% ↓
2020年 1,123,730
1.7% ↑
2019年 1,104,990
6.15% ↑
2018年 1,040,990
5.76% ↑
2017年 984,281
-0.41% ↓
2016年 988,285
3.47% ↑
2015年 955,131
12.88% ↑
2014年 846,142
-3.36% ↓
2013年 875,552
-6.88% ↓
2012年 940,234
-0.97% ↓
2011年 949,480
-4.16% ↓
2010年 990,700
-5.58% ↓
2009年 1,049,200
-15.16% ↓
2008年 1,236,697
0.93% ↑
2007年 1,225,282
-4.43% ↓
2006年 1,282,043
5.6% ↑
2005年 1,214,054
4.97% ↑
2004年 1,156,620
13.31% ↑
2003年 1,020,800
-14.24% ↓
2002年 1,190,326
5.74% ↑
2001年 1,125,700
-10.77% ↓
2000年 1,261,600
-3.94% ↓
1999年 1,313,300
-4.76% ↓
1998年 1,378,940
16.9% ↑
1997年 1,179,575
-12.66% ↓
1996年 1,350,494
-5% ↓
1995年 1,421,600
-3.12% ↓
1994年 1,467,378
-10.21% ↓
1993年 1,634,200
-6.19% ↓
1992年 1,742,087
-2.83% ↓
1991年 1,792,900
5.31% ↑
1990年 1,702,500
3.57% ↑
1989年 1,643,800
5.25% ↑
1988年 1,561,800
-8.67% ↓
1987年 1,710,000
10.82% ↑
1986年 1,543,000
-5.31% ↓
1985年 1,629,500
0.72% ↑
1984年 1,617,800
36.16% ↑
1983年 1,188,200
10.64% ↑
1982年 1,073,900
9.29% ↑
1981年 982,600
3.79% ↑
1980年 946,700
16.39% ↑
1979年 813,400
-0.64% ↓
1978年 818,600
22.75% ↑
1977年 666,900
-8.01% ↓
1976年 725,000
13.37% ↑
1975年 639,500
15.85% ↑
1974年 552,000
22.8% ↑
1973年 449,500
17.67% ↑
1972年 382,000
2.55% ↑
1971年 372,500
18.4% ↑
1970年 314,600
7.78% ↑
1969年 291,900
13.1% ↑
1968年 258,100
-12.51% ↓
1967年 295,000
16.74% ↑
1966年 252,700
-11.24% ↓
1965年 284,700
13.2% ↑
1964年 251,500
-10.27% ↓
1963年 280,300
-1.79% ↓
1962年 285,400
2.4% ↑
1961年 278,700 -

イタリアの大麦生産は1960年代から安定的に増加してきましたが、1970年代後半以降、特に1980年代には急激な伸びが見られました。この期間に大麦生産の増加を支えた要因として、農業技術の進歩と栽培技術の改良、加えて欧州連合(EU)の共通農業政策(CAP)による補助金と市場支援が挙げられます。例えば、1984年には1,617,800トンと当時の最高値を記録しており、これは機械化や生産効率の向上が大きく寄与していると考えられます。

しかしながら、1990年代後半になると生産量は著しく低下し、2000年には1,261,600トン、さらに2013年には875,552トンまで減少しました。この減少の背景には、農業従事者の減少や経済的な競争力の低下、または農地転用による耕作面積の縮小が関与していると言えます。特に、イタリア国内における農地利用の多様化や、より収益性の高い作物への転換が進んだことが大きな影響を与えたと考えられます。

近年では、気候変動の影響が生産量に与えるリスクも指摘されています。気温の上昇と降水パターンの変化は大麦の生産に直接影響を与え、2013年から2014年にかけて記録された減少例はまさにその典型です。この問題に対応するためには、改良された耐気候性品種の導入や、農地管理の高度化が重要とされています。

一方で、2018年以降には生産量が徐々に回復し、2023年には1,193,930トンへと増加しています。この回復は、持続可能な農業の推進と技術革新の成果によるものであり、イタリア政府および農業関連団体が協力して取り組んだ結果と考えられます。また、EU全体での環境保護政策や資金援助が生産環境の整備に寄与している可能性も高いです。

イタリアの大麦生産の課題としては、気候変動への適応策だけでなく、国際市場の競争力を高めるための取り組みが挙げられます。例えば、デジタル農業技術をさらに導入することで、効率的な生産手法を確立しつつも、品質向上を目指すことが重要です。また、地中海地域の他国との協力を強化し、気候脅威に対応した共通政策を打ち立てることも効果的でしょう。

もう一つの懸念材料は、地政学的リスクが農業輸出に与える影響です。特に近年、エネルギー価格の変動や国際的な物流の混乱が食料供給チェーンに影響を与えています。イタリアは中東やアフリカ市場との関係を強化し、輸入先や輸出先の多角化を図ることでリスク分散を進める必要があります。

結論として、イタリアの大麦生産は長期的には成長を続けているものの、時期によって外部要因に左右される不安定な面もあります。しかし、技術革新や国際協力を進めることで、さらなる生産の安定化と持続可能な発展が可能です。政府および農業セクターの継続的な取り組みによって、この成長の軌跡を維持しながら、新たな課題に対応していくことが求められます。