国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ジブチの羊肉生産量は、1961年の300トンから2023年の2,249トンへと大幅に増加しました。この間に見られる成長は、特に1970年代の急激な上昇とその後の変動、また2000年代以降の安定した緩やかな増加が特徴的です。一方で、記録の一部には停滞時期や下落傾向も見られ、特に地政学リスクや環境要因が羊肉生産量に与える影響が示唆されます。
ジブチの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,249 |
0.06% ↑
|
2022年 | 2,247 |
0.2% ↑
|
2021年 | 2,243 |
0.2% ↑
|
2020年 | 2,238 |
0.03% ↑
|
2019年 | 2,238 |
0.18% ↑
|
2018年 | 2,234 |
0.2% ↑
|
2017年 | 2,229 |
0.27% ↑
|
2016年 | 2,223 |
0.42% ↑
|
2015年 | 2,214 |
-0.2% ↓
|
2014年 | 2,219 |
-0.15% ↓
|
2013年 | 2,222 |
-0.16% ↓
|
2012年 | 2,226 |
1.9% ↑
|
2011年 | 2,184 | - |
2010年 | 2,184 | - |
2009年 | 2,184 | - |
2008年 | 2,184 |
-0.73% ↓
|
2007年 | 2,200 |
-5.09% ↓
|
2006年 | 2,318 |
6.13% ↑
|
2005年 | 2,184 | - |
2004年 | 2,184 | - |
2003年 | 2,184 | - |
2002年 | 2,184 | - |
2001年 | 2,184 | - |
2000年 | 2,184 |
2.44% ↑
|
1999年 | 2,132 |
2.5% ↑
|
1998年 | 2,080 | - |
1997年 | 2,080 | - |
1996年 | 2,080 | - |
1995年 | 2,080 | - |
1994年 | 2,080 | - |
1993年 | 2,080 |
-4.76% ↓
|
1992年 | 2,184 |
-1.93% ↓
|
1991年 | 2,227 |
20.31% ↑
|
1990年 | 1,851 |
15.92% ↑
|
1989年 | 1,597 |
-5.55% ↓
|
1988年 | 1,691 |
5.62% ↑
|
1987年 | 1,601 |
-4.92% ↓
|
1986年 | 1,683 |
-6.8% ↓
|
1985年 | 1,806 |
-0.92% ↓
|
1984年 | 1,823 |
12.41% ↑
|
1983年 | 1,622 |
20.99% ↑
|
1982年 | 1,341 |
-13.84% ↓
|
1981年 | 1,556 |
-31.87% ↓
|
1980年 | 2,284 |
22.29% ↑
|
1979年 | 1,867 |
5.62% ↑
|
1978年 | 1,768 |
13.33% ↑
|
1977年 | 1,560 | - |
1976年 | 1,560 |
15.38% ↑
|
1975年 | 1,352 |
-6.81% ↓
|
1974年 | 1,451 |
10.71% ↑
|
1973年 | 1,310 |
7.69% ↑
|
1972年 | 1,217 |
8.33% ↑
|
1971年 | 1,123 |
20% ↑
|
1970年 | 936 |
11.11% ↑
|
1969年 | 842 |
17.39% ↑
|
1968年 | 718 |
43.75% ↑
|
1967年 | 499 |
26.32% ↑
|
1966年 | 395 |
21.87% ↑
|
1965年 | 324 |
2.03% ↑
|
1964年 | 318 |
1.87% ↑
|
1963年 | 312 |
2.04% ↑
|
1962年 | 306 |
2.08% ↑
|
1961年 | 300 | - |
1961年から2023年までのジブチにおける羊肉生産量データは、同国の畜産業における長期的な推移と現状を理解するための重要な指標です。この62年間で、ジブチの羊肉生産量は約7.5倍に拡大しました。しかし、その成長の背後には、地理的条件、社会経済的要因、及び地政学的背景が大きな役割を果たしたと考えられます。
初期の1960年代から1970年代前半までのデータでは、羊肉生産量は比較的一定の速度で増加しています。この時期の増加理由として考えられるのは、食肉需要の拡大や牧畜技術の改善、及び地域経済活動の活性化です。その後、1970年代中盤から1980年にかけて、特に1977年と1980年にピークが見られ、その背景には独立(1977年)による社会経済的な変化が関係している可能性があります。
一方で、1980年代以降から一部で生産量が減少した時期もあり、この時期はしばしば地域的な干ばつなどの自然環境要因や政治的不安定が影響を与えました。特に干ばつはジブチのような乾燥帯の国々において畜産に大きな打撃を与えることが知られており、動物の飼料不足や水供給の困難が要因として考えられます。このような状況の中で、生産量は不安定に推移し、地域経済の持続可能性にとっての課題が浮き彫りとなっています。
2000年代以降に目を移すと、羊肉生産量は安定期に入り、概ね毎年同水準の生産を維持しています。この背景には、ジブチの人口増加や都市化に伴う内部需要の安定、近隣諸国からの需要拡大が挙げられます。さらに、政府や国際機関による支援を通じた牧畜技術の改善、及び労働力の確保がプラスの影響を与えたと考えられます。
しかしながら、生産の伸び幅が比較的小さい現況を踏まえると、ジブチの羊肉産業は今後もいくつかの課題に直面する可能性があります。地政学的リスクとして近隣国との紛争や国境付近での緊張状態、さらに気候変動が乾燥地帯に与える影響は無視できません。これらの要因は、生産体制の維持や新規市場開拓の妨げとなるリスクを含んでいます。
対策として、まず第一にジブチ国内における水資源管理の改善が求められます。灌漑インフラの開発や持続可能な牧草地管理技術の普及は、干ばつ時の影響を軽減する手段となり得ます。さらに、気候変動に対応するための地域間協力機構を設立し、近隣国と連携した牧畜業の再編も重要な戦略となるでしょう。
また、地政学的リスクを考慮した備蓄体制の整備も、供給の安定化に寄与すると考えられます。仮に輸出が難しくなった場合でも、国内消費を確保することで内部市場のバランスを保つことができます。その一方で、海外市場拡大を目指し、生産量と同時に品質向上への投資も必要です。
以上のデータから、ジブチにとって羊肉生産業は長期的に貴重な経済基盤であり続けてきたことがわかります。今後、地政学的影響や自然環境リスクに備えつつ、持続可能な成長戦略を実施することで、ジブチの羊肉産業はさらに安定した発展が見込まれるでしょう。国際機関や地域協力の促進に加え、技術革新を取り入れることで、同国の食糧安全保障と経済的安定に資する未来が期待されます。