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ジブチのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ジブチのトウモロコシ生産量は、1981年の5トンから2022年の18トンに増加しています。生産量は緩やかではありますが、長期的に成長を遂げています。ただし、2000年以降の伸びは限定的であり、生産量は2015年から2022年にかけてほぼ横ばい状態にあります。この推移はジブチの農業環境や政策対応の現状を反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17
-5.15% ↓
2022年 18
5.18% ↑
2021年 17
-2.53% ↓
2020年 18
1.42% ↑
2019年 18
5.02% ↑
2018年 17
-0.12% ↓
2017年 17
-0.24% ↓
2016年 17
-6.31% ↓
2015年 18
8.87% ↑
2014年 16
2.88% ↑
2013年 16 -
2012年 16
6.88% ↑
2011年 15
6.47% ↑
2010年 14
7.16% ↑
2009年 13
8.25% ↑
2008年 12
10.58% ↑
2007年 11
9.6% ↑
2006年 10
11.11% ↑
2005年 9
-9.55% ↓
2004年 10
-0.5% ↓
2003年 10 -
2002年 10
-16.67% ↓
2001年 12
9.09% ↑
2000年 11
3.58% ↑
1999年 11
2.51% ↑
1998年 10
1.27% ↑
1997年 10
1.29% ↑
1996年 10
1% ↑
1995年 10
0.6% ↑
1994年 10
0.3% ↑
1993年 10
0.3% ↑
1992年 10
0.2% ↑
1991年 10
-1.4% ↓
1990年 10
150% ↑
1989年 4
-60% ↓
1988年 10
11.11% ↑
1987年 9
-10% ↓
1986年 10
42.86% ↑
1985年 7 -
1984年 7
40% ↑
1983年 5 -
1982年 5 -
1981年 5 -

ジブチのトウモロコシ生産量推移を見ると、1980年代から2022年にかけて徐々に増加しています。1981年から始まったこのデータでは、当初の5トンという低い生産量が見られますが、1990年代には10トン前後で推移し、2010年代からは15トン以上の生産量に達しています。2022年には過去最高地点の18トンを記録しています。ジブチは乾燥した気候によって農業生産が制限される国であるため、この増加は注目に値します。しかし、世界的なトウモロコシ主要生産国であるアメリカや中国の大規模な生産量(数千万トン規模)と比較すると、ジブチの生産量は極めて小規模にとどまります。

ジブチはサブサハラ地域に位置し、降水量が非常に少なく、不毛な土地が広がる国土を持っています。そのため、農業生産全般が非常に困難であることが背景にあります。同地域の他国、例えばエチオピアやケニアでは降水量の増減が農業生産に大きく影響する性質が強調されますが、ジブチの場合、気候変動の影響に加えて、地下水不足や栄養分の乏しい土壌といった構造的な問題があります。1989年に4トンまで急激に下がった生産量や、それ以降の停滞もこうした自然的および地政学的要因が関係していると考えられます。

農業の改善に寄与する技術が進化する一方で、ジブチの現状において最も重要な課題は、農業基盤への持続的な投資や地域的な協力による資源マネジメントです。たとえば、他国との水資源共有や灌漑技術の導入が具体的な対応策になります。また、農業を支えるための政府支援、例えば肥料や種子の補助金政策も、生産量の向上には必要不可欠です。

さらに、技術的な解決策だけでなく、国際的な援助や農業改善のための専門知識を取り入れることも進むべき方向性といえます。ジブチはその地政学的な位置から港湾地域として物流の要となっており、この経済的な恩恵を活用することで得た収益を農業セクターに再投資することが可能です。欧米諸国や日本が近年進めているアフリカ支援にも呼応し、外部からの技術導入を加速することは理にかなっています。

トウモロコシ生産の安定化と長期的な成長を図るためには、気候変動の影響を軽減する政策と、地域的な食糧安全保障を絡めた包括的なプランが必要となります。例えば、地域紛争が起きた場合、輸入食料への過度な依存は供給の不安定さを招く可能性があります。この点でジブチ独自の農業生産能力の強化は、安全保障的観点からも重要です。トウモロコシを含む穀物生産が持つ意味は単なる経済的側面を超えた戦略的要素といえるでしょう。

2022年時点で見られる横ばいの状況は、生産の停滞を示すと同時に、ジブチがその課題に正面から向き合っている経過とも取れます。今後は、地域間協力を更に深めてサヘル地域全体での農業資源の共同活用を図り、技術革新の波を取り入れて持続可能な成長を目指していく必要があります。