国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ジブチのオクラ生産量は1990年に10トンの規模から徐々に増加を続け、2023年には31トンと約3倍に拡大しました。この成長は着実であり、特に2000年代以降、生産量が安定的に増加しています。しかし、2018年以降のデータでは一部で成長の鈍化や横ばい傾向が見られます。これには気候問題や農業技術の限界が影響している可能性が考えられます。
ジブチのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 31 |
-3.71% ↓
|
2022年 | 32 |
4.02% ↑
|
2021年 | 31 |
-0.03% ↓
|
2020年 | 31 |
-1.6% ↓
|
2019年 | 31 |
10.83% ↑
|
2018年 | 28 |
-2.69% ↓
|
2017年 | 29 |
3.35% ↑
|
2016年 | 28 |
3.42% ↑
|
2015年 | 27 |
3.03% ↑
|
2014年 | 26 |
3.53% ↑
|
2013年 | 25 |
1.88% ↑
|
2012年 | 25 |
5.71% ↑
|
2011年 | 24 |
3.86% ↑
|
2010年 | 23 |
3.88% ↑
|
2009年 | 22 |
4.08% ↑
|
2008年 | 21 |
5.3% ↑
|
2007年 | 20 |
2.56% ↑
|
2006年 | 20 |
2.63% ↑
|
2005年 | 19 |
5.5% ↑
|
2004年 | 18 |
5.94% ↑
|
2003年 | 17 |
2.29% ↑
|
2002年 | 17 |
3.94% ↑
|
2001年 | 16 |
6.6% ↑
|
2000年 | 15 |
1.21% ↑
|
1999年 | 15 |
5.86% ↑
|
1998年 | 14 |
1.67% ↑
|
1997年 | 14 |
3.85% ↑
|
1996年 | 13 |
2% ↑
|
1995年 | 13 |
5.61% ↑
|
1994年 | 12 |
4.15% ↑
|
1993年 | 12 |
-1.5% ↓
|
1992年 | 12 |
11.11% ↑
|
1991年 | 11 |
8% ↑
|
1990年 | 10 | - |
ジブチのオクラ生産量は、1990年から2023年までの間で安定した成長を遂げました。1990年のわずか10トンという生産量から、2023年の31トンにまで約3倍の増加を記録しています。この持続的な成長は、主に農業政策の改善、耕作面積の拡大、および地域の食糧需要の高まりによるものと考えられます。加えて、オクラという作物自体の耐乾性や栄養価の高さがジブチの農業に適合し、地元農家にとって育てやすい作物であったことが要因といえるでしょう。
一方で、2018年以降のデータを見ると、成長は一時的に停滞している局面も見受けられます。28トン前後で横ばいやわずかな増減が発生した背景には、気候変動が及ぼす影響や、農業インフラの整備が進まないことが含まれる可能性があります。ジブチは熱帯高温帯に位置しており、降雨量が少なく干ばつが頻発するため、農業が常に気候の影響を受けやすい環境にあります。この点は、オクラ栽培にとっても大きな課題と考えられます。
さらに、2023年時点で31トンという生産量は、アフリカ諸国全体のオクラ生産量と比較すると非常に小規模です。例えば、主要なオクラ生産国であるナイジェリアやインドにおいては年間の生産量が数万トン〜数十万トンに達しており、ジブチの規模はそれに比べて遥かに限定的です。このため、ジブチが今後さらに生産量を伸ばし競争力を持つためには、新たな農業技術の導入や市場アクセスの確保が必要になるでしょう。
また、地政学的背景も注目に値します。ジブチは国際貿易の要所として知られており、その立地を活用した農作物輸出のポテンシャルが考えられる反面、隣国との資源争奪や紛争リスクも問題となります。地域衝突が農業インフラに与える悪影響は無視できず、これらのリスクに対応する政策策定が急務です。
今後の課題としては、まず農地の持続的利用を可能にする灌漑施設の整備が挙げられます。加えて、干ばつ対策として耐乾性の高いオクラ品種への転換を進めることや、農業従事者への教育プログラムを通じて基本的な農法を改善する努力が必要です。また、地域間協力の枠組みを強化し、隣国からの技術協力や気候変動に対応するための外的支援も検討すべきです。
さらに、人口増加や食糧安全保障に関連して多国間協力を進めることで、オクラを含む作物の輸出市場を開拓し、ジブチの経済多様化を後押しすることができます。例えば、アフリカ連合や国連機関との連携を通じて、ジブチ産の農作物を国際市場に広げる可能性を引き出す取り組みが期待されます。
結論として、ジブチのオクラ生産量の推移は成長の成功例を示しつつも、近年の停滞は新たな課題を浮き彫りにしています。この課題を克服するためには、地域の自然環境に即した農業技術の強化および政策的支援が不可欠です。ジブチが安定的な農業成長を遂げるためには、地政学的リスクへの対応や国際協力の促進が鍵を握るでしょう。