国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによれば、ジブチのサトウキビ生産量は1980年から一貫して増加していましたが、1990年代半ばには安定し、その後長期間にわたり52トン前後を維持しました。2015年以降再び増加傾向を見せ、2023年現在では56トンとなっています。このデータはジブチ国内のサトウキビ生産の限られた規模や安定性、そして持続可能性に関する重要な指標を提供しています。
ジブチのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 56 |
2% ↑
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2022年 | 55 |
0.09% ↑
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2021年 | 54 |
0.07% ↑
|
2020年 | 54 |
0.28% ↑
|
2019年 | 54 |
-2.25% ↓
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2018年 | 56 |
1.61% ↑
|
2017年 | 55 |
1.69% ↑
|
2016年 | 54 |
1.78% ↑
|
2015年 | 53 |
1.58% ↑
|
2014年 | 52 | - |
2013年 | 52 | - |
2012年 | 52 | - |
2011年 | 52 | - |
2010年 | 52 | - |
2009年 | 52 | - |
2008年 | 52 | - |
2007年 | 52 | - |
2006年 | 52 | - |
2005年 | 52 | - |
2004年 | 52 | - |
2003年 | 52 | - |
2002年 | 52 | - |
2001年 | 52 | - |
2000年 | 52 | - |
1999年 | 52 | - |
1998年 | 52 |
4% ↑
|
1997年 | 50 | - |
1996年 | 50 |
-3.85% ↓
|
1995年 | 52 | - |
1994年 | 52 |
6.12% ↑
|
1993年 | 49 |
6.52% ↑
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1992年 | 46 |
9.52% ↑
|
1991年 | 42 |
10.53% ↑
|
1990年 | 38 |
8.57% ↑
|
1989年 | 35 | - |
1988年 | 35 |
6.06% ↑
|
1987年 | 33 |
26.92% ↑
|
1986年 | 26 |
30% ↑
|
1985年 | 20 |
11.11% ↑
|
1984年 | 18 |
20% ↑
|
1983年 | 15 |
25% ↑
|
1982年 | 12 |
20% ↑
|
1981年 | 10 |
42.86% ↑
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1980年 | 7 | - |
ジブチでのサトウキビ生産量推移を分析すると、いくつかの特徴や課題が浮かび上がります。データによると、1980年に7トンと極めて小規模でスタートしたサトウキビ生産は、1980年代後半から1990年代前半にかけて安定した成長を見せました。その後、1995年以降は約20年間にわたり毎年52トン前後の生産量を維持しましたが、近年(2015年以降)再び緩やかに増加し、2023年には56トンに達しています。
ジブチは地中海性気候と半乾燥気候の狭間に位置しており、降水量の少なさや地質条件が農業の規模を制限している要因と考えられます。このため、サトウキビの栽培に必要な水資源の確保が生産の上限を決定づける重要な要素となっていると推測されます。また、ジブチでは農業自体のGDPへの貢献度が低く、経済の中心を物流や貿易に置いている点からも、サトウキビを含む農業全般が大規模な成長を遂げる基盤が十分ではない状況が窺えます。
一方で、近年の微増傾向については、ジブチ政府や国際機関の支援による灌漑施設の改善や農業の効率化施策が反映された可能性が考えられます。ただし、2019年以降の若干の変動(54-56トンの間で推移)は、地域的な干ばつや地政学的なリスク、新型コロナウイルス感染症の影響による人材や資源の不足が影響を与えたことも否定できません。
このデータから、ジブチの農業が小規模で一定の安定性を持ちながらも、多様性や競争力に欠けていることが分かります。サトウキビの生産を増やすためには、水利インフラのさらなる整備や耐乾性品種の導入が考えられます。また、周辺国(例えばエチオピアやスーダンなど)との協力による農業技術の共有や輸送網の整備を進めることで、小規模である現状を改善し、輸出による外貨獲得などに繋げるチャンスがあります。
さらに、ジブチはその地理的優位性から国際輸送のハブとして発展してきましたが、気候変動や地政学的リスクに注意が必要です。資源の争奪や食料安全保障において農業は更に重要性を増しており、国内生産基盤の強化が急務とされています。そのため、ジブチ政府だけでなく、国際社会からの継続的な技術支援や資金提供も欠かせません。
結論として、ジブチのサトウキビ生産は限られた自然環境の中で着実に進歩を遂げてきたものの、持続可能性を確保しながら規模を拡大するには、農業全般の基盤強化と地域間協力の充実が鍵となります。今後は技術革新だけでなく、効率的な資源配分と地政学的リスクへの耐性が求められています。