国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、2021年度における世界のエンドウ豆(生)生産量ランキングでは、中国が11,612,310トンで第1位、インドが5,846,000トンで第2位、パキスタンが546,414トンで第3位を記録しました。中国の生産量は第2位のインドを大きく引き離しており、エンドウ豆の世界生産における圧倒的な地位を示しています。これに対して、日本は26位で25,400トンの生産量を記録し、多くの欧州諸国やアメリカと比べると生産規模が小さい結果となりました。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 11,612,310 |
| 2 |
|
アジア | 5,846,000 |
| 3 |
|
アジア | 546,414 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 314,480 |
| 5 |
|
アフリカ | 204,415 |
| 6 |
|
北アメリカ | 203,690 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 175,836 |
| 8 |
|
アフリカ | 171,375 |
| 9 |
|
南アメリカ | 139,989 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 138,810 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 137,938 |
| 12 |
|
アジア | 111,625 |
| 13 |
|
アフリカ | 99,274 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 86,790 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 81,570 |
| 16 |
|
アフリカ | 78,391 |
| 17 |
|
南アメリカ | 69,511 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 67,860 |
| 19 |
|
アフリカ | 53,516 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 48,600 |
| 21 |
|
北アメリカ | 42,251 |
| 22 |
|
南アメリカ | 39,441 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 29,960 |
| 24 |
|
南アメリカ | 29,535 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 28,650 |
| 26 |
|
アジア | 25,400 |
| 27 |
|
オセアニア | 24,753 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 23,690 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 22,910 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 22,660 |
| 31 |
|
南アメリカ | 22,196 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 18,990 |
| 33 |
|
南アメリカ | 17,257 |
| 34 |
|
アジア | 16,939 |
| 35 |
|
アジア | 16,671 |
| 36 |
|
南アメリカ | 15,830 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 15,320 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 15,220 |
| 39 |
|
オセアニア | 14,227 |
| 40 |
|
アジア | 10,644 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 9,810 |
| 42 |
|
アフリカ | 9,595 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 7,856 |
| 44 |
|
アフリカ | 7,588 |
| 45 |
|
アフリカ | 6,584 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 6,449 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 6,010 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 5,500 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 5,460 |
| 50 |
|
アフリカ | 5,160 |
| 51 |
|
アジア | 5,070 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 4,930 |
| 53 |
|
アジア | 4,834 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 4,600 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 4,000 |
| 56 |
|
アジア | 3,627 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 3,561 |
| 58 |
|
アフリカ | 3,266 |
| 59 |
|
アジア | 3,005 |
| 60 |
|
アジア | 2,933 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 2,720 |
| 62 |
|
ヨーロッパ | 2,660 |
| 63 |
|
南アメリカ | 2,558 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 2,318 |
| 65 |
|
アフリカ | 2,297 |
| 66 |
|
アジア | 1,954 |
| 67 |
|
アジア | 1,672 |
| 68 |
|
アフリカ | 1,378 |
| 69 |
|
アジア | 1,260 |
| 70 |
|
アジア | 1,209 |
| 71 |
|
アジア | 991 |
| 72 |
|
アジア | 690 |
| 73 |
|
ヨーロッパ | 510 |
| 74 |
|
アジア | 482 |
| 75 |
|
アジア | 425 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 410 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 320 |
| 78 |
|
ヨーロッパ | 280 |
| 79 |
|
アジア | 140 |
| 80 |
|
アジア | 119 |
| 81 |
|
アフリカ | 106 |
| 82 |
|
ヨーロッパ | 80 |
| 83 |
|
アジア | 23 |
| 84 |
|
アフリカ | 17 |
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2021年度のデータを分析すると、エンドウ豆の生産には顕著な地域差が見られます。ランキングトップ3である中国、インド、パキスタンの合計生産量は約18,000,000トンに達し、全世界の生産の大部分を占めています。この背景として、中国とインドの国土の広大さや農業に適した地理条件、そしてエンドウ豆が料理に欠かせない食材であるという文化的要因が挙げられます。また、これらの国々では農業が経済の重要な柱の1つであり、作物の多様化や輸出の需要を背景に生産が拡大していることも要因と言えるでしょう。
一方、4位以下ではフランスやアメリカ、イギリスといった経済的に先進的な国々がランクインしていますが、それらの国々の生産量は中国やインドとは大きく隔たりがあります。たとえば、4位のフランスは314,480トンで中国の2.7%程度の生産量にすぎません。このことは、これらの国々ではエンドウ豆が主作物ではなく、国内消費用または地域限定の需要による生産が中心であることを示唆しています。
26位の日本に目を向けると、25,400トンという生産量は主要産地と比べると限られた規模を示しています。日本ではエンドウ豆は野菜の一種として一部の料理に使われるものの、米やチャなどの作物に比べると需要が低いことが影響していると考えられます。また、地形的条件や農地面積の制約、農業従事者の減少が生産拡大の障害となっている可能性があります。
主要生産地においても課題があります。たとえばインドやパキスタンでは、気候変動や水不足が農業全般に与える影響が深刻になりつつあります。エンドウ豆のような作物はこれらの問題に敏感であり、将来の生産性には不透明感が伴います。また、中国などでの高生産量の背景には、大規模農業や化学肥料の使用がある一方で、それが環境負荷を増大させる要因となり得るため、持続可能性の観点からの見直しが求められます。
地域課題を解決するために、いくつかの方策が考えられます。日本においては新しい農業技術の導入や、エンドウ豆の健康効果をPRすることで需要を喚起し、生産を拡大する余地があります。また、気候変動の影響を受けやすい地域では、耐乾性品種や環境に優しい農法の導入が重要な対策となるでしょう。さらに、国際的な協力を通じて種子や技術の共有を行い、持続可能な生産体制を広めることも効果的です。
一方、エンドウ豆の生産は地政学的リスクにも影響を受ける可能性があります。たとえば、中東や南アジアの一部では紛争が農地荒廃の原因となり、生産の安定性が損なわれるケースがあります。また、主要輸出国が天然資源や農産物をめぐる争いに巻き込まれる場合、食品価格の高騰や貿易障壁が問題を引き起こす可能性もあります。
データから得られる最も重要な結論のひとつは、エンドウ豆の生産が特定の地域や気候条件に依存することで、持続可能な生産体制の構築が急務であるという点です。自然災害や気候変動、地政学的リスクといった外的要因が生産性に与える影響を考慮しつつ、国際的協力や地域間連携を活用して、農業の安定化を図る必要があります。これにより、人々に健全で安定した食糧供給を提供しつつ、環境保護の観点からの課題にも対応できるでしょう。