国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年のケニアにおけるエンドウ豆(生)の生産量は150,074トンとなり、過去数十年の中で非常に高い水準を維持しています。特に2022年には203,814トンという突出した数字を記録しており、過去記録を大きく上回りました。一方で、長期的な推移を見ると、生産量の増減が激しく、気候や農業インフラの状況、さらには政策的サポートの影響が色濃く反映されていることが伺えます。
ケニアのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 150,074 |
-26.37% ↓
|
2022年 | 203,814 |
105.3% ↑
|
2021年 | 99,274 |
32.46% ↑
|
2020年 | 74,946 |
2.5% ↑
|
2019年 | 73,118 |
15.2% ↑
|
2018年 | 63,471 |
153.88% ↑
|
2017年 | 25,000 |
-52.77% ↓
|
2016年 | 52,930 |
-0.33% ↓
|
2015年 | 53,105 |
-11.74% ↓
|
2014年 | 60,167 |
-2.85% ↓
|
2013年 | 61,930 |
28.07% ↑
|
2012年 | 48,355 |
-20.28% ↓
|
2011年 | 60,657 |
-59.55% ↓
|
2010年 | 149,940 |
98.85% ↑
|
2009年 | 75,404 |
65.83% ↑
|
2008年 | 45,472 |
-22.99% ↓
|
2007年 | 59,045 |
46.24% ↑
|
2006年 | 40,375 |
16.62% ↑
|
2005年 | 34,620 |
48.41% ↑
|
2004年 | 23,327 |
-7.34% ↓
|
2003年 | 25,174 |
-9.2% ↓
|
2002年 | 27,725 |
-6.98% ↓
|
2001年 | 29,805 |
13.98% ↑
|
2000年 | 26,150 |
-18.89% ↓
|
1999年 | 32,241 |
-34.57% ↓
|
1998年 | 49,273 |
30.62% ↑
|
1997年 | 37,723 |
4.65% ↑
|
1996年 | 36,047 |
-20.33% ↓
|
1995年 | 45,245 |
1.68% ↑
|
1994年 | 44,496 |
641.6% ↑
|
1993年 | 6,000 |
-76.19% ↓
|
1992年 | 25,199 |
259.99% ↑
|
1991年 | 7,000 |
-41.67% ↓
|
1990年 | 12,000 | - |
ケニアは農業が経済の中心に位置する国であり、エンドウ豆は国内外において重要な農産物の一つです。最新のデータでは2022年の生産量が203,814トンと過去最高を記録しましたが、2023年には150,074トンに減少しています。このような変動は、ケニアがどのような課題に直面しているのか、そして今後何をすべきかを考える鍵となります。
過去のデータをたどると、1990年から2006年頃までは全体的に低い水準で推移し、大きな年次変動が見られます。この時期は、国内のインフラ整備が十分でなかったことや、気候変動の影響、さらには農業資材の不足が原因として挙げられます。特に1991年から1993年にかけての低生産期と、1994年以降の急回復は、それらの影響を如実に示しています。
2007年以降、一時的に安定した生産量の増加が確認されます。これは、気候条件が好転したことや農業技術の進展、政府の農業支援政策の強化が奏功したものと考えられます。例えば、2010年の生産量149,940トンや、2019年から2021年にかけての70,000トン台から90,000トン台への推移は、政府および農家の努力の成果に他なりません。
注目すべきは2022年の記録的な高水準です。この時期には、国際市場の需要増加に伴うインセンティブ強化や、雨量が適度であった気候条件の効果が重なり、生産量が大幅に向上しました。しかし、2023年には再び生産量が減少しており、持続可能な発展にはまだ課題が残ることを示しています。
ケニアにおけるエンドウ豆生産の主な課題としては、一貫性のある農業政策不足、気候変動の影響および農業インフラの整備状況が挙げられます。年次変動からも明らかなように、降水量に依存しすぎるシステムでは安定した生産は難しい状況です。また、物流機能の整備や供給チェーンの強化も未解決の問題とされています。これに加えて、近年頻発する地域紛争や疫病、新型コロナウイルスの影響も、生産活動に悪影響を及ぼしている可能性があります。
この状況に対する具体的な対策としては、灌漑設備の導入や改良、気候変動に強いエンドウ豆の品種改良、さらには農家への資金援助プログラムの拡充が挙げられます。また、国内外市場への輸送インフラを整えることで、需給バランスを効率化させることも有効です。さらに、隣国や国際機関との協力によって、農業技術や気象予測データの共有を進めることも期待されます。
地政学的な観点から見ると、ケニアの農業セクターは地域の安定性にも影響を与える鍵を握っています。エンドウ豆は近隣諸国だけでなく、欧州諸国への輸出品としても重要な役割を果たしており、政治的・経済的な安定が農業の基盤強化に直結します。特に、国境を越えた食料安全保障や地域内紛争の緩和において、ケニアの農業発展は貢献できる可能性が大いにあります。
今後の持続可能な成長のために、単なる生産量増加を目指すのではなく、環境や社会的側面も考慮した包括的なアプローチが必要です。農業技術の革新や市場アクセスの強化に加え、小規模農家への支援拡大を通じて、地域の一体性を深める取り組みが求められます。これにより、ケニアのエンドウ豆産業を安定的に拡大させることが可能となるでしょう。