国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公表した最新データによると、中国、台湾 中国省におけるエンドウ豆(生)の生産量は、1961年の7,999トンから1977年にはピークとなる33,445トンに急上昇しました。しかし、その後は徐々に減少傾向を示し、2023年には2,517トンと、記録があるなかでの最低生産量を記録しています。これにより、この地域の農業構造や経済的要因、さらに地政学的要因が与える影響が浮き彫りとなっています。
中国、台湾 中国省のエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2,517 |
-5.68% ↓
|
2022年 | 2,668 |
-26.43% ↓
|
2021年 | 3,627 |
-7.62% ↓
|
2020年 | 3,926 |
-3.29% ↓
|
2019年 | 4,060 |
5.18% ↑
|
2018年 | 3,860 |
-5.76% ↓
|
2017年 | 4,096 |
-9% ↓
|
2016年 | 4,501 |
19.29% ↑
|
2015年 | 3,773 |
-26.42% ↓
|
2014年 | 5,128 |
23.95% ↑
|
2013年 | 4,137 |
-3.25% ↓
|
2012年 | 4,276 |
-36.48% ↓
|
2011年 | 6,732 |
8.2% ↑
|
2010年 | 6,222 |
-6.48% ↓
|
2009年 | 6,653 |
-6.65% ↓
|
2008年 | 7,127 |
13.22% ↑
|
2007年 | 6,295 |
-19.41% ↓
|
2006年 | 7,811 |
-0.52% ↓
|
2005年 | 7,852 |
-9.36% ↓
|
2004年 | 8,663 |
-4.74% ↓
|
2003年 | 9,094 |
-19.15% ↓
|
2002年 | 11,248 |
-0.28% ↓
|
2001年 | 11,280 |
-25.87% ↓
|
2000年 | 15,216 |
-18.48% ↓
|
1999年 | 18,665 |
21.05% ↑
|
1998年 | 15,419 |
-1.26% ↓
|
1997年 | 15,616 |
-26.09% ↓
|
1996年 | 21,128 |
13.41% ↑
|
1995年 | 18,630 |
-1.03% ↓
|
1994年 | 18,824 |
15.31% ↑
|
1993年 | 16,324 |
-27.37% ↓
|
1992年 | 22,477 |
-9.32% ↓
|
1991年 | 24,787 |
-21.03% ↓
|
1990年 | 31,386 |
-2.57% ↓
|
1989年 | 32,213 |
-0.4% ↓
|
1988年 | 32,342 |
48.22% ↑
|
1987年 | 21,821 |
-11.32% ↓
|
1986年 | 24,606 |
20.35% ↑
|
1985年 | 20,445 |
1.61% ↑
|
1984年 | 20,121 |
21.04% ↑
|
1983年 | 16,624 |
-11.33% ↓
|
1982年 | 18,749 |
-5.43% ↓
|
1981年 | 19,826 |
-7.54% ↓
|
1980年 | 21,443 |
-14.4% ↓
|
1979年 | 25,051 |
-18.72% ↓
|
1978年 | 30,819 |
-7.85% ↓
|
1977年 | 33,445 |
60.53% ↑
|
1976年 | 20,834 |
-23.22% ↓
|
1975年 | 27,134 |
2.76% ↑
|
1974年 | 26,405 |
54% ↑
|
1973年 | 17,146 |
-7.69% ↓
|
1972年 | 18,574 |
15.82% ↑
|
1971年 | 16,037 |
-32.18% ↓
|
1970年 | 23,647 |
50.64% ↑
|
1969年 | 15,698 |
51.17% ↑
|
1968年 | 10,384 |
-31.7% ↓
|
1967年 | 15,204 |
29.04% ↑
|
1966年 | 11,782 |
2.15% ↑
|
1965年 | 11,534 |
40.23% ↑
|
1964年 | 8,225 |
-8.22% ↓
|
1963年 | 8,962 |
7.02% ↑
|
1962年 | 8,374 |
4.69% ↑
|
1961年 | 7,999 | - |
中国、台湾 中国省のエンドウ豆(生)の生産推移データを見ると、1960年代から1970年代にかけて生産量が着実に増加し、1977年に33,445トンのピークに達しています。この時期の増加は、農業技術の進展や国の農業振興策が直接的に貢献した可能性があります。しかし1980年代以降、生産量は減少に転じ、2005年以降は大幅な縮小傾向が顕著となっています。例えば2013年から2023年の10年間で、生産量は4,137トンから2,517トンへと40%以上の減少を記録しました。
この減少にはいくつかの要因が考えられます。まず、経済発展に伴う都市化や産業構造の変化が挙げられます。エンドウ豆は主に食料作物として生産されてきましたが、都市化の進展により、農地が非農業用途に転換される例が増え、エンドウ豆の作付面積が減少したとみられます。また、エンドウ豆の生産は、他の高付加価値作物(例えば果樹や経済作物)への転換に圧迫された可能性があります。このような背景の中、大豆やトウモロコシといった他の作物と比較して、エンドウ豆の市場競争力が相対的に低かったことが影響していると推測されます。
さらに、一部の地政学的および気候的要因も、生産量の減少に影響を与えたと考えられます。特に、近年の気候変動や極端な天候条件はエンドウ豆栽培に不利な環境を生み出しており、これが収穫量の安定性を損なう要因になっています。また、地政学的背景として、中国本土と台湾の政治的緊張が農業政策や市場環境に少なからず影響を及ぼしていることもあり、これが農業生産への間接的影響を与えているかもしれません。
未来を見据えると、この減少傾向を食い止めるには、いくつかの対策が考えられます。まず、農業技術の改善や新品種の開発を進め、エンドウ豆の収穫量効率を高める必要があります。例えば、病害虫の抵抗性を持つ作物の育成や、環境条件に適した品種改良が有効でしょう。また、生産性を向上させるためのスマート農業技術の導入も検討すべきです。AIやセンサー技術を活用した精密農業は、収量管理の効率化に寄与する可能性があります。
さらに、地元の農家を対象とした市場環境の整備も重要です。エンドウ豆の利用促進や商品価値の向上を図るため、国際市場での販売機会を増やすとともに、加工食品や冷凍食品といった二次製品の製造を推進することで、付加価値を高めることができます。
そして、最も重要な点として、緊迫した地政学的状況の中でも、農業分野での協力の枠組みを維持するための努力が求められます。国際的な農業協力プログラムに積極的に参加することで、技術や資源の共有が可能になります。また、持続可能な農業の実現には、気候変動に対する適応策の共有や環境保護活動への取り組みが欠かせません。
結論として、エンドウ豆の生産量減少は、中国、台湾 中国省における農業の変化や経済、環境、地政学的要因が複雑に絡み合った結果として現れています。しかし、技術革新や国際協力、政策の強化を通じて、未来の生産量の回復基盤を築くことは可能です。この取り組みは、単にエンドウ豆生産だけではなく、地域全体の農業の持続性を高める上でも有益と言えるでしょう。