Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、タンザニア連合共和国のエンドウ豆(生)の生産量は、1996年の2,500トンから2023年には9,590トンに増加しています。一時的な変動はあるものの、生産量の全体的な傾向は増加基調を示しています。特に2000年以降の伸びが顕著で、2012年には10,000トンに達しました。その後、安定的な生産量が維持されていますが、近年は9,500トン前後で横ばいの状態を示しています。
タンザニア連合共和国のエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 9,590 |
0.15% ↑
|
2022年 | 9,576 |
-0.2% ↓
|
2021年 | 9,595 |
-0.04% ↓
|
2020年 | 9,599 |
0.7% ↑
|
2019年 | 9,533 |
-1.26% ↓
|
2018年 | 9,654 |
0.45% ↑
|
2017年 | 9,611 |
2.97% ↑
|
2016年 | 9,333 |
-6.85% ↓
|
2015年 | 10,019 |
5.69% ↑
|
2014年 | 9,480 |
11.53% ↑
|
2013年 | 8,500 |
-15% ↓
|
2012年 | 10,000 |
25% ↑
|
2011年 | 8,000 |
11.11% ↑
|
2010年 | 7,200 |
3.68% ↑
|
2009年 | 6,945 |
7.72% ↑
|
2008年 | 6,447 |
7.46% ↑
|
2007年 | 6,000 |
7.37% ↑
|
2006年 | 5,588 |
8.43% ↑
|
2005年 | 5,153 |
9.65% ↑
|
2004年 | 4,700 |
8.75% ↑
|
2003年 | 4,322 |
23.47% ↑
|
2002年 | 3,500 |
-7.59% ↓
|
2001年 | 3,788 |
2.37% ↑
|
2000年 | 3,700 |
5.71% ↑
|
1999年 | 3,500 |
6.06% ↑
|
1998年 | 3,300 |
16.58% ↑
|
1997年 | 2,831 |
13.23% ↑
|
1996年 | 2,500 | - |
タンザニア連合共和国は農業が主要産業の一つであり、エンドウ豆も重要な作物として知られています。この作物の生産量は、1990年代後半から2023年にかけて着実に増加しており、特に急成長が見られた時期が2度あります。1つ目は2000年代前半で、1996年に2,500トンだった生産量が2005年には倍増して5,153トンとなりました。この時期の伸びは農業技術の向上と、国内外の需要増加が寄与したと考えられます。2つ目の伸びは2012年の10,000トンへの到達で、この成果は、農地拡大とともに政府や国際機関による農業支援政策が効果を上げた結果と分析されます。
しかし2012年以降は増加のペースが鈍化し、むしろやや減少傾向となりました。2016年以降の生産量は安定しつつも、10,000トンを再突破するには至っていません。この横ばいの背景として、天候変動や、水資源の不足、インフラの制限が一因として挙げられます。また、2020年代に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、輸送や労働力の不足が一時的に生産活動に影響を与えた可能性があります。
国際比較を行うと、エンドウ豆の主要輸出国であるアメリカやインドと比較すると、タンザニアの生産量は非常に限定的です。しかし、アフリカ全体の中では中規模の生産国として重要な役割を果たしています。近年の横ばい傾向を打破し、再び持続的成長を実現するためには、いくつかの対策が求められます。
まず、気候変動への対応策として耐乾性品種の開発が挙げられます。タンザニアでは気候変化に伴う干ばつリスクが増加しており、持続可能な農業を確立するためには、このような環境に適応した作物の普及が必要です。また、農業における灌漑技術の普及と効率化も、収量増加の鍵となるでしょう。さらに、農家への金融支援や教育プログラムの実施を通じて、収益性を高める施策も欠かせません。
地政学的な側面では、タンザニアは東部アフリカ共同体(EAC)の一員として、近隣諸国との農業協力を進めることで、地域間での物流効率化や市場の拡大を図ることが可能です。特に巨大な市場を持つインドや中国向けの輸出を促進する戦略が有効と考えられます。
結論として、タンザニアのエンドウ豆生産は長期的に見て成長を遂げながら、近年は横ばいとなっています。この停滞を解消し持続的に発展させるためには、多方面でのアプローチが必要です。具体的には、農業技術の革新、気候変動対策、地域間協力の強化、インフラ整備が挙げられます。これらの施策を実現することで、国内農業の持続可能性だけでなく、地域全体の食料安全保障にも貢献することが期待されます。