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ドイツのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新の最新データによると、ドイツのエンドウ豆(生)の生産量は1961年から2023年にかけて大きく変動してきました。特に1960年代から1980年代にかけては生産量が比較的高水準で推移していたものの、1990年代以降急激に減少しました。2000年代以降は安定傾向にありますが、2023年の生産量は20,310トンと、近年の中でも低い水準を記録しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 20,310
-27.77% ↓
2022年 28,120
-6.14% ↓
2021年 29,960
17.44% ↑
2020年 25,510
5.24% ↑
2019年 24,240 -
2018年 24,240
-24.45% ↓
2017年 32,083
16.39% ↑
2016年 27,565
0.71% ↑
2015年 27,370
-5.35% ↓
2014年 28,917
9.61% ↑
2013年 26,382
-4.87% ↓
2012年 27,734
28.9% ↑
2011年 21,516
-13.74% ↓
2010年 24,944
-27.21% ↓
2009年 34,270
16.74% ↑
2008年 29,356
11.48% ↑
2007年 26,334
-6.76% ↓
2006年 28,243
-1.71% ↓
2005年 28,734
-9.37% ↓
2004年 31,705
20.31% ↑
2003年 26,352
-2.12% ↓
2002年 26,922
-0.46% ↓
2001年 27,047
31.92% ↑
2000年 20,503
-13.75% ↓
1999年 23,771
53.34% ↑
1998年 15,502
13.32% ↑
1997年 13,680
-7% ↓
1996年 14,710
-13.45% ↓
1995年 16,996
42.35% ↑
1994年 11,940
-12.58% ↓
1993年 13,658
-22.23% ↓
1992年 17,563
16.69% ↑
1991年 15,051
-82.31% ↓
1990年 85,100
112.75% ↑
1989年 40,000
-6.98% ↓
1988年 43,000
-51.69% ↓
1987年 89,000
65.33% ↑
1986年 53,831
-10.19% ↓
1985年 59,938
-1.73% ↓
1984年 60,992
18.96% ↑
1983年 51,271
-20.75% ↓
1982年 64,692
13.76% ↑
1981年 56,865
14.48% ↑
1980年 49,674
-20.63% ↓
1979年 62,589
-0.9% ↓
1978年 63,158
5.36% ↑
1977年 59,944
22.16% ↑
1976年 49,070
-17.59% ↓
1975年 59,545
-8.68% ↓
1974年 65,205
-2.5% ↓
1973年 66,879
17.91% ↑
1972年 56,719
-29.6% ↓
1971年 80,566
-3.67% ↓
1970年 83,632
-10.53% ↓
1969年 93,471
-16.82% ↓
1968年 112,366
-4.22% ↓
1967年 117,317
22.81% ↑
1966年 95,524
5.93% ↑
1965年 90,175
4% ↑
1964年 86,703
-24.25% ↓
1963年 114,465
-1.6% ↓
1962年 116,323
16.31% ↑
1961年 100,011 -

ドイツのエンドウ豆(生)の生産推移を詳しく見ると、1960年代から1980年代にかけては年による変動が見られるものの、総じて高い生産量を保っていました。例えば、1967年には117,317トンとデータ期間中で最も生産量が多い年となっています。しかし1990年を境に生産量は大幅に減少しました。1991年には急激に15,051トンと落ち込み、その後も1990年代全般を通じて一桁台の平均生産量となりました。

この急激な変動は、農業政策や市場需要の変化に起因すると考えられます。特に、1990年代以降のヨーロッパ連合(EU)での農業支援政策の転換が影響を与えた可能性があります。EUは一部の作物に対して補助金を削減し、競争力のある作物の育成を重視しました。この動きは、エンドウ豆のような一部の主要ではない作物の生産量に直接影響を及ぼしたと考えられます。

2000年代に入ると、ドイツ国内でも有機農業の関心が高まったことによりエンドウ豆の生産は再び安定化しつつあります。特に気候変動への対策や炭素排出削減において、土壌を肥沃にする効果のあるエンドウ豆などのマメ科植物への注目が集まるようになりました。しかし、2010年代にはその安定的な推移に微減傾向が見られ、2023年には20,310トンと過去10年で最も低い生産量となりました。この減少は、近年の気候危機や農地利用の変化と関連している可能性があります。

気候変動がドイツおよびヨーロッパの農業に及ぼす影響は深刻です。気温上昇や降水量不足はエンドウ豆の収穫量を直接的に減少させるだけでなく、栽培可能地域を制限する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、労働者確保やサプライチェーンの断絶なども問題となり、結果として農業生産に悪影響を与えたであろう点は無視できません。

このような状況を受けて、ドイツおよびEU全体で取り組むべき課題は少なくありません。まず、エンドウ豆などの作物を気候変動に適応させるための研究開発が不可欠です。より耐旱性(干ばつに耐える能力)や病害抵抗性を持つ品種の開発が急務です。また農地利用の合理化や効率的な水資源管理も重要な課題となっています。

さらに、生産者が安定的に収益を得られるような政策的支援も検討が求められます。例えば、エンドウ豆を含むマメ科作物の環境的な有用性を評価した新たな補助金制度の導入や、地域消費を促進するマーケティングキャンペーンなどが考えられます。これにより、持続可能な農業の実現と国内市場での需要創出が期待されます。特にエンドウ豆は食糧安全保障や植物性タンパク質の供給源としても注目されており、最近では代替肉製品の原料としての需要も増加しています。

地政学的な観点から見ても、ドイツのエンドウ豆生産は重要なポイントです。ウクライナ戦争などの影響により、食糧供給に関してグローバルな課題が浮上する中で、国内生産を強化することはドイツの食糧安全保障を高めるうえで欠かせない戦略となります。また、EU域内での農業協力や地域間貿易の強化も、生産者にとって新たな市場機会となるでしょう。

結論として、ドイツのエンドウ豆生産量は歴史的に見て大きな変動を経験してきましたが、気候変動や地域的課題への対応を通じて、持続可能な発展への新たな道を模索する時期に差し掛かっています。これを実現するためには、技術革新、政策支援、国際協力が一体となった総合的な取り組みが必要です。

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