タイのエンドウ豆(生)の生産量データを分析すると、1961年から2023年にかけて、生産量は長期的な増加、急減、一時的な回復を繰り返しながら、最近では低水準で安定がみられます。1960年代から1970年代初めまでの緩やかな増加傾向に対し、1975年には驚異的な10,865トンに達する特異な増加が確認されます。その後数年で急激な減少が発生し、それ以降は低迷期を時折挟みながら、2000年代後半にいったん5,000トン台に回復しました。しかし、2010年代以降は再び減少が目立ち、2023年の生産量は2,978トンと、60年以上のデータの中では比較的低い水準に戻っています。
タイのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,978 |
0.88% ↑
|
2022年 | 2,952 |
0.63% ↑
|
2021年 | 2,933 |
3.49% ↑
|
2020年 | 2,834 |
-8.22% ↓
|
2019年 | 3,088 |
7.32% ↑
|
2018年 | 2,878 |
-9.05% ↓
|
2017年 | 3,164 |
-1.82% ↓
|
2016年 | 3,223 |
43.48% ↑
|
2015年 | 2,246 |
-44.17% ↓
|
2014年 | 4,023 |
18.36% ↑
|
2013年 | 3,399 |
-28.12% ↓
|
2012年 | 4,729 |
-31.57% ↓
|
2011年 | 6,910 |
32.48% ↑
|
2010年 | 5,216 |
7.35% ↑
|
2009年 | 4,859 |
3.47% ↑
|
2008年 | 4,696 |
2.33% ↑
|
2007年 | 4,589 |
7.6% ↑
|
2006年 | 4,265 |
17.92% ↑
|
2005年 | 3,617 |
2.7% ↑
|
2004年 | 3,522 |
-35.25% ↓
|
2003年 | 5,439 |
52.27% ↑
|
2002年 | 3,572 |
-7.05% ↓
|
2001年 | 3,843 |
37.59% ↑
|
2000年 | 2,793 |
-20.2% ↓
|
1999年 | 3,500 |
-30% ↓
|
1998年 | 5,000 |
-9.15% ↓
|
1997年 | 5,504 |
-4.52% ↓
|
1996年 | 5,764 |
4.8% ↑
|
1995年 | 5,500 |
1.85% ↑
|
1994年 | 5,400 |
1.89% ↑
|
1993年 | 5,300 |
6.79% ↑
|
1992年 | 4,963 |
-0.74% ↓
|
1991年 | 5,000 |
6.38% ↑
|
1990年 | 4,700 |
-1.05% ↓
|
1989年 | 4,750 |
1.06% ↑
|
1988年 | 4,700 |
1.08% ↑
|
1987年 | 4,650 |
1.09% ↑
|
1986年 | 4,600 |
1.1% ↑
|
1985年 | 4,550 |
1.11% ↑
|
1984年 | 4,500 |
1.12% ↑
|
1983年 | 4,450 |
1.14% ↑
|
1982年 | 4,400 |
1.15% ↑
|
1981年 | 4,350 |
1.16% ↑
|
1980年 | 4,300 |
0.35% ↑
|
1979年 | 4,285 |
-3.95% ↓
|
1978年 | 4,461 |
-0.02% ↓
|
1977年 | 4,462 |
-32.48% ↓
|
1976年 | 6,608 |
-39.18% ↓
|
1975年 | 10,865 |
130.68% ↑
|
1974年 | 4,710 |
-6.86% ↓
|
1973年 | 5,057 |
9.93% ↑
|
1972年 | 4,600 |
6.98% ↑
|
1971年 | 4,300 |
7.5% ↑
|
1970年 | 4,000 |
8.11% ↑
|
1969年 | 3,700 |
8.82% ↑
|
1968年 | 3,400 |
6.25% ↑
|
1967年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
1966年 | 3,000 |
7.14% ↑
|
1965年 | 2,800 |
7.69% ↑
|
1964年 | 2,600 |
8.33% ↑
|
1963年 | 2,400 |
9.09% ↑
|
1962年 | 2,200 |
10% ↑
|
1961年 | 2,000 | - |
タイにおけるエンドウ豆(生)の生産量データは、過去63年にわたる農業の状況や気候、政策などの影響を反映しており、多くの変動が観察されます。データの初期である1961年から、1973年にかけては生産量が緩やかに増加しました。これは、農業技術の改善や農地拡大などの要因が寄与したと推測されます。
1975年に記録された10,865トンという急増は例外的な現象で、これに関しては輸出需要の増加や政策的な介入が背景にある可能性があります。しかし、この急増の後、1977年には4,462トンまで減少しており、不安定な市場状況や気候変動が影響したと考えられます。その後1980年代から1990年代にかけては、4,000~5,000トン台での安定した生産量が維持されました。この期間、冷蔵技術の改良や国内市場の需要の安定化が支持要因として挙げられます。また、世界市場での他の競合国の生産増加もタイの輸出状況に影響を与えた可能性があります。
1999年以降、生産が3,500トン以下となる急激な減少が発生し、その後も2000年代には年々変動を繰り返しました。一部の年には回復がみられるものの、再び減少に向かう傾向が強まりました。この背景には、気候変動による降雨パターンの変化や農家の作付け選択の変化が関係している可能性があります。他の作物との競争や、価格低迷によるエンドウ豆生産の魅力低下がその要因と考えられます。
最近のデータを見ると、2020年代に入ってからは2,800~2,900トン台という低水準で生産量がほぼ一定に推移しています。これは、タイ国内での農産物多様化政策の影響や、エンドウ豆が国外市場で一定の需要を持つものの、他国との競争が激化していることが原因と考えられます。例えば、近年、中国やインドにおける食用エンドウ豆の生産増加や競争力の高い価格設定が、タイの輸出戦略に挑戦をもたらしている可能性があります。
このような状況における課題として、タイではまず持続可能な農業技術の導入と気候変動への適応が求められます。エンドウ豆の品種改良や作付けサイクルの調整、灌漑設備の適切な配備が重要です。また、輸出市場での競争力を高めるためには、品質向上や供給の安定化が不可欠です。さらに、他の国との協調や輸出奨励策を含む政策的な支援により、タイの農業部門全体の強化が進むと予想されます。
地政学的な観点から見ると、タイが輸出相手国と結んでいる経済連携協定や貿易政策の変化がエンドウ豆の需要や供給に影響を与えることが考えられます。世界的な自然災害やパンデミックの影響も含め、物流網の改善やリスク管理が今後さらに重視されるでしょう。
結論として、タイのエンドウ豆生産数はこれまでの変動を経て低水準で安定していますが、これを持続的に成長させるためには、農業技術や政策改善、国際市場との競争力強化が求められます。国際機関と協調した気候変動対策や地域農家のサポートを通じ、タイの農産業はさらに競争力と持続可能性を高めていく可能性があります。