国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、モルドバ共和国のエンドウ豆(生)生産量は1992年の8,000トンからスタートし、その後大きな変動が見られます。ピークは1995年の14,079トンですが、以降は下降傾向が続き、近年は2020年の5,957トン以降下落傾向となり、2023年には3,903トンと大幅に減少しています。長期的には、環境や農業政策の影響が生産量に大きく影響していることが伺えます。
モルドバ共和国のエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 3,903 |
-7.07% ↓
|
2022年 | 4,200 |
-23.64% ↓
|
2021年 | 5,500 |
-7.67% ↓
|
2020年 | 5,957 |
32.11% ↑
|
2019年 | 4,509 |
-6.9% ↓
|
2018年 | 4,843 |
-26.38% ↓
|
2017年 | 6,578 |
18.14% ↑
|
2016年 | 5,568 |
77.78% ↑
|
2015年 | 3,132 |
-67.22% ↓
|
2014年 | 9,555 |
14.51% ↑
|
2013年 | 8,344 |
25.34% ↑
|
2012年 | 6,657 |
3.29% ↑
|
2011年 | 6,445 |
-22.48% ↓
|
2010年 | 8,314 |
66.91% ↑
|
2009年 | 4,981 |
-55.85% ↓
|
2008年 | 11,282 |
209.52% ↑
|
2007年 | 3,645 |
-62.98% ↓
|
2006年 | 9,847 |
14.42% ↑
|
2005年 | 8,606 |
47.84% ↑
|
2004年 | 5,821 |
62.01% ↑
|
2003年 | 3,593 |
-24.1% ↓
|
2002年 | 4,734 |
-2.05% ↓
|
2001年 | 4,833 |
185.3% ↑
|
2000年 | 1,694 |
-46.22% ↓
|
1999年 | 3,150 |
-40.68% ↓
|
1998年 | 5,310 |
-27.26% ↓
|
1997年 | 7,300 |
4.29% ↑
|
1996年 | 7,000 |
-50.28% ↓
|
1995年 | 14,079 |
17.33% ↑
|
1994年 | 12,000 |
50% ↑
|
1993年 | 8,000 | - |
1992年 | 8,000 | - |
エンドウ豆は世界的に広く栽培される主要な豆類で、特に栄養価が高く、食料だけでなく飼料や農業用原材料としても重要です。モルドバ共和国のエンドウ豆生産量の推移データを分析すると、1992年以降生産は大きな変動を見せており、その背景には気候条件、農業技術、経済的要因が複雑に絡んでいます。
1992年から1995年にかけて生産量は増加しましたが、その後1996年以降急激に減少傾向に転じています。特に1999年の3,150トンや2000年の1,694トンといった数値は過去最低値に近いものです。この背景には、市場価格の変動、農業への投資不足、さらにはモルドバ全体の経済的困難が大きく影響したと考えられます。加えて、モルドバは農業に大きく依存する国でありながら、天候に対する脆弱性が課題となってきました。旱魃(かんばつ)や寒波といった自然災害によってエンドウ豆の生産量が著しく不安定となった時期も複数見られます。
2005年以降は生産量が9,000トン前後に持ち直すことが多く見られましたが、年間の変動は依然として大きい状況です。2015年の3,132トンや2017年の6,578トン、2020年の5,957トンを見ると、これらの年間生産量の不安定さがいまだにモルドバにとっての大きな課題であり、一定水準の供給を維持するためには更なる政策的な介入が必要です。
直近のデータを見ると、2023年の生産量は3,903トンと再び過去水準に近い落ち込みを見せています。近年、地政学的リスクの高まりが地域農業に悪影響を及ぼしています。例えば、ロシアとウクライナ間の紛争により肥料や燃料の価格が上昇し、農業におけるコストが増加した点は見逃せません。同時に、気候変動の加速により、気温上昇や降雨量の変化がエンドウ豆の収穫に悪影響を与えている可能性が高いと考えられます。
そのため、モルドバがエンドウ豆生産の安定化を実現するためには、以下の具体策の採用が重要です。まず、気候変動への対応策として、耐候性のあるエンドウ豆の品種開発と導入を進めるべきです。また、灌漑システムや排水システムを整備し、乾燥や洪水時の被害を軽減することが求められます。さらに、農業全体の競争力を向上させるために機械化やデジタル技術の導入を促進し、効率性を高める必要があります。
国際的な視点から見ると、モルドバのこの問題は他の多くの国々にも共通する課題と言えます。例えば、日本や韓国は効率的な農業技術の開発で気候の変化に対応し、アメリカやドイツなどは市場支援策により農家所得を補填する動きを見せています。モルドバがこれらの事例を参考にした政策を採り入れることは、生産量の安定的な増加だけでなく、農業産業全体の強化にも繋がるでしょう。
結論として、モルドバ共和国はエンドウ豆の生産量推移において課題が多いものの、それらが克服可能な領域にあります。国や地域の協力を得ながら、持続可能な農業モデルを構築していくことで、生産の改善に加え、国民の栄養供給や経済安定にも大きく寄与できると考えられます。一方で、地政学的リスクが依然として続く中、外部環境への柔軟な対応力をいかに強化するかが、今後の生産改善の鍵となるでしょう。