FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、チュニジアのエンドウ豆(生)の生産量は、1961年の6,300トンから2023年の54,052トンまで大きく増加してきました。特に2010年以降、生産量の急増が見られ、近年は5万トンを超える高い水準を維持しています。しかし、長いスパンで見ると生産量の変動が激しい時期もあり、気候条件や農業政策がその背景に影響を与えたと考えられます。
チュニジアのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 54,052 |
1.26% ↑
|
2022年 | 53,381 |
-0.25% ↓
|
2021年 | 53,516 |
-0.43% ↓
|
2020年 | 53,747 |
1.64% ↑
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2019年 | 52,880 |
-1.93% ↓
|
2018年 | 53,920 |
-0.96% ↓
|
2017年 | 54,440 |
8.27% ↑
|
2016年 | 50,280 |
-11.85% ↓
|
2015年 | 57,040 |
1.86% ↑
|
2014年 | 56,000 |
48.15% ↑
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2013年 | 37,800 |
-16.26% ↓
|
2012年 | 45,140 |
-20.74% ↓
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2011年 | 56,950 |
59.03% ↑
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2010年 | 35,810 |
153.97% ↑
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2009年 | 14,100 |
11.9% ↑
|
2008年 | 12,600 |
-17.65% ↓
|
2007年 | 15,300 |
2% ↑
|
2006年 | 15,000 |
-6.25% ↓
|
2005年 | 16,000 |
5.26% ↑
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2004年 | 15,200 |
6.29% ↑
|
2003年 | 14,300 |
-1.38% ↓
|
2002年 | 14,500 |
3.57% ↑
|
2001年 | 14,000 |
-33.33% ↓
|
2000年 | 21,000 |
5% ↑
|
1999年 | 20,000 | - |
1998年 | 20,000 |
51.52% ↑
|
1997年 | 13,200 |
10% ↑
|
1996年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
1995年 | 11,000 |
-15.38% ↓
|
1994年 | 13,000 |
-27.78% ↓
|
1993年 | 18,000 |
-25% ↓
|
1992年 | 24,000 |
-4% ↓
|
1991年 | 25,000 |
25% ↑
|
1990年 | 20,000 |
-3.38% ↓
|
1989年 | 20,700 |
44.76% ↑
|
1988年 | 14,300 |
-31.9% ↓
|
1987年 | 21,000 |
75% ↑
|
1986年 | 12,000 |
-37.82% ↓
|
1985年 | 19,300 |
4.32% ↑
|
1984年 | 18,500 |
-17.78% ↓
|
1983年 | 22,500 |
33.93% ↑
|
1982年 | 16,800 |
12% ↑
|
1981年 | 15,000 |
4.17% ↑
|
1980年 | 14,400 |
-4% ↓
|
1979年 | 15,000 |
20% ↑
|
1978年 | 12,500 |
-25.6% ↓
|
1977年 | 16,800 |
-27.27% ↓
|
1976年 | 23,100 |
54% ↑
|
1975年 | 15,000 |
-6.25% ↓
|
1974年 | 16,000 |
11.11% ↑
|
1973年 | 14,400 |
-48.01% ↓
|
1972年 | 27,700 |
136.75% ↑
|
1971年 | 11,700 |
-7.87% ↓
|
1970年 | 12,700 |
-5.22% ↓
|
1969年 | 13,400 |
36.73% ↑
|
1968年 | 9,800 |
11.36% ↑
|
1967年 | 8,800 |
-17.76% ↓
|
1966年 | 10,700 |
3.88% ↑
|
1965年 | 10,300 |
49.28% ↑
|
1964年 | 6,900 |
-52.74% ↓
|
1963年 | 14,600 |
124.62% ↑
|
1962年 | 6,500 |
3.17% ↑
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1961年 | 6,300 | - |
チュニジアのエンドウ豆(生)の生産量の推移を振り返ると、1960年代から1980年代中盤にかけて緩やかな増加傾向が見られます。ただし、生産量は年度ごとに大きな変動があり、特に1972年の27,700トンのピークと翌1973年の14,400トンの落ち込みは、気象条件の影響が顕著であったことが示唆されます。この時期、チュニジアの農業は多くの場合、雨水に依存していたため、降水量の変化や干ばつが即座に生産量に影響を与えたと考えられます。
1990年代に入ると、技術革新や農業政策の改革に伴い、生産量が比較的安定した傾向を示しましたが、この時期では20,000トン前後の生産水準に留まりました。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、農業基盤の整備や生産技術の向上が進んだものの、大きな成長には至りませんでした。
2010年以降の記録を見ると、生産量が急激に増加し、35,810トン(2010年)から56,950トン(2011年)への急成長が見られます。この急増は、気候条件や技術進歩に加え、政府の農業支援政策が奏効した可能性があります。また、国際マーケットの需要増加や作物収益性の向上が、生産拡大を後押しした要因として考えられます。その後も2023年まで、エンドウ豆の生産量は5万トン台を安定的に推移しています。
現状の生産量維持の背景には、効率的な灌漑プロジェクトや高品質種子の導入、さらには農業従事者への教育プログラムの実施が貢献していると考えられます。一方で課題としては、気候変動による不確実性への対応が挙げられます。特に、干ばつの頻発や気温上昇が植物の成長に与える影響は、中長期的な視点で対策が求められる問題です。
加えて、チュニジアのエンドウ豆生産は国内市場向けだけでなく輸出市場への供給も見込まれていますが、輸送インフラの不備や国際市場での需要変動が、輸出の安定性を妨げるリスクとして存在します。さらに、特定の地域における生産集中は、地域的な貧富の格差や農業の脆弱性を助長する可能性があります。
今後の対策として、第一に、気候変動に対応した農業技術の導入が必要です。例えば、干ばつに強い品種の開発や持続可能な灌漑技術の普及が効果的です。次に、農業サプライチェーン全体を強化することで、輸送や保管段階での損失を最小化することが求められます。さらに、農家への金融制度の充実により、初期投資の負担を軽減し、生産効率を向上させることが可能となるでしょう。
加えて、国際協力や地域レベルでのパートナーシップを活用し、新しい市場開拓や技術交流を促進することも重要です。こうした取り組みを通じて、チュニジアのエンドウ豆生産が持続可能性を高めながらさらに発展していくことが期待されます。
結論として、チュニジアのエンドウ豆生産量は過去数十年で飛躍的に増加しましたが、気候変動や国際市場変動に対する脆弱性の克服が課題です。これを受け、持続可能な農業技術と政策支援の強化が今後の発展を支える鍵となるでしょう。