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南アフリカのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、2023年の南アフリカにおける生のエンドウ豆の生産量は6,197トンで、前年2022年の5,118トンから増加しました。しかし、1960年代から現在までの長期的なデータを比較すると、生産量は大幅に減少しており、特に1990年代以降、その減少傾向が顕著です。ピーク時の1966年には37,000トンを記録しており、この数値と比較すると現在の生産量は6分の1以下となっています。この減少の背景には、気候変動、農業政策、土地利用の変化など、複数の要因が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,197
21.08% ↑
2022年 5,118
-0.81% ↓
2021年 5,160
18.81% ↑
2020年 4,343
209.77% ↑
2019年 1,402
-70.99% ↓
2018年 4,832
-45.68% ↓
2017年 8,895
4.59% ↑
2016年 8,505
-21.98% ↓
2015年 10,901
17% ↑
2014年 9,317
-21.3% ↓
2013年 11,839
10.06% ↑
2012年 10,757
28.75% ↑
2011年 8,355
-29.79% ↓
2010年 11,900
-29.91% ↓
2009年 16,978
9.23% ↑
2008年 15,543
9.38% ↑
2007年 14,210
-7.47% ↓
2006年 15,357
-0.7% ↓
2005年 15,466
7.95% ↑
2004年 14,327
53.74% ↑
2003年 9,319
-43.8% ↓
2002年 16,581
11.78% ↑
2001年 14,834
-8% ↓
2000年 16,124
-23.86% ↓
1999年 21,178
-10.38% ↓
1998年 23,631
9.67% ↑
1997年 21,548
30.21% ↑
1996年 16,549
24.2% ↑
1995年 13,324
-24.39% ↓
1994年 17,622
-7.75% ↓
1993年 19,103
-1.78% ↓
1992年 19,449
30.07% ↑
1991年 14,953
-36.11% ↓
1990年 23,404
-14.95% ↓
1989年 27,517
4.66% ↑
1988年 26,293
-1.36% ↓
1987年 26,656
15.9% ↑
1986年 23,000
-8% ↓
1985年 25,000 -
1984年 25,000
19.05% ↑
1983年 21,000
-12.5% ↓
1982年 24,000 -
1981年 24,000
4.35% ↑
1980年 23,000
9.52% ↑
1979年 21,000
-12.5% ↓
1978年 24,000
-7.69% ↓
1977年 26,000
4% ↑
1976年 25,000
31.58% ↑
1975年 19,000
-5% ↓
1974年 20,000
5.26% ↑
1973年 19,000
-29.63% ↓
1972年 27,000
22.73% ↑
1971年 22,000
-4.35% ↓
1970年 23,000
-11.54% ↓
1969年 26,000
-7.14% ↓
1968年 28,000
-22.22% ↓
1967年 36,000
-2.7% ↓
1966年 37,000
42.31% ↑
1965年 26,000
-10.34% ↓
1964年 29,000
11.54% ↑
1963年 26,000 -
1962年 26,000
8.33% ↑
1961年 24,000 -

南アフリカのエンドウ豆(生)の生産量については、1961年に24,000トンで始まり、その後1960年代半ばまでは増加傾向を見せ、1966年には37,000トンの最高値を記録しました。しかし、それ以降は長期的に減少を続け、特に1990年代以降では一貫して20,000トン以下となり、2020年代に入っても5,000トン前後と低水準にとどまっています。この減少にはいくつかの要因が考えられます。

まず、気候変動の影響が大きいとされています。南アフリカは乾燥や干ばつに見舞われやすい地域であり、気候の変動が農作物の生産に多大な影響を及ぼします。特に、1991年から1995年にかけての急激な生産量の減少や、2003年以降の極端な落ち込みは、干ばつや異常気象と関連している可能性があります。また、土壌の劣化や水資源の不足も生産量に影響を及ぼしており、農産物の多様性を維持することが難しい状況が続いています。

さらに、経済的な要因も無視できません。南アフリカでは、商品の市場価値や輸出適性、農業補助金の配分が変化する中で、エンドウ豆のような特定の作物が他の高収益作物に置き換えられた可能性があります。具体的には果物や特定の穀物が優先される傾向がみられます。生産量が大幅に減少した1990年代以降、エンドウ豆は他の農業活動に比べ収益性が低いと判断され、作付面積が減った可能性が考えられます。

もう一つ注目すべき点は政策面です。南アフリカにおける農業政策は、その歴史的背景として、土地の利用や所有に関して不平等の問題を抱えています。これが農業の革新や効率的な生産拡大の妨げとなっている可能性があります。

データを見ると、2011年から2019年の間にかけて、生産量が一段と低下したのが確認されます。このような状況は、地域経済だけでなく、現地住民の食料安全保障や栄養状態にも影響を及ぼします。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響によって、輸送や供給網が混乱したことが生産と流通に打撃を与えたことも要因として挙げられるでしょう。

一方で、2020年以降にはわずかながら回復傾向が見られることは希望の兆しといえるでしょう。この回復には、農業技術の向上や、生産量を増やすための資金援助プログラムなどが影響している可能性があります。また、グローバル市場での需要の増加も生産意欲を高める要因となっています。

今後の対策としては、まず水資源管理の強化や、気候変動への適応技術(例えば耐乾性品種の導入や灌漑インフラの改善)の促進が必要です。また、小規模農家を中心とした支援プログラムを整備し、生産コストの軽減や市場のアクセス改善に取り組むことが重要です。さらに、地域間での協力体制を確立し、南部アフリカ全体での農業生産性向上を図ることも必要になるでしょう。

地政学的な背景として、南アフリカはアフリカ南部の中核的な農業国であり、地域の食料供給において重要な役割を持っています。しかし、国内の課題が解決されない場合、国境を超えた食料安全保障が脅かされる可能性があります。特に、干ばつや自然災害が頻発する中、地域全体での共同対策が急務と言えるでしょう。

結論として、南アフリカのエンドウ豆生産量の長期的な減少は、気候変動、経済政策の変化、そして土地利用の問題など、複数の要因が絡み合った結果であると考えられます。その改善に向けては、国内政策の再検討と国際協力に基づいた包括的なアプローチが必要です。このような対策によって生産量の安定と地域農業の振興が期待できます。

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