国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、エチオピアのエンドウ豆(生)の生産量は、2000年から着実に増加を続け、2012年に3,000トンに達しました。その後、2013年以降は3,000トン台で推移し比較的安定したものの、やや減少傾向も見られます。2023年の生産量は3,256トンで、過去最高値を記録した2015年の3,333トンと比べ微減しています。
エチオピアのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 3,256 |
0.2% ↑
|
2022年 | 3,249 |
-0.5% ↓
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2021年 | 3,266 |
0.4% ↑
|
2020年 | 3,253 |
0.71% ↑
|
2019年 | 3,230 |
-2.57% ↓
|
2018年 | 3,315 |
3.14% ↑
|
2017年 | 3,214 |
1.69% ↑
|
2016年 | 3,160 |
-5.18% ↓
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2015年 | 3,333 |
5.87% ↑
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2014年 | 3,148 |
4.94% ↑
|
2013年 | 3,000 | - |
2012年 | 3,000 |
9.52% ↑
|
2011年 | 2,739 |
5.28% ↑
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2010年 | 2,602 |
5.58% ↑
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2009年 | 2,464 |
5.92% ↑
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2008年 | 2,326 |
6.31% ↑
|
2007年 | 2,188 |
6.74% ↑
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2006年 | 2,050 |
7.23% ↑
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2005年 | 1,912 |
7.81% ↑
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2004年 | 1,773 |
8.49% ↑
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2003年 | 1,635 |
9.39% ↑
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2002年 | 1,494 |
11.04% ↑
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2001年 | 1,346 |
34.59% ↑
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2000年 | 1,000 | - |
エチオピアのエンドウ豆生産量のデータを見ると、2000年から2015年までの15年間で生産量が1,000トンから3,333トンと約3.3倍に増加していることが明らかです。この成長は、農業分野における耕作地の拡大、灌漑インフラの改善、農業技術の普及などの政策的な取り組みの成果と考えられます。特に、2012年を境に3,000トンの大台を突破した点は、生産効率の向上や需要の高まりを示していると言えます。
一方で、2015年以降の生産量の推移を見ると、安定化はしているものの、増加が鈍化していることが分かります。2019年以降には微減傾向も見られ、2023年の生産量は3,256トンと、これまでの最高記録に届かない状況です。この背景には、気候変動による不安定な天候や干ばつ、農地の減少や土壌の劣化といった環境的な要因が影響している可能性があります。また、エチオピアの地域情勢と社会的課題も重要な側面として挙げられます。隣国との地域衝突や内部の政治的不安定さが、農業生産の停滞に間接的な影響を与えた可能性が考えられるでしょう。
さらに、2020年以降は新型コロナウイルスのパンデミックによる世界的な物流の停滞や国内経済への影響が、農作物生産と流通に負の影響を及ぼしたことも想定されます。特に、エンドウ豆は輸出作物としての側面を持つため、国際的な需要の変化も生産量に関連している可能性が高いです。
今後の展望として、エンドウ豆の持続可能な生産のためにいくつかの具体的な対策が提案されます。まず、エチオピアの農業は依然として自然要因に大きく依存しているため、灌漑施設のさらなる整備や、土壌改良に向けた科学的アプローチが不可欠です。次に、気候変動の影響を軽減するための気候対応型農業の導入も求められます。このアプローチは、干ばつ耐性の高い品種の開発や土壌保全技術の普及を含みます。また、エンドウ豆の輸出先市場の多様化と拡大も、国際経済のリスクに対するバッファーとなり得ます。一方で、地域情勢や治安の安定も不可欠で、国内政策および国際協力による調整が求められるでしょう。
最終的に、エチオピアがこの課題を克服するためには、農業政策の強化と幅広い持続可能な開発目標(SDGs)への整合性が鍵となります。特に、食糧安全保障や気候行動分野での国際的な援助も視野に入れるべきです。これにより、今後のエンドウ豆生産量の安定と更なる成長を目指し、国内外の需要を持続して満たす基盤を形成することが可能となるでしょう。