リトアニアのエンドウ豆(生)生産量は1990年代に比較的高い値を維持していましたが、それ以後、顕著な減少を見せています。ピーク時の1997年の8,000トンから、2023年には190トンへと大幅に減少する傾向が見られます。一部の年ではわずかな回復も記録されていますが、全体的には一貫して減少傾向にあります。これは生産インフラの変化や市場需要の低下、農業政策の転換に加え、地域的な地政学的背景も影響していると考えられます。
リトアニアのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 190 |
-44.12% ↓
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2022年 | 340 |
-17.07% ↓
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2021年 | 410 |
32.26% ↑
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2020年 | 310 |
-24.39% ↓
|
2019年 | 410 |
78.26% ↑
|
2018年 | 230 |
-20.69% ↓
|
2017年 | 290 |
-52.07% ↓
|
2016年 | 605 |
24.74% ↑
|
2015年 | 485 |
-26.07% ↓
|
2014年 | 656 |
-20.77% ↓
|
2013年 | 828 |
1.85% ↑
|
2012年 | 813 |
-24.58% ↓
|
2011年 | 1,078 |
35.6% ↑
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2010年 | 795 |
-16.23% ↓
|
2009年 | 949 |
149.74% ↑
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2008年 | 380 |
15.85% ↑
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2007年 | 328 |
22.39% ↑
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2006年 | 268 |
-15.99% ↓
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2005年 | 319 |
89.88% ↑
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2004年 | 168 |
-63% ↓
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2003年 | 454 |
-88.65% ↓
|
2002年 | 4,000 |
-20% ↓
|
2001年 | 5,000 |
-16.67% ↓
|
2000年 | 6,000 |
20% ↑
|
1999年 | 5,000 |
-23.08% ↓
|
1998年 | 6,500 |
-18.75% ↓
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1997年 | 8,000 |
25% ↑
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1996年 | 6,400 |
28% ↑
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1995年 | 5,000 |
25% ↑
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1994年 | 4,000 |
-13.04% ↓
|
1993年 | 4,600 |
100% ↑
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1992年 | 2,300 | - |
Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した2024年版の最新データによると、リトアニアにおけるエンドウ豆(生)の生産量は、過去30年以上にわたって大幅な変化を経験しています。特に注目すべきは、1997年の8,000トンというピークから、2023年の190トンという歴史的低水準に至るまでの劇的な減少です。このデータには、リトアニア農業全体を取り巻く変化および多様な外的要因が反映されています。
1990年代初頭、リトアニアはソビエト連邦からの独立を経て、いまだに国家体制や農業経済の再構築期にありました。当時、エンドウ豆のような作物は食料供給や国内需要を支える重要な役割を果たしていました。しかしながら2000年代に入ると、国際農業市場との統合が進む中で、主要農産物の生産が国際市場の競争力を持つ作物にシフトしました。また、リトアニアは2004年に欧州連合(EU)に加盟しましたが、EU政策の中での補助金体系や農業の優先作物の選定などがエンドウ豆生産に不利な影響を及ぼした可能性があります。
こうした政策変化に加え、農業における投資の減少や生産コストの上昇も、エンドウ豆生産量の縮小を引き起こした要因と考えられます。特に2003年から2008年にかけて100トン未満に落ち込んだ時期は、地政学的リスクや市場の影響を敏感に受けた結果と見られます。さらに気候変動も、農業全般、とりわけエンドウ豆のような気候依存度の高い作物の生産に、長期的な影響を及ぼしていると推察されます。
近年では、世界的なコロナウイルス感染症のパンデミックも農業生産に間接的な影響を与えました。特に2020年以降、物流の停滞や労働力の不足、農薬・肥料価格の上昇がリトアニアの農業産業全般に困難をもたらし、その結果、エンドウ豆の生産量も低水準に留まっています。2023年にはわずか190トンと、データ上で観測可能な期間の中で最低の数字を記録しました。
リトアニア政府と国際機関にとって、こうした状況を改善するための対策が急務です。具体的には、持続可能な農業モデルの確立が求められます。エンドウ豆生産を奨励するために、土壌状況に合わせた栽培技術や効率的な生産方式の導入が効果的でしょう。また、EUの枠組みを活用し、エンドウ豆を重要作物として再評価し、関連補助金を得るための政治的努力も必要です。
さらには、地域間協力を進め、東欧諸国との貿易関係を強化することで、生産されたエンドウ豆の市場を拡大することが考えられます。一方で、地政学的なリスクにも目を向ける必要があります。例えば、ウクライナ情勢とロシアの政治的動きは、リトアニアを含む東欧地域全体の農業輸出政策に影響を与えています。このようなリスク管理の一環として、国際組織との連携を深めることが重要です。
結論として、リトアニアのエンドウ豆生産の復興には、政策的努力、技術革新、国際協力が不可欠です。また、農業従事者への教育やインフラ整備も生産量の安定化には大きく寄与するでしょう。エンドウ豆はその栄養価の高さからも今後の食品需要において価値のある作物であり、これを基盤にした農業の再構築を目指すべきです。