キルギスタンのエンドウ豆(生)の生産量は、2000年代初頭には300から400トン程度で推移していました。しかし、2008年以降、生産量は大幅に増加し、1,000トンを超えるレベルに達しました。この傾向はその後も継続し、2010年には1,300トンとピークに達する一方で、その後若干の変動が見られるものの1,000トン前後の安定した水準を維持しています。2023年には987トンと、過去15年間で比較的安定した生産量を示しました。
キルギスタンのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 987 |
0.13% ↑
|
2022年 | 985 |
-0.61% ↓
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2021年 | 991 |
0.83% ↑
|
2020年 | 983 |
0.19% ↑
|
2019年 | 981 |
-2.8% ↓
|
2018年 | 1,010 |
5.32% ↑
|
2017年 | 959 |
-1.76% ↓
|
2016年 | 976 |
-2.42% ↓
|
2015年 | 1,000 |
11.11% ↑
|
2014年 | 900 |
-12.4% ↓
|
2013年 | 1,027 |
-2.9% ↓
|
2012年 | 1,058 |
5.81% ↑
|
2011年 | 1,000 |
-23.08% ↓
|
2010年 | 1,300 |
30% ↑
|
2009年 | 1,000 | - |
2008年 | 1,000 |
150% ↑
|
2007年 | 400 |
33.33% ↑
|
2006年 | 300 |
-25% ↓
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2005年 | 400 | - |
2004年 | 400 |
44.93% ↑
|
2003年 | 276 |
-8% ↓
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2002年 | 300 | - |
エンドウ豆(生)は、キルギスタンにおいて地域の食料供給および経済活動に重要な位置を占める農産物の一つです。この作物の生産量推移を見ると、2002年から2007年にかけての低位の安定期から、2008年以降の急激な増加が特徴的です。特に2008年に突如として生産量が1,000トンに倍増し、その後1,000トン前後で安定している点は大きな変化として注目されます。
これは、当時の農業政策の転換や地域の農業インフラ整備が要因のひとつと考えられます。また、国際市場でエンドウ豆の需要が高まる中、キルギスタン国内でも輸出品目として重視されるようになった可能性があります。キルギスタンの地理的要因および気候条件(乾燥した夏と冷涼な気候)は、エンドウ豆の栽培に適しているとされています。このため、適地適作(地域に適した作物を栽培する原則)の観点から政策が農家を後押ししたと見るべきでしょう。
一方で、2010年に1,300トンと過去最高を記録した後、生産量は若干の減少や変動が見られる点が課題として浮上します。これは、気候変動による降水量・気温の変化や、農業用水の確保に関する問題が潜在的な背景にある可能性が高いです。また、農業技術や設備の更新が追いついていないケースも考えられます。これにより、需要は高いものの生産効率が停滞している可能性も指摘されます。
さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックがもたらした世界的な物流の遅延や、農業資材の確保が困難になったことも、2020年以降の生産量に微妙な影響を与えた可能性があります。このような状況下では、農業従事者への支援強化が鍵となります。
今後の課題としては、気候変動に対する適応策の強化が挙げられます。具体的には、耐乾性のあるエンドウ豆の品種開発、効率的な灌漑技術の導入、持続可能な農業実践の普及などが必要不可欠です。また、国際市場を念頭に置いた品質向上やマーケティング戦略も重要でしょう。さらには、隣国である中国やインドといった大規模市場との協力関係構築が輸出拡大に寄与する可能性があります。
結論として、キルギスタンのエンドウ豆生産量は、安定傾向を見せながらも、気候リスクや農業技術の更新の遅れという問題に直面しています。持続可能な農業の発展を目指し、国および関係機関が農業従事者を支援する具体的な政策を推進することが求められます。また、地政学的な観点からは地域間連携の強化が、エンドウ豆の供給と収益性の向上に大きな役割を果たすでしょう。