国際連合食糧農業機関(FAO)の1970年度のデータによると、世界におけるオレンジ生産量のトップは、アメリカ合衆国で7,278,428トンと圧倒的な数値を記録しています。次いで、ブラジルが3,099,440トン、スペインが1,622,800トンと続きます。アメリカとブラジルの合計だけで全体の半数以上を占める結果となり、南北アメリカの生産優位性が際立った一年でした。日本は世界16位で261,800トンを生産し、アジアではインドに次いで2位となっています。このランキングは、気候条件や地理的特性、農業政策がオレンジの生産量にどのように影響しているかを反映しており、国ごとの経済的・農業的背景を理解する手がかりを提供しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 7,278,428 |
| 2 |
|
南アメリカ | 3,099,440 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 1,622,800 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 1,325,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 1,254,682 |
| 6 |
|
アジア | 1,200,000 |
| 7 |
|
アジア | 885,475 |
| 8 |
|
南アメリカ | 864,600 |
| 9 |
|
アフリカ | 787,400 |
| 10 |
|
アフリカ | 567,000 |
| 11 |
|
アフリカ | 506,051 |
| 12 |
|
アジア | 445,000 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 414,415 |
| 14 |
|
アフリカ | 360,388 |
| 15 |
|
アジア | 312,000 |
| 16 |
|
アジア | 261,800 |
| 17 |
|
南アメリカ | 243,495 |
| 18 |
|
オセアニア | 234,347 |
| 19 |
|
南アメリカ | 205,000 |
| 20 |
|
アジア | 178,950 |
| 21 |
|
アジア | 178,000 |
| 22 |
|
南アメリカ | 177,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 152,904 |
| 24 |
|
アジア | 137,500 |
| 25 |
|
アフリカ | 129,000 |
| 26 |
|
南アメリカ | 128,919 |
| 27 |
|
アフリカ | 128,800 |
| 28 |
|
アジア | 107,000 |
| 29 |
|
アジア | 98,552 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 97,780 |
| 31 |
|
南アメリカ | 91,000 |
| 32 |
|
アジア | 75,000 |
| 33 |
|
南アメリカ | 65,142 |
| 34 |
|
アフリカ | 64,100 |
| 35 |
|
南アメリカ | 63,889 |
| 36 |
|
南アメリカ | 59,100 |
| 37 |
|
アジア | 58,000 |
| 38 |
|
アフリカ | 56,750 |
| 39 |
|
南アメリカ | 54,600 |
| 40 |
|
南アメリカ | 54,000 |
| 41 |
|
アフリカ | 50,000 |
| 42 |
|
南アメリカ | 44,900 |
| 43 |
|
南アメリカ | 43,000 |
| 44 |
|
南アメリカ | 42,142 |
| 45 |
|
アジア | 41,000 |
| 46 |
|
南アメリカ | 38,700 |
| 47 |
|
アジア | 36,111 |
| 48 |
|
アジア | 30,000 |
| 49 |
|
南アメリカ | 29,393 |
| 50 |
|
南アメリカ | 24,800 |
| 51 |
|
南アメリカ | 22,779 |
| 52 |
|
アフリカ | 21,000 |
| 53 |
|
アジア | 20,500 |
| 54 |
|
アジア | 19,500 |
| 55 |
|
アジア | 18,300 |
| 56 |
|
南アメリカ | 18,266 |
| 57 |
|
南アメリカ | 17,826 |
| 58 |
|
アフリカ | 17,000 |
| 59 |
|
アジア | 17,000 |
| 60 |
|
アフリカ | 16,972 |
| 61 |
|
アジア | 11,137 |
| 62 |
|
アフリカ | 11,000 |
| 63 |
|
アフリカ | 11,000 |
| 64 |
|
アジア | 10,000 |
| 65 |
|
南アメリカ | 9,816 |
| 66 |
|
アフリカ | 9,500 |
| 67 |
|
南アメリカ | 8,391 |
| 68 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 69 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 70 |
|
アジア | 7,950 |
| 71 |
|
アフリカ | 7,800 |
| 72 |
|
アフリカ | 6,500 |
| 73 |
|
アフリカ | 5,200 |
| 74 |
|
オセアニア | 5,000 |
| 75 |
|
アジア | 4,500 |
| 76 |
|
アジア | 4,304 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 3,300 |
| 78 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,400 |
| 80 |
|
ヨーロッパ | 2,300 |
| 81 |
|
オセアニア | 2,000 |
| 82 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 83 |
|
南アメリカ | 1,800 |
| 84 |
|
オセアニア | 1,772 |
| 85 |
|
南アメリカ | 840 |
| 86 |
|
アジア | 500 |
| 87 |
|
オセアニア | 400 |
| 88 |
|
南アメリカ | 400 |
| 89 |
|
南アメリカ | 350 |
| 90 |
|
オセアニア | 250 |
| 91 |
|
南アメリカ | 220 |
| 92 |
|
アフリカ | 218 |
| 93 |
|
南アメリカ | 156 |
| 94 |
|
南アメリカ | 130 |
| 95 |
|
アジア | 21 |
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1970年のオレンジ生産量データが示す通り、アメリカ合衆国は圧倒的な生産量で1位となりました。この高い生産量は、フロリダ州やカリフォルニア州といった温暖で適度に湿潤な地域がオレンジ栽培に理想的な条件を提供していたことに起因します。さらに、アメリカの農業技術の進展や輸出志向型の農業政策が寄与し、国内外の需要に応える大規模な生産が可能となりました。同様に、2位のブラジルも温暖な気候と広大な土地資源を背景に、生産を大きく拡大しています。特に、ブラジル南部ではオレンジジュースの原料となる加工用のオレンジ生産が進んでおり、後にブラジルのジュース産業をけん引する基盤が形成されました。
ヨーロッパでは、スペインとイタリアが上位にランクインしました。スペインは地中海性気候を活かして輸出向けの生産に力を入れています。また、競合国であるイタリアとの差別化を図り、戦略的な市場展開が進められていました。アフリカではモロッコとエジプトが上位に入り、北アフリカ特有の温暖な気候が生産を後押ししています。この地域では、フルーツを海外市場に輸出することで外貨を稼ぐ重要な産業となっていました。
一方、アジア地域を見ると、インドが6位に入っており、その生産量は1,200,000トンに達しました。豊かな降雨量を活かしながら、主に国内市場向けに生産を集中させています。しかし、中国はその生産量がまだ58,000トンと少なく、上位国と大きな差が見られます。この差は、当時の中国の農業政策や生産技術の限界、そしてオレンジの消費が他の果物に比べて優先されなかったことが原因として挙げられます。
日本のオレンジ生産量は261,800トンで世界16位となりましたが、当時は温暖な地域である四国や九州を中心に生産が行われていました。日本の栽培面積は限られているため、効率的な栽培方法が求められていました。また、他の果物(例えばミカン)と比較して、収益性や需要面での競争が生じていたことも特徴的です。
このデータから、地理的特性や農業政策がオレンジ生産に与える影響が明確に読み取れます。南北アメリカや南ヨーロッパ、北アフリカといった温暖気候地域が優勢である一方で、人口が多く大規模農業が進む中国や東南アジアでは、まだ生産量が十分ではない時期でした。このような背景には、技術的制約や市場需要の違いが関係しています。
ただし、オレンジ生産において気候変動がもたらすリスクも無視できません。特に、旱魃や台風の増加は、気候に大きく依存する柑橘類の生産に深刻な影響を与える可能性があります。これにより、将来的には水資源管理や気候変動への適応を進めることが不可欠です。例えば、灌漑システムの導入や抗病性・耐乾性の品種開発が、効率的で持続的な生産を支える鍵になるでしょう。
さらに、国際市場の拡大に向けては、地域間の協力体制や輸送インフラの整備も重要です。アジア地域が欧米や南米に比べて生産が少ない状況から、技術協力や知識共有によって、アジア・アフリカ諸国の生産力を引き上げる取り組みが必要です。これにより、世界全体でのフードセキュリティ向上に結びつけることもできるでしょう。
以上の分析から、1970年度のオレンジ生産量ランキングは、農業技術や政策、地理的条件、さらには地政学的要因の違いによる国ごとの独自性を浮き彫りにしています。将来を見据えた取り組みが、持続可能なオレンジ生産と国際的な協力の発展の鍵を握っていると言えます。