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アフガニスタンのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供する最新のデータによると、アフガニスタンのオレンジ生産量は1961年の10,100トンから2022年の8,261トンまで、長期的な変動を見せています。1970年代後半には急激な減少、1980年代から2000年代は低迷し、その後も上下の揺れを伴いつつ、生産量には劇的な回復が見られません。2021年には一時的な増加があったものの、全体の推移としては減少傾向が際立っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,385
-10.61% ↓
2022年 8,261
-22.38% ↓
2021年 10,643
254.66% ↑
2020年 3,001
-51.62% ↓
2019年 6,204
5.59% ↑
2018年 5,875
26.37% ↑
2017年 4,649
-11.98% ↓
2016年 5,282
7.22% ↑
2015年 4,926
-28.92% ↓
2014年 6,930
9.65% ↑
2013年 6,320
5.33% ↑
2012年 6,000 -
2011年 6,000
200% ↑
2010年 2,000
-50% ↓
2009年 4,000
-38.46% ↓
2008年 6,500
-8.57% ↓
2007年 7,109
13.13% ↑
2006年 6,284
-33.85% ↓
2005年 9,500
-12.04% ↓
2004年 10,800
-20.02% ↓
2003年 13,503
22.5% ↑
2002年 11,023
-0.99% ↓
2001年 11,133
-0.96% ↓
2000年 11,241
-0.93% ↓
1999年 11,347
-0.76% ↓
1998年 11,434
-0.85% ↓
1997年 11,533
-0.83% ↓
1996年 11,629
-0.81% ↓
1995年 11,724
-0.79% ↓
1994年 11,818
-0.78% ↓
1993年 11,911
2.68% ↑
1992年 11,600
-2.79% ↓
1991年 11,933
4.88% ↑
1990年 11,378
-0.19% ↓
1989年 11,400
0.88% ↑
1988年 11,300
1.8% ↑
1987年 11,100
-14.62% ↓
1986年 13,000
1.56% ↑
1985年 12,800
-4.48% ↓
1984年 13,400
-4.29% ↓
1983年 14,000
-2.1% ↓
1982年 14,300
-4.03% ↓
1981年 14,900
-0.67% ↓
1980年 15,000
3.45% ↑
1979年 14,500
-4.61% ↓
1978年 15,200
46.15% ↑
1977年 10,400
-40.91% ↓
1976年 17,600
-6.38% ↓
1975年 18,800
0.53% ↑
1974年 18,700
1.08% ↑
1973年 18,500
3.93% ↑
1972年 17,800
23.61% ↑
1971年 14,400
-21.31% ↓
1970年 18,300
-3.17% ↓
1969年 18,900
1.07% ↑
1968年 18,700
1.08% ↑
1967年 18,500
20.92% ↑
1966年 15,300
11.68% ↑
1965年 13,700
10.48% ↑
1964年 12,400
22.77% ↑
1963年 10,100 -
1962年 10,100 -
1961年 10,100 -

アフガニスタンのオレンジ生産量推移を振り返ると、最も生産量が多かったのは1967年から1970年で、年平均18,500トン前後を記録していました。しかし、1970年代後半から生産量が急激に減少し、それ以降は基本的に力強い回復が見られず、特に2000年代以降には4,000トン以下にまで低下する年も見られます。この長期的な低迷の背景には、地政学的な要因、農業インフラの不足、気候変動、土壌の劣化といったさまざまな課題が絡んでいると考えられます。

アフガニスタンは、内戦や政情不安など、地政学的リスクが非常に高い国の一つです。特に1970年代後半から1980年代のソ連軍侵攻以降に始まる混乱は、オレンジを含む農業生産に深刻な影響を与えました。この時期、農地の破壊や農業従事者の減少が激しく進みました。また、近年になっても、気候変動により干ばつが頻発し、灌漑が必要な農産物の生産が困難になっています。2000年代における生産量の顕著な低迷にはこうした要因が複合的に影響していました。

興味深いのは2021年における10,643トンという生産量の大幅な増加です。この年の要因としては、紛争が比較的沈静化した地域で農業復興に取り組む動きがあったことや、国際的な援助による農業資源の供給が挙げられます。しかし、その後2022年には再び8,261トンに減少していることから、一時的な回復にとどまっている現状が伺えます。

世界的な視点で見ると、オレンジの主要生産国はブラジル、インド、中国などであり、それぞれが年間数百万トン以上の生産を記録しています。アフガニスタンの生産量がこのように低い国際競争力を持つ背景には、単なる生産技術や資金の不足だけでなく、市場へのアクセスや物流インフラの不足、政治的不安定さなどが重なっています。これに対し、日本や韓国のように農業技術や品種改良を進めて収益性を向上させた国々の成功事例は、アフガニスタンにとって重要な示唆となるでしょう。

では、今後どのように改善すれば良いのでしょうか。まずは、農業インフラの整備が急がれるべきです。具体的には、灌漑設備を整備し、投資を促進することで生産性を向上させることが求められます。また、気候変動への対応として、干ばつにも耐えられる作物への品種改良が不可欠です。さらに、地域住民の生計向上に資するよう、オレンジの加工品市場の育成や輸出市場の開拓も必要です。例えば、ドライフルーツやジュースへの加工は、価値を高める重要な手段となり得ます。

国際的な協力関係の強化も重要なポイントです。現在のアフガニスタンは、国際社会からの支援に頼る部分が多いですが、これを持続可能性の高い形に転換するべきです。地域協力の枠組みを活用し、近隣諸国との農業協定を結ぶことで、安定した生産基盤とマーケットを確保することが期待されます。

最後に、この推移から得られる結論として、農業復興には長期的かつ包括的な視点が必要である、という事実が挙げられます。単年度での生産量増加は、根本的な解決にはつながりません。持続可能な農業政策や地域協力の推進を通じて、アフガニスタンのオレンジ生産がかつての水準を取り戻すため、国際機関や諸政府の取り組みが今後も重要です。