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フランス領ポリネシアのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が2024年7月に発表した最新データによると、フランス領ポリネシアにおけるオレンジ生産量は、1961年の200トンから始まり、その後の推移は安定期、乱高下の時期、そして成長期を経て、近年は約480トン前後で安定しています。特に1960年代から1980年代にかけての不安定な生産量と、2000年代後半以降の持続的な増加が特徴的です。この変動には地域の気候条件やインフラ整備の影響があると推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15
-96.78% ↓
2022年 479
0.15% ↑
2021年 479
-0.4% ↓
2020年 480
0.37% ↑
2019年 479
0.49% ↑
2018年 476
-2.03% ↓
2017年 486
2.71% ↑
2016年 473
0.85% ↑
2015年 469
1.35% ↑
2014年 463
-0.83% ↓
2013年 467
11.14% ↑
2012年 420
1.86% ↑
2011年 413
11.8% ↑
2010年 369
-1.34% ↓
2009年 374
13.33% ↑
2008年 330
-36.42% ↓
2007年 519
-12.63% ↓
2006年 594
56.73% ↑
2005年 379
21.09% ↑
2004年 313
-23.66% ↓
2003年 410
64% ↑
2002年 250
8.03% ↑
2001年 231
28.56% ↑
2000年 180
-10% ↓
1999年 200
69.49% ↑
1998年 118
-64.13% ↓
1997年 329
31.6% ↑
1996年 250
25% ↑
1995年 200
20.48% ↑
1994年 166
10.67% ↑
1993年 150
36.36% ↑
1992年 110
-50.89% ↓
1991年 224
60% ↑
1990年 140
-6.67% ↓
1989年 150
41.51% ↑
1988年 106
221.21% ↑
1987年 33
-51.47% ↓
1986年 68
54.55% ↑
1985年 44
7.32% ↑
1984年 41
-16.33% ↓
1983年 49
-2% ↓
1982年 50
-73.68% ↓
1981年 190
-11.63% ↓
1980年 215
-40.28% ↓
1979年 360
44% ↑
1978年 250
-16.94% ↓
1977年 301
15.77% ↑
1976年 260
-3.35% ↓
1975年 269
151.4% ↑
1974年 107
-13.71% ↓
1973年 124
-15.07% ↓
1972年 146
5.8% ↑
1971年 138
-44.8% ↓
1970年 250
25% ↑
1969年 200 -
1968年 200 -
1967年 200 -
1966年 200 -
1965年 200 -
1964年 200 -
1963年 200 -
1962年 200 -
1961年 200 -

フランス領ポリネシアのオレンジ生産量データを振り返ると、明確な3つの時期に区分できます。まず、1960年代から1970年代前半までは、年間200トンの安定した生産量を維持しています。この時期の安定性はおそらく農業技術と一貫した気候条件に支えられていたと考えられます。しかし1970年以降、一時的に生産量が急増または減少する不安定な時期が続きます。例えば1970年代半ばには301トンを記録した年もある一方で、1980年代には50トン台に落ち込む年も見られます。この不安定性は、気候変動の影響のほか、農地管理の課題、または地域的な農業政策の変化が関係している可能性があります。

1990年代に入り、一時的な回復を見せるものの依然として生産量は変動が大きい状況が続きました。しかしながら、2000年代後半から状況が一変し、生産量の連続的な増加が記録されています。2006年には初めて594トンという大台を突破し、以降も徐々に増加。2012年以降は数年間にわたり420トン以上を安定して維持するようになり、2020年から2022年にかけての生産量はほぼ480トンで安定しました。この近年の安定期に至る背景には、災害リスクの軽減努力、品質管理の向上、輸送インフラや農業機材の進展が寄与したと考えられます。

フランス領ポリネシアでは地理的条件が農業に影響を与えています。島嶼部特有の気候リスク(台風、洪水、干ばつなど)に加え、農業向けの肥沃な土地が限られていることから、生産量の大幅な増加は常に難しいという傾向があります。しかし、2000年代以降に見られる生産の伸びは、気候変動への適応策や農業支援政策が一定の成果を上げたことを示唆しています。

一方で、課題はいまだ残されています。例えば、オレンジはフランス領ポリネシアにとって輸出の主要品目ではないため、国内消費を主体とした需要に依存しています。この依存構造は、国際市場における価格変動に対する競争力の欠如や、国内での消費パターンの変化に対応する柔軟性を低下させるリスクをもたらします。また、地政学的な背景としては、諸島での天候災害や、交通・輸送手段の脆弱性が持続的な栽培の妨げとなる可能性が考えられます。

今後、さらなる安定した増加を目指すためには、より精密な栽培管理と、災害に対する包括的なリスクマネジメントが不可欠です。また、輸出市場拡大を視野に入れた品質向上への投資や、地域間(特にフランス領地域や近隣諸国との)での農業協力も重要な方向性となるでしょう。具体的には、持続可能な災害対策技術の輸入や、農業従事者への教育プログラムの提供が有効な手段として考えられます。

結論として、フランス領ポリネシアのオレンジ生産量の変化には、多様な要因が影響しており、近年の安定は地域農業にとって大きな成果です。ただし、将来的なリスクにも対応できる戦略を強化することで、農業分野における持続可能な発展を実現することが重要です。国際機関や関連する技術支援プログラムの活用も推奨されます。