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ラオス人民民主共和国のオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新データによれば、ラオス人民民主共和国におけるオレンジの生産量は、1960年代から2022年まで約60年間で着実に増加を記録しました。特に2000年代初頭に大きな成長を見せ、一時的に2009年の48,500トンをピークとしましたが、その後一貫して減少し、2022年には42,376トンとなりました。この推移は、農業技術の向上や経済成長の影響を受けてきた一方、近年は減少傾向にあり、課題が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 42,429
0.13% ↑
2022年 42,376
-0.53% ↓
2021年 42,600
-0.52% ↓
2020年 42,824
-1.18% ↓
2019年 43,337
0.94% ↑
2018年 42,935
-0.75% ↓
2017年 43,260
-2.02% ↓
2016年 44,154
-3.79% ↓
2015年 45,895
5.05% ↑
2014年 43,688
1.89% ↑
2013年 42,878
2.09% ↑
2012年 42,000
-7.02% ↓
2011年 45,170
-3.24% ↓
2010年 46,683
-3.75% ↓
2009年 48,500
1.04% ↑
2008年 48,000
2.13% ↑
2007年 47,000
10.59% ↑
2006年 42,500
5.2% ↑
2005年 40,400
7.73% ↑
2004年 37,500
33.93% ↑
2003年 28,000
-3.45% ↓
2002年 29,000
3.57% ↑
2001年 28,000
-3.45% ↓
2000年 29,000
2.5% ↑
1999年 28,294
1.05% ↑
1998年 28,000
12% ↑
1997年 25,000
13.64% ↑
1996年 22,000
10% ↑
1995年 20,000
-16.67% ↓
1994年 24,000
2.44% ↑
1993年 23,427
3.16% ↑
1992年 22,709
3.22% ↑
1991年 22,000
4.76% ↑
1990年 21,000
5% ↑
1989年 20,000
11.11% ↑
1988年 18,000
-10% ↓
1987年 20,000
-13.04% ↓
1986年 23,000 -
1985年 23,000
4.55% ↑
1984年 22,000
4.76% ↑
1983年 21,000
5% ↑
1982年 20,000 -
1981年 20,000
11.11% ↑
1980年 18,000
9.09% ↑
1979年 16,500
6.45% ↑
1978年 15,500
-3.13% ↓
1977年 16,000
-5.88% ↓
1976年 17,000
6.25% ↑
1975年 16,000
-8.57% ↓
1974年 17,500
2.94% ↑
1973年 17,000 -
1972年 17,000
6.25% ↑
1971年 16,000
-5.88% ↓
1970年 17,000
13.33% ↑
1969年 15,000
11.11% ↑
1968年 13,500
-10% ↓
1967年 15,000
7.14% ↑
1966年 14,000 -
1965年 14,000
16.67% ↑
1964年 12,000
-11.11% ↓
1963年 13,500
3.85% ↑
1962年 13,000
3.17% ↑
1961年 12,600 -

ラオスにおけるオレンジの生産量は、1961年の12,600トンから始まり、1980年代半ばには22,000~23,000トンに安定しました。この増加は、農業政策やインフラの改善によるところが大きいと考えられます。しかし、1990年代初頭には再び緩やかな成長が見られ、特に1998年から2007年までの10年間で28,000トンから約47,000トンへと急激な増加を記録しました。この急成長の背景には、スプレッド農法の導入や農業支援プロジェクトの実施、さらには輸出向け生産の拡大が影響していると推察されます。

一方、2009年の48,500トンをピークとした後、次第に減少傾向を示し、2022年時点では42,376トンに落ち着いています。この減少の理由には、気候変動による作物への影響、農地の減少、また生産コストの上昇が挙げられます。それに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、地域を超える物流網が一時的に混乱し、農業従事者の収益に影響を及ぼし、オレンジ産業の発展が停滞した可能性もあります。

国際的な文脈で見ると、中国やインドをはじめとする近隣諸国では、オレンジの生産が大規模に展開され、世界市場での競争力を高めています。特に中国は、生産の集約化と技術革新を通じて、品質と収量を大幅に向上させています。また、アメリカやスペイン、ブラジルといった主要輸出国では、効率的な灌漑技術や大規模農業経営によって生産性を強化しています。このような競争環境の中で、ラオスの生産力が世界市場でさらなる成果を上げるためには、いくつかの課題に直面していると言えます。

まず、気候変動に関するリスクが依然大きな障壁となっています。オレンジ栽培には一定の気候条件が必要であり、ラオスにおける極端な天候や季節外れの降雨は予測不能な損害をもたらしています。また、農業インフラへの支援が不足している点も、生産量の減少を招く一因となっています。土地の肥沃度を向上させる取り組みや、最新の農業技術を農家に普及させることが急務です。

将来の改善に向けた具体的な提案としては、持続可能な農業手法の推進や、研究開発への投資が挙げられます。例えば、有機農法や再生可能エネルギーを活用した灌漑システムの導入を進めることで、気候変動の影響を緩和しつつ長期的な収量を確保することができます。また、政府や国際機関が主導する形で、生産者に対する教育プログラムを提供し、効率的な栽培技術やマーケティング戦略を学べる環境を整備することが重要です。さらに、地域間の協力の一環として、近隣の経済大国と連携して新たな輸出市場を開拓することも生産者の利益を向上させる重要な手段となるでしょう。

まとめると、ラオスにおけるオレンジ生産量は過去から大きく増加してきましたが、近年の減少傾向を踏まえると、この産業を持続的に成長させるためには、気候変動への対応を中心に据えた包括的な戦略が必要です。政府や農家、さらには地域のステークホルダーが一体となり、革新的な解決策に取り組むことが求められています。このような取り組みによって、ラオスは地域競争においても優位性を発揮し、高品質なオレンジを世界中に供給できる国となる可能性があるでしょう。