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パラグアイのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、パラグアイのオレンジ生産量は1960年代から2020年代にかけて大きな変動を見せています。1961年の132,580トンから始まり、一貫した増加傾向を見せつつも、1980年代以降は周期的な減少と回復が繰り返されています。2003年と2004年には30万トンを超えるピークを迎えましたが、それ以降は減少傾向にあり、2022年には225,768トンを記録しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 273,575
21.17% ↑
2022年 225,768
-0.92% ↓
2021年 227,856
-0.13% ↓
2020年 228,160
1.11% ↑
2019年 225,660
1% ↑
2018年 223,426 -
2017年 223,426 -
2016年 223,426
0.31% ↑
2015年 222,725
-3.58% ↓
2014年 231,000
0.64% ↑
2013年 229,530
-0.16% ↓
2012年 229,898 -
2011年 229,898 -
2010年 229,898
1.68% ↑
2009年 226,089
0.57% ↑
2008年 224,800
-13.54% ↓
2007年 260,000
-12.27% ↓
2006年 296,375
-1.76% ↓
2005年 301,700
-5.55% ↓
2004年 319,438
0.8% ↑
2003年 316,903
52.98% ↑
2002年 207,155
-1% ↓
2001年 209,247
3.69% ↑
2000年 201,802
-12.5% ↓
1999年 230,632
10.88% ↑
1998年 208,009
11.66% ↑
1997年 186,289
8.05% ↑
1996年 172,408
0.51% ↑
1995年 171,530
0.03% ↑
1994年 171,483
-4.04% ↓
1993年 178,710
0.84% ↑
1992年 177,217
5.39% ↑
1991年 168,156
-3.82% ↓
1990年 174,828
1% ↑
1989年 173,097
1.13% ↑
1988年 171,160
-10% ↓
1987年 190,177
-5.19% ↓
1986年 200,583
-5% ↓
1985年 211,140
5% ↑
1984年 201,085
-1.91% ↓
1983年 205,000
7.89% ↑
1982年 190,000
12.54% ↑
1981年 168,832
-6.2% ↓
1980年 180,000
5.88% ↑
1979年 170,000
-6.41% ↓
1978年 181,650
-8.36% ↓
1977年 198,228
1.93% ↑
1976年 194,473
17.38% ↑
1975年 165,684
10.89% ↑
1974年 149,409
-19.66% ↓
1973年 185,967
4.86% ↑
1972年 177,350
-3.12% ↓
1971年 183,060
3.42% ↑
1970年 177,000
5.08% ↑
1969年 168,450
3.25% ↑
1968年 163,155
3.06% ↑
1967年 158,310
2.97% ↑
1966年 153,750
-10% ↓
1965年 170,833
5.74% ↑
1964年 161,552
2.71% ↑
1963年 157,283
2.62% ↑
1962年 153,267
15.6% ↑
1961年 132,580 -

パラグアイのオレンジ生産は、多様な地政学的・生態的条件の影響を受ける農業分野の一部であり、その推移は国の農業政策や気候変動、国内外の需要供給の変化など、さまざまな要因に左右されています。1960年代以降のデータを分析すると、初期には持続的な成長が見られましたが、1980年代からは明確な周期性が観察されます。2003年と2004年には歴史的な高生産量を記録しましたが、それ以降は長期的な減少傾向が見られ、2010年以降は20万トン台半ばで停滞しています。

この生産量の変動にはいくつかの要因が影響を及ぼしていると考えられます。第一に、気候の影響が顕著です。オレンジは特に水分供給や温暖な気候を必要とする作物であり、2010年代から急増している気候変動は、降水量の減少や気温の上昇をもたらし、パラグアイのオレンジ生産に負の影響を及ぼしています。第二に、国内の農業政策や農家の支援に関する取り組みが十分でないことが指摘されています。他の作物、特に主力輸出作物である大豆やトウモロコシの生産に注力するあまり、柑橘類全般の生産基盤が揺らいでいる可能性があります。

国際的な観点で見ても、オレンジの生産量は世界全体で増加しています。例えば、オレンジ生産の主力国であるブラジルや中国は、効率的な農業技術の導入や気候変動に対応した品種の開発により、生産量を大幅に伸ばしています。一方で、パラグアイはこうした技術革新に遅れをとっており、そのため国際市場での競争力も他国に比べて弱い状況です。また、輸出競争力の低さも課題であり、これは輸送インフラの整備不足や加工産業の未発展といった構造的問題に関連しています。

今後の課題としては、まず気候変動に対応した持続可能な栽培技術の導入が挙げられます。具体的には、乾燥に耐性があり効率的に水を活用できる品種の導入や、灌漑システムの改善が必要です。また、農家の能力向上を目的とした技術支援プログラムの拡充も効果的です。さらに、国内外の市場ニーズに応じた生産計画の最適化や、生産量の変動を緩和するための貯蔵および輸送インフラの整備も急務です。

また、地域課題として、オレンジの生産が集中している中部地域における土地利用の競争があります。同地域では、牧畜や他の作物生産との間で土地争奪が進行しており、オレンジ生産が後回しになりつつあります。この状況を解決するためには、地域全体を視野に入れた農地利用計画の策定と、その実行が求められます。

世界的な地政学的背景を踏まえると、今後もエネルギー資源や食料供給を巡る競争が激化する可能性があります。オレンジ生産は、国内消費のみならず、健康志向の高まりとともに輸出品としても潜在的な需要が拡大しています。特に周辺諸国のブラジルやアルゼンチンの市場をターゲットに、輸出戦略を強化することも重要です。

結論として、長期的なパラグアイのオレンジ生産を安定させるには、気候変動への適応、効率的な農業技術の導入、輸出政策の見直しが必要です。国際社会や隣国との協力を深め、持続可能な農業を目指すことで、パラグアイにおけるオレンジ産業の発展を実現することができるでしょう。