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ガーナのオレンジ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ガーナのオレンジ生産量は1961年から徐々に増加傾向を示し、2000年代に入ると急速な成長を遂げました。特に2011年以降は年間60万トンを超える安定した生産量を維持しています。2022年には約69万6,925トンと記録され、過去のデータから見ても高い水準を保っています。一方、生産量には一時的な急激な増減も見られることなどから、これまでの生産体制や環境への影響が課題として浮かび上がります。

年度 生産量(トン)
2022年 696,925
2021年 696,364
2020年 698,217
2019年 696,195
2018年 694,679
2017年 703,776
2016年 690,130
2015年 690,130
2014年 690,130
2013年 663,170
2012年 625,000
2011年 600,000
2010年 580,000
2009年 560,000
2008年 550,000
2007年 520,000
2006年 470,000
2005年 500,000
2004年 440,000
2003年 338,000
2002年 330,000
2001年 300,000
2000年 300,000
1999年 270,000
1998年 270,400
1997年 257,100
1996年 257,800
1995年 200,000
1994年 143,000
1993年 115,000
1992年 97,000
1991年 80,000
1990年 50,000
1989年 59,000
1988年 65,000
1987年 65,000
1986年 70,000
1985年 80,000
1984年 100,000
1983年 129,300
1982年 107,900
1981年 133,700
1980年 154,200
1979年 11,000
1978年 21,000
1977年 19,000
1976年 52,000
1975年 150,400
1974年 150,400
1973年 128,000
1972年 90,000
1971年 129,000
1970年 129,000
1969年 63,402
1968年 59,949
1967年 57,917
1966年 36,985
1965年 29,973
1964年 24,000
1963年 24,000
1962年 26,000
1961年 26,000

ガーナのオレンジ生産は、1961年の26,000トンから始まり、その後の約60年で大きな変化を遂げました。初期段階では年間生産量が数万トン程度であり、1961年から1970年まで徐々に増加しましたが、その後の1970年代半ばから1980年代初頭にかけては、不安定な生産の変動が見られます。この時期、1976年には52,000トンと一時落ち込み、最も低い1979年の11,000トンにまで減少しました。その背景要因として、当時の政治的不安定や農業政策の変化、干ばつなどの自然災害が影響していたと考えられます。

1980年代後半以降は、100,000トンを超える安定した生産体制に移り、1990年代後半以降は飛躍的な成長を遂げました。2000年には300,000トンを突破し、2004年以降は急激な増加を見せており、2013年に初めて660,000トンを超えました。それ以降は、概ね60万~70万トン台の生産量を維持しています。この急成長は、ガーナ政府による農業振興政策や、オレンジ産業におけるインフラの整備、市場需要の増加、そして技術的改善が進んだことが大きな要因と思われます。

しかし、ガーナのオレンジ生産は全体として順調に成長しているものの、気候変動や土壌の肥沃度の低下、水資源の不足といったリスクが懸念されています。特に2017年以降、年間の生産量の伸びが鈍化し、2017年には703,776トンと最高記録を達成するものの、その後はわずかな低下や横ばいが続いており、2022年には696,925トンとやや減少した状況が続いています。

こうした状況を踏まえ、持続可能な農業を実現するための対策が求められます。具体的には、以下の点が課題として考えられます。

第一に、農地の質を維持するため、適切な施肥と土壌保全の技術導入が重要です。これは特に土壌の過剰利用や降水量の偏りなどによる地力低下を防ぐために必要です。第二に、気象の変動に応じた作物育成手法の導入が急がれます。例えば、干ばつ耐性のある品種の活用や、灌漑技術の改良などが具体的な対策として挙げられます。第三には、オレンジの市場価値を向上させる加工業の強化も視野に入れるべきです。これにより、単なる原材料の供給にとどまらず、加工品輸出という形で高い利益を得る可能性が開かれます。

地政学的なリスクにも注意が必要です。ガーナの農業セクターは近隣諸国の輸出や国際市場の需要とも密接に結びついており、西アフリカ地域での政治的な不安定や物流の問題が影響を与える可能性があります。そのため、地域全体での協力体制を強化し、安定的な需要確保と輸送経路の整備を進めることが不可欠です。

さらに未来を見据えると、農業従事者の教育や研修プログラムに投資し、技術革新を加速させることが重要です。また、新型コロナウイルスの影響を経て、供給チェーンの脆弱性が浮き彫りとなったことを教訓とし、地域的および国際的ネットワークを活用した柔軟な供給体制の構築が鍵となります。

総じて、ガーナのオレンジ生産は驚異的な成長を見せており、一部課題を克服することで、さらに重要な輸出産業としての地位を確立することが期待されます。これを実現するためには、ガーナ国内に限らず国際的な支援や協力体制を活用し、農業の持続可能性と国際競争力を高める政策を推進することが必須と言えるでしょう。