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ベリーズのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が公開している最新のデータによると、ベリーズのオレンジ生産量は、1960年代には年間30,000トン前後で推移していましたが、その後増加傾向を見せ、1997年には185,972トン、2000年代には200,000トンを超える年もありました。しかし、2010年代以降は減少傾向に転じ、2018年以降は激しい落ち込みを見せ、2022年には53,400トンと過去最低水準になっています。この生産量の推移は、地理的、気候的、経済的な要因が複雑に絡み合った結果と考えられています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,184
-79.06% ↓
2022年 53,400
-1.98% ↓
2021年 54,479
-42.71% ↓
2020年 95,100
9.54% ↑
2019年 86,818
-12.61% ↓
2018年 99,341
-23.98% ↓
2017年 130,670
-1.44% ↓
2016年 132,585
-20.27% ↓
2015年 166,295
-2.05% ↓
2014年 169,781
2.65% ↑
2013年 165,404
-30.22% ↓
2012年 237,020
30.54% ↑
2011年 181,563
15.48% ↑
2010年 157,230
-30.22% ↓
2009年 225,331
-2.5% ↓
2008年 231,115
8.43% ↑
2007年 213,149
5.89% ↑
2006年 201,300
-21.29% ↓
2005年 255,754
26.65% ↑
2004年 201,943
22.25% ↑
2003年 165,185
-1.85% ↓
2002年 168,300
-28.11% ↓
2001年 234,097
2.59% ↑
2000年 228,192
25.94% ↑
1999年 181,192
13.88% ↑
1998年 159,111
-14.44% ↓
1997年 185,972
43.89% ↑
1996年 129,246
1.06% ↑
1995年 127,892
55.09% ↑
1994年 82,465
-36.78% ↓
1993年 130,450
32.73% ↑
1992年 98,283
100.13% ↑
1991年 49,109
-29.07% ↓
1990年 69,236
17.13% ↑
1989年 59,112
8.22% ↑
1988年 54,621
-25.29% ↓
1987年 73,114
41.58% ↑
1986年 51,641
21.28% ↑
1985年 42,579
-7.2% ↓
1984年 45,885
49.87% ↑
1983年 30,617
-29.11% ↓
1982年 43,191
-0.47% ↓
1981年 43,395
-4.15% ↓
1980年 45,273
95.24% ↑
1979年 23,188
-17.2% ↓
1978年 28,005
8.37% ↑
1977年 25,841
-21.07% ↓
1976年 32,740
0.13% ↑
1975年 32,699
-27.25% ↓
1974年 44,946
13.39% ↑
1973年 39,639
8.61% ↑
1972年 36,496
-3.35% ↓
1971年 37,762
65.78% ↑
1970年 22,779
-34.28% ↓
1969年 34,659
15.67% ↑
1968年 29,964
5.01% ↑
1967年 28,535
-26.58% ↓
1966年 38,864
11.21% ↑
1965年 34,945
-0.35% ↓
1964年 35,067
13.47% ↑
1963年 30,903
6.56% ↑
1962年 29,000
-17.14% ↓
1961年 35,000 -

ベリーズのオレンジ生産量は1960年代から追跡すると明らかに波がある動向を示しており、その背景には自然環境の変動、技術革新、国内外の市場需要など多様な要因が関係しています。特に、1970年代から1990年代にかけての増加は、ベリーズが世界の柑橘系果実市場の需要を積極的に取り込む形で農業技術の改善や輸出促進の努力を行った結果であると考えられます。例えば、1993年には130,450トン、2001年には234,097トンと大幅な成長を記録しました。

しかしながら、2010年代に入り、生産量は再び下降を始め、近年の減少が特に顕著です。2018年には99,341トンと過去のピーク(2005年の255,754トン)から半減し、その後2022年には53,400トンにまで落ち込みました。この減少には主に、気候変動による異常気象の頻発、生産コストの上昇、農地の劣化、さらには疫病被害などが影響していると考えられます。これに加えて、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行もサプライチェーンや労働力確保において困難を生じさせ、生産活動に悪影響を及ぼしました。

特に重要な課題は気候変動の影響です。ベリーズは中米の熱帯気候地帯に位置しており、洪水や干ばつなど気象災害のリスクが高まっています。これらのリスクは農作物の育成に直接的な影響を与え、収穫量の不安定化を招いています。また、害虫や病害が広がりやすい気候条件により、オレンジの樹木への被害も増加しています。

経済的な要因としては、国際市場における価格競争が挙げられます。アメリカやブラジルなど、主要な輸出相手国が低コストで大量生産を行う一方で、ベリーズは小規模な農家が中心で、生産効率を上げるためのインフラ投資にも制約があります。さらに、自由貿易協定などの経済政策が、市場シェア争いを複雑化させ、ベリーズのオレンジ産業を圧迫している可能性があります。

この現状を打開するためには、以下のような具体的な対策が求められると考えられます。まず、気候変動への適応戦略として、耐病性や乾燥耐性に優れた品種の開発および導入を加速させることです。また、持続可能な農業実践を促進し、農地の健康を維持するとともに、収穫量を安定化させることが必要です。技術革新への投資を拡大し、生産効率の向上を図る政策も重要です。同時に、国内外の市場開拓を目指すために輸出支援プログラムを強化し、輸出先地域を多様化する取り組みも求められます。

さらに、地域協力の枠組みを形成することも有効です。例えば、中米諸国の他の農産物輸出国と協力し、共同マーケティングや共通認証制度の導入を図ることで、価格競争力を高めることができます。国際機関や開発銀行からの資金調達を活用し、農業の近代化や災害時のリスク軽減対策への投資を進めることも肝心です。

結論として、オレンジ生産量の推移が示す長期的な課題に対応するためには、生産面だけでなく、環境、経済、市場の各観点で総合的なアプローチが必要です。このような取り組みが成功すれば、ベリーズのオレンジ産業は持続可能な形で再活性化し、地域経済の発展にも貢献する可能性があります。