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クック諸島のオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、1960年代には3,000~6,000トンの範囲で推移していたクック諸島のオレンジ生産量は、1970年代以降急激な減少傾向を見せ、2000年以降はほぼ100トン以下で推移しています。2022年の生産量はわずか9トンと、過去数十年にわたる一貫した縮小傾向が続いています。これにより、オレンジ生産は現在ではクック諸島の農業経済や食料供給においてごくわずかな役割しか果たしていない状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9
-1.74% ↓
2022年 9
2% ↑
2021年 9
1.35% ↑
2020年 9
-8.18% ↓
2019年 10
14.59% ↑
2018年 8
-0.94% ↓
2017年 9
-29.26% ↓
2016年 12
152.73% ↑
2015年 5
-45.48% ↓
2014年 9
-61.37% ↓
2013年 23
-1.48% ↓
2012年 23
2.32% ↑
2011年 22
-3.36% ↓
2010年 23
-14.89% ↓
2009年 27
-42.63% ↓
2008年 48
-52.48% ↓
2007年 100
49.72% ↑
2006年 67
-16.51% ↓
2005年 80
6.67% ↑
2004年 75
-11.76% ↓
2003年 85
-33.8% ↓
2002年 128
-1.23% ↓
2001年 130
-23.75% ↓
2000年 171
13.67% ↑
1999年 150
-25% ↓
1998年 200
-20% ↓
1997年 250 -
1996年 250
-37.5% ↓
1995年 400
14.29% ↑
1994年 350
-36.36% ↓
1993年 550
37.5% ↑
1992年 400
-11.11% ↓
1991年 450 -
1990年 450
12.5% ↑
1989年 400 -
1988年 400 -
1987年 400
-20% ↓
1986年 500
-37.5% ↓
1985年 800 -
1984年 800 -
1983年 800
-12.47% ↓
1982年 914
-65.79% ↓
1981年 2,672
112.06% ↑
1980年 1,260
-47.59% ↓
1979年 2,404
-15.89% ↓
1978年 2,858
-21.05% ↓
1977年 3,620
16.85% ↑
1976年 3,098
-18.47% ↓
1975年 3,800
8.57% ↑
1974年 3,500
-41.67% ↓
1973年 6,000
79.1% ↑
1972年 3,350
-4.29% ↓
1971年 3,500
-30% ↓
1970年 5,000
-15.25% ↓
1969年 5,900
96.67% ↑
1968年 3,000
-33.33% ↓
1967年 4,500
-15.09% ↓
1966年 5,300
51.43% ↑
1965年 3,500
6.06% ↑
1964年 3,300
3.13% ↑
1963年 3,200
6.67% ↑
1962年 3,000
-18.41% ↓
1961年 3,677 -

クック諸島におけるオレンジ生産量の推移を振り返ると、1960年代には3,000~6,000トンという比較的安定した生産が行われていました。特に1966年と1973年には5,000トンを超える生産量が記録されており、当時、オレンジ栽培が現地農業において重要な位置を占めていたことを示しています。しかし、1970年代末以降は急速な減少傾向が始まり、1980年代には1,000トンを大幅に下回り、2000年代に入るとほぼ生産が停止状態に近い水準にまで落ち込みました。2022年にはわずか9トンという非常に低い生産量が報告されており、これは過去のピーク時と比較して大きな差を示しています。

このような生産量の減少の背後には、いくつかの要因が考えられます。気候変動による農業環境の変化は、生産力低下の大きな要因の一つとされています。トロピカルな気候を持つクック諸島では、台風や熱波などの極端気象により農地の荒廃が進んでいる可能性があります。また、労働人口の減少や農業従事者の高齢化も、農業生産低下に影響を与えていると考えられます。さらに、他の作物や観光業への経済依存のシフトも、オレンジ栽培の衰退を招いた要因といえるでしょう。

国際的な比較を行うと、近隣諸国や他の農業小国でも同様の減少傾向が見られる場合がありますが、中国やインドなどの農業大国では、気候変動に適応しつつ生産を持続している地域も多く、技術や政策面での違いが背景にあることが示唆されます。一方でクック諸島は地理的条件や資金の不足などから、こういった近代的な農業技術の導入が難しかったと考えられます。

課題として、まず挙げられるのは、オレンジ栽培を行う農地の保全と適切な管理です。気候変動への対策として、耐熱性や病害抵抗性の高い品種の導入が検討されるべきです。また、若い世代の農業への参加を促進するための教育プログラムや、補助金による支援なども効果的な手段となるでしょう。さらに、地域間協力の強化により、近隣の気候条件が似た小国との農業技術共有や共同研究が進めば、新たな打開策が見つかる可能性があります。

地政学的背景を考慮すると、クック諸島のような小規模な島国では、食糧自給が国家安全保障の観点からも非常に重要な意味を持ちます。オレンジや他の農作物の生産量の大幅な低下は、輸入依存を増加させるリスクが高まることを意味します。輸送コストの増加や国際情勢の不安定化が影響を与える場合、特に食料価格や供給の不安定化が住民生活に大きな影響を与える可能性があります。

今後の具体的な対策としては、持続可能な農業の実現に向けた取り組みが必要となります。これには、国連や地域経済団体との連携による技術支援、農業教育の徹底、自然災害に対応する農業インフラの整備、さらには生物多様性を活用した農業の復興が含まれます。クック諸島は小規模な環境に適応する独自の持続可能な農業モデルを構築することで、効率的に国民の食料ニーズを満たしつつ、再び経済的・社会的にオレンジ生産の役割を高める道が開けるかもしれません。