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中国、台湾 中国省のオレンジ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、中国、台湾 中国省のオレンジ生産量は1961年から2022年にかけて多くの浮き沈みを見せています。初期の1960年代に生産量が急増し、その後も波はあるものの1970年代から1990年代にかけて大幅な成長を記録しました。しかし、1990年代の後半から停滞と減少が見られ、2022年には106,853トンと、ピーク時の数値を大幅に下回る結果となっています。特に2010年代後半以降の減少傾向が顕著です。

年度 生産量(トン)
2022年 106,853
2021年 115,121
2020年 141,167
2019年 147,638
2018年 142,397
2017年 153,966
2016年 131,329
2015年 139,494
2014年 162,533
2013年 160,496
2012年 162,345
2011年 178,829
2010年 185,289
2009年 231,549
2008年 254,125
2007年 192,910
2006年 228,225
2005年 193,847
2004年 211,409
2003年 204,575
2002年 142,681
2001年 135,639
2000年 126,631
1999年 121,398
1998年 111,447
1997年 109,963
1996年 101,986
1995年 112,798
1994年 110,268
1993年 140,281
1992年 166,557
1991年 190,868
1990年 209,163
1989年 220,768
1988年 233,756
1987年 224,126
1986年 131,836
1985年 142,991
1984年 119,217
1983年 124,541
1982年 125,120
1981年 90,499
1980年 113,856
1979年 99,700
1978年 93,400
1977年 92,100
1976年 96,000
1975年 86,900
1974年 90,200
1973年 82,495
1972年 70,740
1971年 50,717
1970年 36,111
1969年 23,268
1968年 20,060
1967年 13,113
1966年 10,033
1965年 5,787
1964年 5,167
1963年 4,974
1962年 3,404
1961年 2,607

中国、台湾 中国省におけるオレンジ生産量の推移は、農業技術や経済、さらには地政学的背景の影響を強く受けた形跡があります。1960年代から1970年代にかけて急速に生産量が伸びた背景には、農業技術の向上や果樹の計画的植樹が進められたことが考えられます。この時期は農業改革と技術革新が進行中であり、生産インフラの整備が生産量拡大に寄与したものと思われます。

しかしながら、1980年代後半から1990年代には変動を伴いながらの減少傾向が見られます。例えば、1991年から1994年にかけて生産量が20万トンを超えながらも次第に減少し、10万トン近辺まで下がっています。この背景には、土地利用の転換や国際的なオレンジ市場の競争激化が影響を与えた可能性が指摘されています。また、この時期、一部で自然災害や疫病が発生し、農業収穫が不安定になったことも挙げられます。

21世紀に入ると、初期には徐々に回復が見られ、2003年の204,575トンに達するなど再び増加傾向が見られました。しかし、その後は再び不安定な動きを示し、特に2010年代後半以降は顕著な減少傾向を辿っています。この理由には、高齢化や農業従事者の減少、それに伴う農地利用効率の低下があると考えられます。また、地球温暖化と気候変動がオレンジ栽培の環境条件を悪化させている可能性も見逃せません。

地域的な課題としては、台湾特有の小規模農家中心の構造が挙げられます。競争力のある農業を実現するためには、協同組合や大規模化などを通じて効率化を図ることが急務です。また、高品質の農作物に特化したブランド化などの新たなビジネス戦略を導入し、国内外での競争力向上を目指す必要があります。

国際的な視点では、近隣諸国のオレンジ生産と比較しても競争の激しさが増しています。例えば、アメリカやスペインといった主要オレンジ輸出国は、高度に機械化された農業生産を実現しており、品質だけでなく生産効率でも優位に立っています。一方、日本などの消費市場では「高品質・安全性」という要素が強く求められており、台湾の農業はこのニーズを取り込むことが重要です。

課題解決のためには、まずは農地の灌漑(かんがい)設備の見直しや病害虫対策の強化が必要となります。また、行政主導での農業輸出支援がさらに進められるべきです。特に、台湾のオレンジ産業では、気候変動への対応が今後の成否を握る重要な要素となるでしょう。具体策としては、耐性のあるオレンジ品種の開発や、温室を利用した近代的な農業技術の導入が挙げられます。また、地元農家や研究所との協力体制を強化し、将来的に気候リスクへの適応力を高めることが求められます。

将来的には、このような対策を通じてオレンジ生産量を安定させるだけでなく、付加価値を高め、新たな輸出市場の開拓を行うことが期待されます。継続的な政策支援とともに、農業従事者への教育や経済的インセンティブを導入し、地域全体で持続可能な成長を目指すことが重要です。