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チュニジアのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が2024年7月に更新したデータによれば、チュニジアのオレンジ生産量は過去の数十年間で顕著な増加を見せており、特に2018年以降に急激な成長を記録しています。1960年代から2000年代初めまでは年平均約10万トンから15万トン程度で推移していましたが、2018年に約34.6万トン、2019年と2021年には44万トンという過去最高値を記録しています。この劇的な生産量の増加は、農業技術の発展や気候要因、政策の影響などの複合的な要因により実現されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 344,435
-0.16% ↓
2022年 345,000
-21.59% ↓
2021年 440,000
20.22% ↑
2020年 366,000
-16.82% ↓
2019年 440,000
27.17% ↑
2018年 346,000
85.13% ↑
2017年 186,900
67.32% ↑
2016年 111,700
-23.75% ↓
2015年 146,500
20.58% ↑
2014年 121,500
-6.54% ↓
2013年 130,000
-10.34% ↓
2012年 145,000
4.02% ↑
2011年 139,400
1.98% ↑
2010年 136,700
18.35% ↑
2009年 115,500
-18.95% ↓
2008年 142,500
36.89% ↑
2007年 104,100
-17.71% ↓
2006年 126,500
24.75% ↑
2005年 101,400
7.07% ↑
2004年 94,700
-0.32% ↓
2003年 95,000
-10.38% ↓
2002年 106,000
-3.64% ↓
2001年 110,000
-4.35% ↓
2000年 115,000
10.05% ↑
1999年 104,500
-13.99% ↓
1998年 121,500
20.3% ↑
1997年 101,000
-11.4% ↓
1996年 114,000
12.87% ↑
1995年 101,000
-3.72% ↓
1994年 104,900
-32.76% ↓
1993年 156,000
58.54% ↑
1992年 98,400
-16.11% ↓
1991年 117,300
-4.79% ↓
1990年 123,200
-14.44% ↓
1989年 144,000
20% ↑
1988年 120,000
-18.37% ↓
1987年 147,000
-2.65% ↓
1986年 151,000
23.77% ↑
1985年 122,000
-5.43% ↓
1984年 129,000
58.87% ↑
1983年 81,200
-12.69% ↓
1982年 93,000
-33.9% ↓
1981年 140,700
52.77% ↑
1980年 92,100
-13.44% ↓
1979年 106,400
-11.41% ↓
1978年 120,100
32.56% ↑
1977年 90,600
-13.14% ↓
1976年 104,300
17.85% ↑
1975年 88,500
26.43% ↑
1974年 70,000
52.17% ↑
1973年 46,000
-38.26% ↓
1972年 74,500
71.26% ↑
1971年 43,500
-32.14% ↓
1970年 64,100
-3.46% ↓
1969年 66,400
54.42% ↑
1968年 43,000
-43.35% ↓
1967年 75,900
47.09% ↑
1966年 51,600
-16.77% ↓
1965年 62,000
3.33% ↑
1964年 60,000
38.25% ↑
1963年 43,400
-32.61% ↓
1962年 64,400
3.04% ↑
1961年 62,500 -

チュニジアは地中海性気候を生かした農業が盛んな国であり、柑橘類、とりわけオレンジの生産が特筆されます。長期的な視点で見ると、1960年代から2000年代初頭にかけては、生産量は比較的安定しており、一部の年には短期的な減少が見られるものの、おおよそ10万トンから15万トンの間で推移していました。この間、大きな気候災害や紛争などの影響がうかがえるようなデータは見受けられませんが、生産の規模も限られていたことがわかります。

しかし、2010年代に入ると、生産量の変動が大きくなり、2018年以降は飛躍的な増加が見られるようになりました。2018年には、従来の約2倍以上となる34.6万トンを記録し、その後、2019年と2021年には44万トンという過去最高値に到達しています。これは、世界市場における需要の増加とともに、国内における農業技術の革新が影響しているものと思われます。例えば、灌漑技術の導入や品種改良、オレンジを含む果実農業への投資拡大がその要因として挙げられます。

一方で、こうした生産量の劇的な伸びは、課題も伴います。まず、気候変動が土地利用や水資源の確保に与える影響が深刻化しています。オレンジ生産は水資源の使用量が非常に多い産業であり、チュニジアのような降水量が限られた地域では、灌漑に頼りすぎることによる資源枯渇のリスクが懸念されています。また、価格変動への耐性についても課題があります。2018年以降の急激な増産は市場の需給バランスに影響を与え、価格が大幅に下がるリスクをもたらす可能性があります。特に、輸出市場への依存が強まるほど、世界経済の動向に左右されやすくなります。

地政学的な背景も見逃せません。チュニジアは北アフリカという位置で、地中海市場へのアクセスが良い一方で、政治的な不安定さが農業セクターに悪影響を及ぼす可能性があります。内政の混乱や近隣国の紛争は輸出面でのリスク要因となりえます。また、この地域全体で水資源や農地をめぐる競争が激化しており、この動向がオレンジ産業にも影響する可能性があります。

これらを踏まえ、チュニジアが今後直面する課題には、農業の持続可能性を担保するための政策立案が挙げられます。具体的には、効率的な灌漑システムのさらなる導入や、水利用量を抑えた新しい農業技術の開発が求められます。また、気候変動への対応として、気温上昇や干ばつに強い品種の開発も進める必要があります。さらに、国内マーケットだけでなく、地中海地域や北ヨーロッパ市場との連携を強化し、輸出の多角化を図ることが重要です。

結論として、チュニジアのオレンジ生産量はここ数年で顕著な成長を見せましたが、今後は持続可能な発展を目指すための対応が求められます。特に水資源の管理や品質向上、市場拡大に向けた努力が重要です。国としての政策はもちろんですが、国際的な協力を通じた農業技術の共有や輸出基盤の整備も重要な課題といえるでしょう。こうした取り組みにより、将来的にはさらなる成長と安定が期待されます。