国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1962年のオレンジ生産量ランキングによると、最も多くオレンジを生産していたのはアメリカ合衆国で約548万トン、次いでブラジルが約185万トン、3位のスペインは121万トンでした。この3か国が世界全体の生産量の大部分を占めており、特にアメリカ合衆国の突出した生産量が際立っています。日本は16位で約18万トンを生産しており、他のアジア諸国と比較しても中程度の位置付けとなっています。地域ごとに見ると、特にアメリカ大陸とヨーロッパ南部に大規模な生産地が集中していることが分かります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 5,480,200 |
| 2 |
|
南アメリカ | 1,850,900 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 1,213,100 |
| 4 |
|
南アメリカ | 882,524 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 712,200 |
| 6 |
|
アジア | 670,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 518,000 |
| 8 |
|
アフリカ | 437,000 |
| 9 |
|
アジア | 435,400 |
| 10 |
|
アフリカ | 433,286 |
| 11 |
|
アフリカ | 280,000 |
| 12 |
|
アフリカ | 275,820 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 251,934 |
| 14 |
|
アジア | 191,000 |
| 15 |
|
アジア | 188,051 |
| 16 |
|
アジア | 184,500 |
| 17 |
|
オセアニア | 177,832 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 156,000 |
| 19 |
|
南アメリカ | 153,267 |
| 20 |
|
南アメリカ | 136,800 |
| 21 |
|
アジア | 133,000 |
| 22 |
|
南アメリカ | 125,400 |
| 23 |
|
アジア | 125,000 |
| 24 |
|
南アメリカ | 118,254 |
| 25 |
|
アフリカ | 107,000 |
| 26 |
|
アジア | 80,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 77,000 |
| 28 |
|
南アメリカ | 74,000 |
| 29 |
|
南アメリカ | 72,000 |
| 30 |
|
アフリカ | 64,400 |
| 31 |
|
アジア | 55,000 |
| 32 |
|
南アメリカ | 53,452 |
| 33 |
|
アジア | 49,000 |
| 34 |
|
南アメリカ | 48,000 |
| 35 |
|
アジア | 45,200 |
| 36 |
|
南アメリカ | 43,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 40,000 |
| 38 |
|
アジア | 40,000 |
| 39 |
|
南アメリカ | 39,400 |
| 40 |
|
南アメリカ | 36,000 |
| 41 |
|
南アメリカ | 30,118 |
| 42 |
|
南アメリカ | 30,000 |
| 43 |
|
南アメリカ | 29,000 |
| 44 |
|
南アメリカ | 26,400 |
| 45 |
|
アフリカ | 26,000 |
| 46 |
|
アジア | 21,000 |
| 47 |
|
アジア | 20,000 |
| 48 |
|
南アメリカ | 20,000 |
| 49 |
|
アフリカ | 18,971 |
| 50 |
|
南アメリカ | 18,000 |
| 51 |
|
アフリカ | 17,000 |
| 52 |
|
アジア | 16,500 |
| 53 |
|
アジア | 15,741 |
| 54 |
|
アフリカ | 15,000 |
| 55 |
|
アフリカ | 14,000 |
| 56 |
|
アジア | 13,000 |
| 57 |
|
南アメリカ | 12,029 |
| 58 |
|
アフリカ | 11,000 |
| 59 |
|
アジア | 10,416 |
| 60 |
|
アフリカ | 10,400 |
| 61 |
|
アジア | 10,100 |
| 62 |
|
アフリカ | 9,500 |
| 63 |
|
南アメリカ | 9,263 |
| 64 |
|
南アメリカ | 8,937 |
| 65 |
|
アジア | 7,500 |
| 66 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 67 |
|
アジア | 6,800 |
| 68 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 69 |
|
アフリカ | 5,500 |
| 70 |
|
アフリカ | 5,200 |
| 71 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 72 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 73 |
|
アジア | 5,000 |
| 74 |
|
アジア | 3,404 |
| 75 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 76 |
|
オセアニア | 3,000 |
| 77 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 78 |
|
アジア | 2,800 |
| 79 |
|
ヨーロッパ | 2,100 |
| 80 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 81 |
|
ヨーロッパ | 1,610 |
| 82 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 83 |
|
オセアニア | 1,000 |
| 84 |
|
南アメリカ | 770 |
| 85 |
|
アフリカ | 600 |
| 86 |
|
オセアニア | 520 |
| 87 |
|
オセアニア | 500 |
| 88 |
|
アジア | 400 |
| 89 |
|
南アメリカ | 260 |
| 90 |
|
オセアニア | 200 |
| 91 |
|
南アメリカ | 200 |
| 92 |
|
南アメリカ | 200 |
| 93 |
|
南アメリカ | 135 |
| 94 |
|
南アメリカ | 70 |
| 95 |
|
アフリカ | 8 |
| 96 |
|
アジア | 7 |
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1962年のオレンジ生産量データを見ると、アメリカ合衆国が圧倒的な1位を占めており、世界全体のオレンジ市場での主要な生産国であったことが明らかです。この生産量の多さは、適した気候条件、産業の整備、また農業機械の高度な導入が大きな要因と考えられます。アメリカに続くブラジルとスペインもまた、気候的条件に恵まれ、かつオレンジがそれぞれの農業輸出の重要な柱となっています。特にブラジルは、1962年時点ではランキング2位でしたが、後年さらに国際市場での競争力を高め、世界最大のオレンジ生産国となる下地を築いていました。
日本は16位で、生産量は約18万トンでした。温暖な気候の地域、特に瀬戸内地方や静岡県を中心にオレンジの栽培が行われていましたが、耕地面積や気候の違いが原因で、アメリカやブラジルに比べ大きな生産量の差が見られました。同じアジア圏ではインドが6位と高い順位で、比較的多くのオレンジを生産していました。一方で中国では、農業基盤がさらに整っていく後年に比べれば、生産量はわずか4.9万トンに過ぎず、順位も33位と低迷していました。また、韓国や北東アジア諸国では、1962年の時点ではオレンジ生産がほとんど行われていませんでした。
地理的視点からは、地中海沿岸諸国であるスペイン、イタリア、モロッコがトップ10にランクインしています。このエリアでは気候がオレンジの生育に非常に適しており、また当時からヨーロッパの市場に向けて輸出する基盤が整備されていました。一方で、アフリカ地域全体の生産量はモロッコ、南アフリカ、エジプトの3か国にほぼ集中しており、他の国々では規模が非常に小さく、地域間の格差が顕著でした。
このデータから浮かび上がる課題として、地域間の生産技術の格差が挙げられます。例えば、アメリカ合衆国のように農業機械の導入が進んだ国では生産効率が高い一方で、コンゴ民主共和国やアフガニスタンのように順位が低い国では、インフラ未整備や技術の不足が原因で生産量が伸びていません。同様に、アジアやアフリカの多くの国では、当時まだオレンジが特産作物として重視されていなかったことも量の少なさの一因と考えられます。今後、生産量の底上げを目指すには、インフラ整備、農業技術の移転、気候に配慮した新たな品種の導入などが重要といえるでしょう。
また、オレンジ生産の地政学的な側面として、当時、輸出入の貿易摩擦や冷戦下での経済的な緊張が、特定国の生産活動に影響を与えた可能性も考慮すべきです。特に冷戦下、東欧やソビエト連邦圏内では果実全般の輸出入産業が遅れており、ランキング上でその重要性が薄かったことが分かります。一方、中南米や南ヨーロッパ地域では、温暖な気候を生かして輸出主導を強化できていました。
気候変動が農業生産に深刻な影響を与え始めている現代において、過去のデータと比較することは重要です。例えば、1962年には南アフリカやモロッコが大きなシェアを誇りましたが、近代では水不足の深刻化や異常気象が生産量に影響しており、特にアフリカ諸国では技術支援や資金調達を担う国際協力が欠かせません。オレンジは生産国にとって重要な輸出作物であり、今後も国際市場での価格競争力を保つためには、高効率で持続可能な農業技術を迅速に採用していく必要があります。
最終的に、各国がオレンジを含む果物栽培の輸出促進政策を進めることで、農業を通じた経済安定を目指せる可能性があります。しかしこれは、農業だけでなく貿易政策や環境政策といった多面的なアプローチを欠かせない課題となるでしょう。世界全体で、気候変動への対策と農業の発展を同時に考慮した持続可能な農業モデルの構築が求められています。