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ニウエのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニウエのサツマイモ生産量は1960年代に450トンと比較的高い値を記録していましたが、1970年代以降減少傾向にあり、その後おおむね安定した水準で推移しています。1990年以降は毎年250トン前後で横ばいが続き、2022年の生産量は252トンとなっています。全体を通じて特定の低下や回復といった大きな変動は見られず、安定した生産基盤を保ちながら他の要素での変化が限定的であることが示唆されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 252 -
2022年 252
0.05% ↑
2021年 251
0.05% ↑
2020年 251 -
2019年 251
0.04% ↑
2018年 251
0.04% ↑
2017年 251
0.06% ↑
2016年 251
0.04% ↑
2015年 251
0.13% ↑
2014年 250
0.2% ↑
2013年 250 -
2012年 250
-0.17% ↓
2011年 250
-0.02% ↓
2010年 250
-0.02% ↓
2009年 251
0.02% ↑
2008年 251
-3.65% ↓
2007年 260
4.58% ↑
2006年 249
3.22% ↑
2005年 241
-2.69% ↓
2004年 248
0.17% ↑
2003年 247
-0.06% ↓
2002年 247
0.01% ↑
2001年 247
-0.02% ↓
2000年 247
0.02% ↑
1999年 247
-0.36% ↓
1998年 248
0.19% ↑
1997年 248
0.08% ↑
1996年 247
0.09% ↑
1995年 247
0.11% ↑
1994年 247
-1.22% ↓
1993年 250
2.04% ↑
1992年 245
-0.63% ↓
1991年 247
2.73% ↑
1990年 240
-33.33% ↓
1989年 360 -
1988年 360
20% ↑
1987年 300 -
1986年 300 -
1985年 300 -
1984年 300 -
1983年 300 -
1982年 300 -
1981年 300 -
1980年 300 -
1979年 300 -
1978年 300
-14.29% ↓
1977年 350 -
1976年 350 -
1975年 350 -
1974年 350 -
1973年 350 -
1972年 350 -
1971年 350
6.06% ↑
1970年 330
-5.71% ↓
1969年 350
-22.22% ↓
1968年 450
12.5% ↑
1967年 400
14.29% ↑
1966年 350 -
1965年 350
-22.22% ↓
1964年 450
12.5% ↑
1963年 400
5.26% ↑
1962年 380
-15.56% ↓
1961年 450 -

ニウエは南太平洋に位置する小国で、伝統的にサツマイモが重要な農作物として栽培されてきました。その生産量の推移を1961年から2022年までの長期データを通じて見ると、いくつかの興味深い傾向が浮かび上がります。最初の数十年間、具体的には1960年代には生産量が450トンと比較的高水準を保っており、農業への人手や地域社会における栽培意欲が高かったことを示していると言えます。しかし1970年代以降、300トン台まで減少し、その後はわずかに減少のトレンドを維持しながら、最終的には1990年代半ば以降一定の横ばい傾向を見せるようになります。

特に1990年の240トンへの落ち込みは顕著であり、この時期は自然災害や経済的要因、さらには人口流出などが影響した可能性があります。また、その後も長期的に250トン前後の水準で推移しており、生産量が大きく回復する兆候はこれまで見られていません。このような安定的な生産量の背景には、ニウエの人口が約1500人と極めて小規模であることも強く関係していると考えられます。この人口規模では、サツマイモの消費需要が限られているため、生産量が市場供給に依存するわけではないという構図が見られます。

ただし、長期的に見た場合、安定した生産量にも課題が孕んでいることが指摘できます。まず第一に、自然災害のリスクです。ニウエは地政学的にサイクロンや干ばつなどの自然災害に脆弱な立地であり、これらが突発的に生産量を押し下げる可能性があります。また、第二の課題として農業従事者の高齢化と減少が挙げられます。小規模経済圏のニウエでは若年層は海外移住を選ぶ傾向があり、農業従事者の減少が生産基盤の維持に直結するリスクを孕んでいます。こうした人口動態の変化が、将来的にサツマイモ生産のさらなる縮小をもたらす可能性も否定できません。

これに対し、具体的な対策としていくつかの提案が考えられます。まず、小規模でも持続可能な農業を推進するための技術支援が求められます。特に気候変動への適応をめざし、より耐候性の高い品種の研究開発や導入が必要とされます。また、地域住民が農業活動を継続しやすくするためには、国内消費に依存する構図にとどまらず、小規模ながら輸出市場を開拓する動きも選択肢の一つです。たとえば、オーガニック農業を推進することで、健康志向の高い国々への輸出路線を検討することが可能です。さらに、地域内の農産物価値を高めるための加工産業や観光業との連携も将来的な方策として考えるべきです。

結論として、ニウエのサツマイモ生産は長期にわたり安定している一方で、国全体としての小規模性や将来的な人口減少問題には注意を払う必要があります。地政学的リスクや変化する気候条件に立ち向かうためには、地域住民と政府の密な協力と国際機関からの支援が鍵となります。具体的には、持続可能な農業政策の策定、耐性品種の研究、地域経済の多角化などを進めることで、将来的な安定した生産体制を確立することが期待されています。