最新の国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ニウエにおける牛乳の生産量は、1961年から2023年までの間に一定の増減を経た後、近年では安定している状態です。1961年の生産量が7トンであったのに対し、1970年代には一時的に100トン近くに達しましたが、その後減少と横ばいの時期を挟み、21世紀以降は50トン台後半の生産量で推移しています。2023年時点の生産量は58トンとなっており、過去数十年間における大きな変動は見られません。
ニウエの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 58 |
0.15% ↑
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| 2022年 | 58 |
0.09% ↑
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| 2021年 | 58 |
0.09% ↑
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| 2020年 | 58 |
0.07% ↑
|
| 2019年 | 58 |
0.09% ↑
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| 2018年 | 58 |
0.29% ↑
|
| 2017年 | 58 |
0.03% ↑
|
| 2016年 | 58 |
0.03% ↑
|
| 2015年 | 58 |
0.09% ↑
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| 2014年 | 58 |
0.14% ↑
|
| 2013年 | 58 |
0.05% ↑
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| 2012年 | 58 |
0.05% ↑
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| 2011年 | 58 |
0.07% ↑
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| 2010年 | 58 |
0.05% ↑
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| 2009年 | 58 |
0.07% ↑
|
| 2008年 | 58 |
4.89% ↑
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| 2007年 | 55 |
-4.03% ↓
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| 2006年 | 57 |
-0.28% ↓
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| 2005年 | 57 |
0.05% ↑
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| 2004年 | 57 |
0.07% ↑
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| 2003年 | 57 |
0.05% ↑
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| 2002年 | 57 |
0.05% ↑
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| 2001年 | 57 |
0.07% ↑
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| 2000年 | 57 |
0.05% ↑
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| 1999年 | 57 |
0.05% ↑
|
| 1998年 | 57 |
0.07% ↑
|
| 1997年 | 57 |
0.05% ↑
|
| 1996年 | 57 |
0.05% ↑
|
| 1995年 | 57 |
0.07% ↑
|
| 1994年 | 57 |
0.05% ↑
|
| 1993年 | 57 |
0.05% ↑
|
| 1992年 | 57 |
14.08% ↑
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| 1991年 | 50 |
11.11% ↑
|
| 1990年 | 45 |
-10% ↓
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| 1989年 | 50 | - |
| 1988年 | 50 | - |
| 1987年 | 50 | - |
| 1986年 | 50 | - |
| 1985年 | 50 | - |
| 1984年 | 50 | - |
| 1983年 | 50 | - |
| 1982年 | 50 |
4.17% ↑
|
| 1981年 | 48 | - |
| 1980年 | 48 |
-4% ↓
|
| 1979年 | 50 | - |
| 1978年 | 50 |
-3.85% ↓
|
| 1977年 | 52 | - |
| 1976年 | 52 | - |
| 1975年 | 52 | - |
| 1974年 | 52 | - |
| 1973年 | 52 |
1.96% ↑
|
| 1972年 | 51 |
-48.48% ↓
|
| 1971年 | 99 |
5.32% ↑
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| 1970年 | 94 |
30.56% ↑
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| 1969年 | 72 |
28.57% ↑
|
| 1968年 | 56 |
40% ↑
|
| 1967年 | 40 |
14.29% ↑
|
| 1966年 | 35 |
16.67% ↑
|
| 1965年 | 30 |
20% ↑
|
| 1964年 | 25 |
25% ↑
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| 1963年 | 20 |
-13.04% ↓
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| 1962年 | 23 |
228.57% ↑
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| 1961年 | 7 | - |
ニウエの牛乳生産量に関する長期的なデータは、同国の農業が歩んできた歴史と現状を示す重要な指標です。このデータを分析すると、1961年にわずか7トンと小規模でスタートした生産量が、1970年頃までの間には継続的に増加していたことが分かります。これは、農業技術の発展や初期の酪農基盤の整備が進んだことを反映している可能性が高いです。特に、1969年から1971年までの間に劇的な増加を示していることは、畜産において重点的な投資や政策が実施された時期であったことを窺わせます。
しかしながら、その後の1972年以降、生産量は一転して横ばい状況と減少傾向が続きます。この停滞は、地理的条件や気候変動に加えて、地元経済規模と人口移動の影響を受けた結果と考えられます。ニウエは、人口が極めて少なく、輸出を目的とした大規模な産業が難しい島国です。1980年代中盤においても生産量は50トン程度で推移している点が示す通り、酪農の規模が限定的であることが分かります。さらに、1990年の生産量が45トンとなったことは、一時的な自然災害や輸送の困難さ、あるいは国内需要の減少に起因している可能性も指摘されます。
21世紀以降、ニウエの牛乳生産量は50トンから58トンの範囲内で推移しており、この安定性は注目に値します。特に、2000年以降は58トンでほぼ一定であり、技術や需給の変化にも関わらず持続可能な生産体系が維持されていると推測できます。しかし、こうした安定性の背景には、現地の農業への依存度の高さや伝統的な農業手法の維持が関わっている可能性があります。他国と比較すると、日本やアメリカ、中国のように大規模酪農を行う国々とは対照的であり、ニウエは生産性を最大化するよりも地域需要を満たすために限定的な生産を行うことを重視しているようです。
今後の課題として、気候変動による地理的・環境的な影響が挙げられます。ニウエのような小島嶼国家は自然災害の影響を受けやすく、干ばつやサイクロンなどが農業全体に大きな打撃を与えるリスクがあります。また、人口減少や都市部への移住も労働力の減少を招き、酪農業の持続可能性を脅かす要因となるでしょう。これを受けて、政府や国際機関が行うべき対策として、地域の農民に対する技術支援や耐災害性のある農業インフラの整備、そして若い世代が農業に参画できるような支援プログラムの導入が挙げられます。また、観光産業との連携を強化し、地域特産としての乳製品開発を進めることで外貨獲得を目指すことも考えられます。
結論として、ニウエの牛乳生産量は小規模ながらも安定した水準を維持しています。しかし、環境変動や人口動態の変化が今後の生産性に及ぼす影響を無視することはできません。持続可能な農業体系を維持するために適切な対策を講じ、長期的な視点から酪農業の振興を図ることが重要となります。この取り組みは、地域社会の安定と発展に資するものであり、国際的な協力のもと進めていくべきでしょう。