Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表した最新データによると、ニウエのレモン・ライム生産量は、過去約60年間で大きな変動を見せています。1960年代から1970年代後半にかけて増加傾向を示し、1979年の409トンをピークに大幅な減少が見られました。その後、長期間にわたり生産量は100トン前後のレベルに留まりましたが、直近では2023年に109トンまで回復しています。本データは、ニウエ国内の農業事情や気候変動の影響、さらには人口動態や国際的な農産物市場の変化など、様々な要因を反映していると考えられます。
ニウエのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 109 |
0.42% ↑
|
2022年 | 108 |
0.2% ↑
|
2021年 | 108 |
0.2% ↑
|
2020年 | 108 |
0.18% ↑
|
2019年 | 107 |
0.15% ↑
|
2018年 | 107 |
0.32% ↑
|
2017年 | 107 |
0.78% ↑
|
2016年 | 106 |
0.08% ↑
|
2015年 | 106 |
-0.6% ↓
|
2014年 | 107 |
1.58% ↑
|
2013年 | 105 |
16.68% ↑
|
2012年 | 90 |
-15.63% ↓
|
2011年 | 107 |
-0.77% ↓
|
2010年 | 108 |
-0.73% ↓
|
2009年 | 108 |
-0.7% ↓
|
2008年 | 109 |
-16.12% ↓
|
2007年 | 130 |
21.45% ↑
|
2006年 | 107 |
0.08% ↑
|
2005年 | 107 |
0.41% ↑
|
2004年 | 107 |
0.39% ↑
|
2003年 | 106 |
0.3% ↑
|
2002年 | 106 |
0.32% ↑
|
2001年 | 105 |
0.64% ↑
|
2000年 | 105 |
0.25% ↑
|
1999年 | 105 |
0.23% ↑
|
1998年 | 104 |
0.21% ↑
|
1997年 | 104 |
1.91% ↑
|
1996年 | 102 |
-0.26% ↓
|
1995年 | 102 |
-0.27% ↓
|
1994年 | 103 |
-0.26% ↓
|
1993年 | 103 |
-0.27% ↓
|
1992年 | 103 |
-0.26% ↓
|
1991年 | 103 |
-5.94% ↓
|
1990年 | 110 |
-68.57% ↓
|
1989年 | 350 | - |
1988年 | 350 | - |
1987年 | 350 |
29.63% ↑
|
1986年 | 270 | - |
1985年 | 270 | - |
1984年 | 270 |
3.85% ↑
|
1983年 | 260 |
4% ↑
|
1982年 | 250 | - |
1981年 | 250 |
-6.02% ↓
|
1980年 | 266 |
-34.96% ↓
|
1979年 | 409 |
19.94% ↑
|
1978年 | 341 |
52.91% ↑
|
1977年 | 223 |
17.37% ↑
|
1976年 | 190 |
5.56% ↑
|
1975年 | 180 |
5.88% ↑
|
1974年 | 170 |
6.25% ↑
|
1973年 | 160 |
6.67% ↑
|
1972年 | 150 |
7.14% ↑
|
1971年 | 140 |
7.69% ↑
|
1970年 | 130 |
8.33% ↑
|
1969年 | 120 |
9.09% ↑
|
1968年 | 110 |
10% ↑
|
1967年 | 100 |
11.11% ↑
|
1966年 | 90 | - |
ニウエは南太平洋に位置する小規模な島国で、独自の地理的特性や気候条件がその農業生産に強く影響を及ぼしています。レモンやライムは同国の重要な農作物であり、国内消費や輸出用として生産されています。このデータによると、生産量は1960年代から段階的に増加し、1979年に409トンという最大値を記録しました。この時期は、ニウエにおける気候条件と農業政策が比較的安定し、生産の推進に有利だったと考えられます。
しかし、1980年代以降には、生産量が急激に減少し、1980年代後半から1990年代までの間は特に低迷しました。この変動には、1979年のピーク以降、天候不順や土壌劣化、農業従事者の人口減少、さらには気候変動による異常気象が関与した可能性があります。特に、1990年代初頭以降は年間100トン前後という安定的ながらも低い水準で推移しています。この生産低迷は、国内市場の需要減少、農業労働力の不足が重要な要因であったと考えられます。
2000年代後半には一部で改善の兆しが見られましたが、再度低迷しています。この背景には、国際市場での競争激化や輸送費用の増加が挙げられるでしょう。新型コロナウイルスの影響により、2020年代初頭にも生産環境に制約があったと推測されます。ロジスティクスの困難や観光業の低迷が経済全体に影響を与えたことで、農業にも間接的な影響が及んだ可能性があります。同時に、気候変動の影響による収穫量の不安定化にも留意する必要があります。
さらに、近年の109トンまでの生産量の回復は、小規模ながらも効率的な栽培方法の導入などの取り組みの結果であると考えられます。例えば、持続可能な農業技術や灌漑設備の導入により生産力が改善された可能性があります。しかしながら、依然として生産量は歴史的な高水準には戻らず、これが国内農業経済の健全性維持に課題をもたらしています。
今後、ニウエのレモン・ライム生産を持続的に向上させるためにはいくつかの具体的な施策が考えられます。まず、農業技術の更なる革新を進めることが求められます。例えば、気候に対応した品種改良や生産効率を高めるスマート農業の導入が効果的です。また、農業に従事する若年層を呼び込むための施策も重要です。具体的には、農業従事者への教育プログラムや補助金制度を導入し、農業を魅力的な職業として位置付ける努力が必要です。
さらに、国際市場へのアクセスを強化するために輸送ネットワークの改善と高品質化を目指した農産物ブランドの構築も提案されます。これにより、競争力を向上させ、公正な市場価格での取引が可能になるでしょう。また、気候リスクを低減するために、地域協力の枠組みを通じて情報共有を進めることも有用です。
データから見て明らかなのは、ニウエのレモン・ライム生産が長期的な変化を経てきた一方、持続的な生産力の確立が課題であることです。このため、効率的でレジリエントな農業を目指す中で、技術革新、政策支援、国際協力の強化が鍵となるでしょう。