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キプロスの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データに基づくと、キプロスの羊の毛生産量は1960年代から大きな変動を経ながら推移してきました。1960年代には着実な増加傾向が見られ、1973年には最高値の800トンに達しましたが、その後の政治的・経済的変動によって急激な減少が見られました。2000年代以降にはさらに生産量が低下し、一時は200トンを下回る低水準に至りました。2010年代後半になるとわずかながら回復傾向が見られ、2017年には324トンにまで回復したことが確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 324
6.93% ↑
2016年 303
15.21% ↑
2015年 263
6.48% ↑
2014年 247
18.75% ↑
2013年 208
23.81% ↑
2012年 168
6.33% ↑
2011年 158
-22.17% ↓
2010年 203
26.88% ↑
2009年 160
-14.89% ↓
2008年 188
1.62% ↑
2007年 185
-7.04% ↓
2006年 199
-33.89% ↓
2005年 301
4.51% ↑
2004年 288
-18.18% ↓
2003年 352
-24.14% ↓
2002年 464
2.65% ↑
2001年 452
13% ↑
2000年 400
2.56% ↑
1999年 390
-2.5% ↓
1998年 400
2.56% ↑
1997年 390
2.63% ↑
1996年 380 -
1995年 380
-7.32% ↓
1994年 410
-7.87% ↓
1993年 445
4.71% ↑
1992年 425
-3.41% ↓
1991年 440 -
1990年 440 -
1989年 440
-2.22% ↓
1988年 450
-4.26% ↓
1987年 470
2.17% ↑
1986年 460
2.22% ↑
1985年 450
2.27% ↑
1984年 440
3.53% ↑
1983年 425
0.71% ↑
1982年 422
0.96% ↑
1981年 418
2.2% ↑
1980年 409
1.74% ↑
1979年 402
0.5% ↑
1978年 400
-2.2% ↓
1977年 409
9.95% ↑
1976年 372
11.04% ↑
1975年 335
-48.7% ↓
1974年 653
-18.38% ↓
1973年 800
1.78% ↑
1972年 786
4.8% ↑
1971年 750
6.53% ↑
1970年 704
2.03% ↑
1969年 690
21.27% ↑
1968年 569
12.01% ↑
1967年 508 -
1966年 508
6.28% ↑
1965年 478
4.6% ↑
1964年 457
-18.25% ↓
1963年 559
11.8% ↑
1962年 500
17.1% ↑
1961年 427 -
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キプロスの羊の毛生産量はその長い歴史の中で、地域の経済・社会情勢を反映して大きな変動を見せてきました。特に1960年代から1970年代初期にかけては、持続的な生産量の増加が顕著で、1973年には最高記録となる800トンに到達しました。この背景には、当時キプロス国内での農業技術の近代化や羊毛需要の安定した増加が挙げられます。しかし、1974年に発生した地政学的な紛争(トルコによる北キプロス侵攻)は、キプロスの農業基盤に深刻な影響を及ぼし、羊の毛生産量はその後急激に減少しました。この状況は1975年の335トンという大幅な生産量の落ち込みに現れています。

その後、1980年代から1990年代にかけて、生産量は比較的安定したものの、1970年代以前の水準には達しませんでした。この期間の生産量の平坦化には、農村地域の過疎化や羊毛市場への新たな国際競争が影響していると考えられます。また、2000年代に入ると、グローバルな羊毛需要の減少や生産コストの上昇がキプロスの畜産業にも影響を及ぼし、2006年には199トンという記録的な低水準にまで低下しました。さらに、新型金融危機が2008年に世界的に起こり、キプロス経済は一層の厳しさを迎え、農業部門もその影響を大きく受けた可能性があります。

しかし、近年では羊毛生産量が緩やかに回復しつつあり、2017年には324トンに達しています。この復調傾向の背景には、観光業やローカルプロダクトとしての羊毛の需要増加による付加価値向上が考えられます。一方で、依然として生産量はピーク時の水準には遠く、新技術の採用や環境変化への対応が今後の回復の鍵となります。

さらに、地政学的リスクが農業・畜産業に与える影響についても引き続き注視する必要があります。キプロスは、地中海に位置する戦略的重要性のある島国であり、地域的な安定性が産業全体の基盤に関わっています。また気候変動の影響で干ばつや極端な天候が生態系に影響を与え、羊の飼育や毛の質への負荷が高まっています。

今後の対策としては、持続可能な農業政策の策定が急務です。具体的には、気候変動対策を組み込んだ飼育環境の整備や、羊毛を原料とした地元産品のブランド化推進が重要と考えられます。また、地域間や国際間での農業協力を進めることで、技術移転や市場開拓も可能となるでしょう。さらに、若者が畜産業に参入しやすいような支援体制の構築が必要です。同時に、地政学的な安定化を目指した国際的な協調も進めるべき課題のひとつです。

結論として、キプロスの羊毛生産量の推移は同国の社会経済的および地政学的状況を如実に反映しており、安定的な農業と地域経済の発展に向けた多角的な取り組みが求められています。国際連合や欧州連合の支援を活用しつつ、環境的・経済的に持続可能な産業モデルを目指すことが、キプロスにとっての未来の課題となるでしょう。

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