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ドイツの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、ドイツの羊の毛生産量は1961年に12,000トンでスタートし、1989年には24,400トンというピークを記録しました。しかしそれ以降、急激な減少を経験し、1999年には8,879トンとなりました。その後は緩やかな増加と減少を繰り返しながら、近年では12,000~13,500トン程度の安定した生産量を維持しています。ここには地政学的背景や農業政策の変化が大きく影響したと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 12,404
-0.36% ↓
2016年 12,448
0.18% ↑
2015年 12,426
3.45% ↑
2014年 12,011
-7.61% ↓
2013年 13,000
-3.7% ↓
2012年 13,500
3.85% ↑
2011年 13,000
1.56% ↑
2010年 12,800
2.4% ↑
2009年 12,500
4.17% ↑
2008年 12,000
20% ↑
2007年 10,000
2.04% ↑
2006年 9,800
3.16% ↑
2005年 9,500
-9.14% ↓
2004年 10,455
3.27% ↑
2003年 10,124
3.66% ↑
2002年 9,767
3.66% ↑
2001年 9,422
3.38% ↑
2000年 9,114
2.65% ↑
1999年 8,879
-7.77% ↓
1998年 9,627
-1.75% ↓
1997年 9,798
-1.4% ↓
1996年 9,937
-3.5% ↓
1995年 10,297
-6.11% ↓
1994年 10,967
-8.41% ↓
1993年 11,974
-12.31% ↓
1992年 13,655
-8.97% ↓
1991年 15,000
-28.57% ↓
1990年 21,000
-13.93% ↓
1989年 24,400
5.17% ↑
1988年 23,200
0.85% ↑
1987年 23,004
3.99% ↑
1986年 22,121
9.15% ↑
1985年 20,266
4.38% ↑
1984年 19,416
20.32% ↑
1983年 16,137
-2.52% ↓
1982年 16,554
1% ↑
1981年 16,390
2.83% ↑
1980年 15,939
4.04% ↑
1979年 15,320
2.26% ↑
1978年 14,981
4.06% ↑
1977年 14,396
-1.17% ↓
1976年 14,567
6.37% ↑
1975年 13,695
8.49% ↑
1974年 12,623
6.43% ↑
1973年 11,860
6.26% ↑
1972年 11,161
2.36% ↑
1971年 10,904
6.98% ↑
1970年 10,193
-9.02% ↓
1969年 11,204
0.04% ↑
1968年 11,200
-0.88% ↓
1967年 11,300
-1.74% ↓
1966年 11,500
0.88% ↑
1965年 11,400 -
1964年 11,400
-0.87% ↓
1963年 11,500
2.68% ↑
1962年 11,200
-6.67% ↓
1961年 12,000 -
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ドイツの羊の毛生産量推移を見ると、1960年代から1980年代後半にかけてゆるやかな増加が続き、1989年には24,400トンと史上最高の生産量を記録しました。この増加期は、羊毛を含む繊維製品の需要拡大、工業技術の発展による効率的な生産方法の採用、さらにはヨーロッパ内での農業補助金政策の影響を受けた結果と考えられます。しかし、1990年代以降、生産量が急激に減少し、1993年には11,974トン、1999年には8,879トンまで落ち込みました。この変化の背後には、地政学的変化や市場構造の変化、および世界的な羊毛需要の低下がありました。

1990年代の急激な減少の一因として挙げられるのは、ドイツ再統一後の農業構造の変革です。再統一に伴う経済的混乱が農業生産にも影響を及ぼし、羊毛を含む畜産業の資源配分に変化をもたらしました。また、この時期に合成繊維の市場拡大が進み、羊毛の需要が減少したことも大きな要因です。合成繊維の普及は、価格競争力と多用途性を追求する消費者のニーズに応えたものでしたが、羊毛の需要には逆風となりました。

2000年代以降、羊毛生産量は一定の安定期に入りました。9,000~13,500トンの範囲で上下動を見せる中、特に2008年以降の回復傾向が注目されます。これは、サステナビリティを重視する風潮や高品質な天然繊維に対する需要が見直されたことと重なっています。EUにおける農業補助政策により、持続可能性を意識した畜産業への支援がなされていることも背景の一つです。

一方で、課題も残ります。第1に、羊飼いの高齢化と後継者不足が挙げられます。これにより、羊飼い業の継続に困難を感じる地域が増加しています。第2に、環境政策に伴う農地の制約が影響を及ぼしている点も無視できません。地球温暖化対策が進む中、羊の放牧地に対しても新たな制約が加えられる可能性があります。

また、ドイツの羊毛生産は地政学的影響も受けてきました。たとえば、近年のエネルギー危機やウクライナ紛争の影響で、農産物の価格や生産資材のコストが急騰し、それに伴って羊毛生産の経済的負担が増しています。このようなリスクは、将来的にも羊毛生産量の変動要因になる可能性があります。

今後の具体的な提案として、まずは若い世代への羊飼い技術の教育や、職業の魅力化を支援する政策を強化することが重要です。また、地域間協力の枠組みを強化し、EU各国での羊毛市場の統合を進める取り組みが求められるでしょう。さらに、環境保護と調和した放牧の確立や、羊毛の新しい用途開発を通じて、価値を高めることも解決策となるはずです。

結論として、ドイツの羊毛生産量は今後も世界の市場や消費動向、環境政策の影響を受け続けると予想されます。政策立案者や業界関係者は、これまでの推移データを元に柔軟な対応策を講じる必要があります。これにより、短期的な安定だけでなく、長期的な持続可能性を確保する道が開けるでしょう。

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