Skip to main content

ポーランドの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、ポーランドにおける羊の毛の生産量は、1960年代から1980年代後半まで一貫して増加を見せた後、1990年代以降劇的に減少しました。この減少は、1992年以降、生産量が6,000トンを下回り続け、直近のデータでは年間700トン程度で推移しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 731 -
2016年 731
5.43% ↑
2015年 693
-30.44% ↓
2014年 997
-18.01% ↓
2013年 1,216
21.59% ↑
2012年 1,000
29.03% ↑
2011年 775
25% ↑
2010年 620
-24.02% ↓
2009年 816
-14.91% ↓
2008年 959
0.42% ↑
2007年 955
2.91% ↑
2006年 928
-7.01% ↓
2005年 998
0.81% ↑
2004年 990
-18.72% ↓
2003年 1,218
-7.52% ↓
2002年 1,317
-1.64% ↓
2001年 1,339
1.29% ↑
2000年 1,322
-3.78% ↓
1999年 1,374
-6.91% ↓
1998年 1,476
-14.83% ↓
1997年 1,733
-11.72% ↓
1996年 1,963
-15.5% ↓
1995年 2,323
-25.09% ↓
1994年 3,101
-25.67% ↓
1993年 4,172
-36.75% ↓
1992年 6,596
-38.57% ↓
1991年 10,738
-27.36% ↓
1990年 14,783
-7.28% ↓
1989年 15,944
-2.82% ↓
1988年 16,406
-4.91% ↓
1987年 17,253
-2.52% ↓
1986年 17,699
3.24% ↑
1985年 17,143
11.72% ↑
1984年 15,344
16.13% ↑
1983年 13,213
5.86% ↑
1982年 12,482
11.58% ↑
1981年 11,187
-12.09% ↓
1980年 12,725
-6.33% ↓
1979年 13,585
6.12% ↑
1978年 12,802
3.88% ↑
1977年 12,324
16.68% ↑
1976年 10,562
11.77% ↑
1975年 9,450
5.01% ↑
1974年 8,999
4.23% ↑
1973年 8,634
-3.67% ↓
1972年 8,963
-1.1% ↓
1971年 9,063
1.39% ↑
1970年 8,939
0.44% ↑
1969年 8,900
1.14% ↑
1968年 8,800
2.33% ↑
1967年 8,600
7.5% ↑
1966年 8,000
6.67% ↑
1965年 7,500
1.35% ↑
1964年 7,400
1.37% ↑
1963年 7,300
-10.98% ↓
1962年 8,200
-6.82% ↓
1961年 8,800 -
+ すべての年度を見る

1960年代から1980年代中盤にかけて、ポーランドの羊の毛生産量は顕著に増加し、1985年には17,143トンに達しました。この増加は、当時のポーランドにおける農業政策や羊毛産業の需要の高まりに支えられたものと考えられます。特に、衣料用素材としての羊毛の国内外の需要がこの増加傾向に寄与したと考えられます。しかしながら、1989年以降の数値を見ると、生産量は急激に減少に転じ、1990年代初頭には10,000トンを大幅に下回り、1995年頃には2,000トン台にまで減少しています。

この急激な減少の背景には、複数の要因が指摘されています。第一に、冷戦の終結とともに東欧の経済構造が大きく変化し、ポーランドも例に漏れず市場経済への移行を進めました。この過程で、羊毛産業は競争力を失い、低コストかつ大量生産が可能な他国(中国やニュージーランドなど)からの輸入品に押される形で縮小しました。第二に、ポーランドにおける都市化の進展と農村部の人口減少により、農業全般の労働力が減少し、羊飼育という労働集約型の産業が衰退したことが影響を与えました。また、気候の変化や地政学的な動向も、農業の転換に拍車をかけた要因と考えられます。

2000年代に入ると、羊毛の生産量はわずか1,000トン前後で推移しており、ポーランドの羊毛産業がかつての規模を取り戻す兆しは見られません。この期間にはEUへの加盟(2004年)などポジティブな要素もありましたが、EU内での競争が激化し、輸出市場での更なる競争力の低下につながりました。

現在、ポーランドの羊毛生産量は低水準で停滞しており、その産業形態は大きな変革の中にあります。一方で、最近の世界的なサステナビリティの潮流により、再生可能な天然資源としての羊毛が再評価されています。たとえば、化学繊維よりも環境に優しい素材として羊毛を選ぶ需要が高まっている地域では、ポーランド製羊毛の復権の可能性が示唆されています。

将来的な課題として、持続可能な生産体制の構築が挙げられます。まず、地元産業を再活性化するため、政府による助成金や技術支援、さらには地域ブランドの開発が必要です。また、グローバル市場における差別化を図るため、農業協同組合による「高品質羊毛」のプロモーションや輸出拡大の取り組みが鍵となるでしょう。

結論として、ポーランドの羊毛市場は、かつてのピークに匹敵する規模を回復することは現実的ではありませんが、ニッチ市場での成長や環境志向の消費者への訴求に成功すれば、持続可能な形での再生が期待できます。特にEU内外でのサステナブルな製品需要の高まりを好機と捉え、戦略的な政策と地域連携を進めることにより、将来的な可能性を広げていけるでしょう。

ポーランドの統計データ
キーワード検索
楽天おすすめ