ナミビアの牛乳生産量は、1961年には125,000トンを記録しましたが、その後数十年間、下降傾向を示し、70,000トン前後の水準で推移しました。一方、1990年代以降は安定的な増加を見せ、2023年には128,302トンという過去最大の記録を達成しました。この約60年間で、政策改善や産業技術の進歩、経済環境による影響が重要な役割を果たしたと言えます。
ナミビアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 128,302 |
15.38% ↑
|
2022年 | 111,199 |
1.37% ↑
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2021年 | 109,701 |
9.34% ↑
|
2020年 | 100,327 |
-7.65% ↓
|
2019年 | 108,634 |
-0.02% ↓
|
2018年 | 108,659 |
-2.71% ↓
|
2017年 | 111,690 |
-5.08% ↓
|
2016年 | 117,664 |
10.05% ↑
|
2015年 | 106,921 |
-2.68% ↓
|
2014年 | 109,864 |
-8.45% ↓
|
2013年 | 120,000 |
1.69% ↑
|
2012年 | 118,000 |
2.61% ↑
|
2011年 | 115,000 | - |
2010年 | 115,000 |
4.55% ↑
|
2009年 | 110,000 |
0.92% ↑
|
2008年 | 109,000 |
2.35% ↑
|
2007年 | 106,500 |
-0.93% ↓
|
2006年 | 107,500 |
-8.51% ↓
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2005年 | 117,500 |
23.15% ↑
|
2004年 | 95,413 |
-12.47% ↓
|
2003年 | 109,000 |
3.81% ↑
|
2002年 | 105,000 |
14.13% ↑
|
2001年 | 92,000 |
3.95% ↑
|
2000年 | 88,500 |
7.27% ↑
|
1999年 | 82,500 |
4.43% ↑
|
1998年 | 79,000 |
6.76% ↑
|
1997年 | 74,000 |
2.78% ↑
|
1996年 | 72,000 |
-15.32% ↓
|
1995年 | 85,024 |
14.9% ↑
|
1994年 | 74,000 |
-1.33% ↓
|
1993年 | 75,000 |
-3.85% ↓
|
1992年 | 78,000 |
-2.5% ↓
|
1991年 | 80,000 |
5.26% ↑
|
1990年 | 76,000 |
4.11% ↑
|
1989年 | 73,000 |
1.39% ↑
|
1988年 | 72,000 |
4.05% ↑
|
1987年 | 69,200 |
0.58% ↑
|
1986年 | 68,800 |
0.58% ↑
|
1985年 | 68,400 |
0.59% ↑
|
1984年 | 68,000 | - |
1983年 | 68,000 | - |
1982年 | 68,000 | - |
1981年 | 68,000 | - |
1980年 | 68,000 |
-0.73% ↓
|
1979年 | 68,500 |
0.74% ↑
|
1978年 | 68,000 |
1.49% ↑
|
1977年 | 67,000 |
3.08% ↑
|
1976年 | 65,000 |
4.84% ↑
|
1975年 | 62,000 |
3.33% ↑
|
1974年 | 60,000 | - |
1973年 | 60,000 |
-14.29% ↓
|
1972年 | 70,000 |
1.45% ↑
|
1971年 | 69,000 |
2.99% ↑
|
1970年 | 67,000 |
-16.25% ↓
|
1969年 | 80,000 |
-17.53% ↓
|
1968年 | 97,000 |
-3% ↓
|
1967年 | 100,000 |
6.38% ↑
|
1966年 | 94,000 |
14.63% ↑
|
1965年 | 82,000 |
-13.68% ↓
|
1964年 | 95,000 |
-5% ↓
|
1963年 | 100,000 |
5.26% ↑
|
1962年 | 95,000 |
-24% ↓
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1961年 | 125,000 | - |
ナミビアの牛乳生産量は、1960年代には125,000トンで始まりましたが、急激に減少し、1970年には67,000トンにまで落ち込みました。この時期の減少は、砂漠気候による干ばつや農業インフラの未発達が大きく影響したと考えられます。その後、国全体の経済的な停滞とインフラ整備の課題もあり、生産量は停滞的な数値で1970年代から1980年代にかけて推移しました。
1990年代に入るとやや増加の兆しが見え始め、特に1995年以降に顕著な変化が見られるようになりました。この背景には、独立後の農業政策の改革や、酪農業への投資、特定の生産エリアの現代化が挙げられます。また、1990年の牛乳生産量が76,000トンであったのに対し、2005年には117,500トンまで増加。農業省や関連機関は、近代的な酪農技術の導入や労働力への支援などを継続的に進めました。
2000年代半ば以降は、総体として増加基調にあります。ただし、2014年から2020年ごろにかけて再度の低下が見られることも重要です。例えば、2018年の108,659トンから2020年の100,327トンへの減少は、地域的に深刻化した干ばつの影響によるものと推測されます。ナミビアは乾燥地域が多く、特に気候変動の影響を受けやすい地域であるため、自然現象が酪農業に大きな影響を与えることがわかります。
しかしながら、ここ数年間では、生産量が徐々に回復基調を見せており、特に2023年には128,302トンと、歴史的に最高値に達しました。これは、新しい品種の導入や気候適応型農業の実践、輸出向けの生産強化政策が奏功した結果と考えられます。国際市場の需要増もナミビアの酪農業成長を支える要因です。
現在、ナミビア酪農セクターが直面している課題は、先進農業国、日本やアメリカのように生産量だけでなく、品質向上で競争力を高めることです。また、中国やインドといった大規模消費市場をターゲットに輸出するための物流インフラの改善が急務となります。さらに、慢性的な干ばつへの備えとして、持続可能な水資源管理や酪農技術を強化することも鍵となります。
今後の取り組みとして、ナミビア政府と国際機関が気候変動対策を共同で進めることが提案されます。例えば、地域内での灌漑システムのさらなる発展や牛乳貯蔵のための冷却インフラの強化、地域農家への補助金プログラムの拡充が必要です。同時に、気候変動の影響を受けにくい酪農品種や作物を育成するための研究開発を推進することも効果的でしょう。
結果的に、ナミビアの牛乳生産量は過去60年間に大きな変動を経験しましたが、近年の増加傾向は持続可能な政策の成果を示しています。その一方で、継続的な気候変動対策と経済インフラ強化が安定化の鍵を握ると言えるでしょう。これにより、ナミビアは国内の食糧安全保障向上だけでなく、国際市場での競争力も大幅に高めることが期待されます。