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ナミビアのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ナミビアのトウモロコシ生産量は1961年時点で20,000トンでしたが、近年では大きく増加し、2022年には98,824トンに達しました。この長期間のデータは、トウモロコシ生産が一貫して増加しているように見える一方で、気候条件や地政学的要因などにより生産量が急激に変動する時期があることも示しています。例えば、1980年代半ばや1990年代には大きな減少が見られますが、2010年代後半からは堅調な増加傾向が見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 105,609
6.87% ↑
2022年 98,824
26.49% ↑
2021年 78,127
29.9% ↑
2020年 60,142
33.65% ↑
2019年 45,000
-24.05% ↓
2018年 59,253
-16.59% ↓
2017年 71,037
62.89% ↑
2016年 43,611
-21.94% ↓
2015年 55,871
-0.2% ↓
2014年 55,985
39.96% ↑
2013年 40,000
-54.34% ↓
2012年 87,600
62.83% ↑
2011年 53,800
1.37% ↑
2010年 53,071
-7.41% ↓
2009年 57,320
-1.34% ↓
2008年 58,101
4.64% ↑
2007年 55,523
-8.76% ↓
2006年 60,853
49.43% ↑
2005年 40,723
44.18% ↑
2004年 28,244
-2.24% ↓
2003年 28,891
3.92% ↑
2002年 27,800
0.36% ↑
2001年 27,700
-12.2% ↓
2000年 31,550
67.33% ↑
1999年 18,855
5.57% ↑
1998年 17,860
-63.89% ↓
1997年 49,460
160.04% ↑
1996年 19,020
3.2% ↑
1995年 18,431
-54.86% ↓
1994年 40,834
60.13% ↑
1993年 25,500
137.98% ↑
1992年 10,715
-79.07% ↓
1991年 51,185
79.45% ↑
1990年 28,523
17.01% ↑
1989年 24,377
52.6% ↑
1988年 15,974
135.64% ↑
1987年 6,779
-70.41% ↓
1986年 22,907
163.3% ↑
1985年 8,700
-75.14% ↓
1984年 35,000
2.94% ↑
1983年 34,000
6.25% ↑
1982年 32,000 -
1981年 32,000 -
1980年 32,000
6.67% ↑
1979年 30,000 -
1978年 30,000
3.45% ↑
1977年 29,000
7.41% ↑
1976年 27,000 -
1975年 27,000
3.85% ↑
1974年 26,000
4% ↑
1973年 25,000
4.17% ↑
1972年 24,000
4.35% ↑
1971年 23,000 -
1970年 23,000 -
1969年 23,000 -
1968年 23,000
4.55% ↑
1967年 22,000 -
1966年 22,000 -
1965年 22,000
4.76% ↑
1964年 21,000 -
1963年 21,000 -
1962年 21,000
5% ↑
1961年 20,000 -

ナミビアのトウモロコシ生産量の推移を振り返ると、いくつかの重要な特徴が明らかになります。まず、1961年から1970年代半ばにかけて、生産量は非常に緩やかな増加を見せていましたが、1970年代後半からはやや顕著な伸びが確認できます。この時期には農業技術の向上や農地拡大が背後にあると考えられます。1980年代には生産量の変動が激しく、大幅な減少が見られる年もありますが、これは干ばつや洪水などの気象災害の影響が主要な原因と考えられます。

特に1985年(8,700トン)や1987年(6,779トン)といった年の急激な生産減少は、ナミビアが抱える気候の不安定性を象徴しています。一方で1990年代後半から2000年代初頭にかけて、政策や灌漑などのインフラ整備が進んだことで生産の回復が進み、その後2012年には87,600トンという記録的な高水準に達しました。ただしその後も気象条件による大幅な変動が度々見られます。

近年のデータを見てみると、2010年代後半から2022年にかけて、堅調な増加が続いていることがわかります。この増加の背後には、持続可能な農業技術の導入や気候変動に対する適応策の一環として灌漑や作物の多様性を推進する取り組みがあると考えられます。また、2022年の98,824トンという数値は過去最多であり、この点からも政府の農業政策や国際的支援の成果が見て取れます。

しかし、ナミビアのトウモロコシ生産にはいくつかの課題も残されています。気候の変動に依存する生産体制は構造的な弱点であり、干ばつや洪水といった自然災害が頻発すると再び生産量が激減するリスクがあります。また、コロナ禍の影響で一時的に労働力や物流が停滞し、生産農家が安定的な作物供給を行うことが難しくなる可能性も今後の懸念材料です。

今後の改善策としては、気候変動への適応力をさらに高めるため、灌漑施設や気象予測技術のさらなる整備を推進することが必要です。また、高温や乾燥に強いトウモロコシ品種の開発に投資することも有効です。さらに、地域間協力の枠組みを通じて、周辺諸国と情報や技術を共有し、気候変動リスクを共同で管理することもその一環として期待されます。

地政学的背景も重要な視点です。ナミビアは南部アフリカに位置しており、周辺国と比較しても降水量が少ない地域に分類されます。このため、農業生産を優先課題とする一方で、南部アフリカ開発共同体(SADC)など地域機関と協力して食糧安全保障問題に対応する必要があります。

これらを踏まえ、ナミビアはトウモロコシ生産において過去の教訓を活かしながら持続可能な農業を発展させることが求められています。特に気候変動に強い形での生産基盤の強化が、長期的な安定供給と経済成長につながる重要なポイントです。