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ナミビアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国連食糧農業機関)が提供する最新データによると、2023年におけるナミビアの羊肉生産量は8,804トンで、近年の回復傾向が見られます。このデータは1960年代からの長期間にわたる推移を示しており、一時的な増加や大きな減少の繰り返しが確認されています。特に、1992年や1995年、2020年以降の低迷が目立ちます。一方、1960年代後半から1970年代初頭にかけては安定した増加が続き、1979年には16,000トンという過去最大のピークを記録しました。これらの変化は、気候条件、経済状況、および地政学的要因など複数の要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 8,804
29.4% ↑
2022年 6,804
2.26% ↑
2021年 6,654
1.57% ↑
2020年 6,551
-17.45% ↓
2019年 7,936
-5.36% ↓
2018年 8,385
-2.55% ↓
2017年 8,605
-4.47% ↓
2016年 9,007
-9.22% ↓
2015年 9,923
-13.87% ↓
2014年 11,520
-12.72% ↓
2013年 13,200
4.76% ↑
2012年 12,600
-1.41% ↓
2011年 12,780
4.41% ↑
2010年 12,240
1.49% ↑
2009年 12,060 -
2008年 12,060
4.69% ↑
2007年 11,520
8.47% ↑
2006年 10,620
11.32% ↑
2005年 9,540
44.04% ↑
2004年 6,623
-18.23% ↓
2003年 8,100
7.14% ↑
2002年 7,560
51.69% ↑
2001年 4,984
-61.11% ↓
2000年 12,816
-4% ↓
1999年 13,350
238.15% ↑
1998年 3,948
-29.63% ↓
1997年 5,610
33.57% ↑
1996年 4,200
36.36% ↑
1995年 3,080
-50.28% ↓
1994年 6,195
-2.66% ↓
1993年 6,364
6.17% ↑
1992年 5,994
-45.11% ↓
1991年 10,920
10.98% ↑
1990年 9,840
-1.8% ↓
1989年 10,020
5.26% ↑
1988年 9,519
20.49% ↑
1987年 7,900
-20.2% ↓
1986年 9,900
12.5% ↑
1985年 8,800 -
1984年 8,800
10% ↑
1983年 8,000
-16.67% ↓
1982年 9,600
-14.29% ↓
1981年 11,200
-28.57% ↓
1980年 15,680
-2% ↓
1979年 16,000
5.26% ↑
1978年 15,200
5.56% ↑
1977年 14,400
12.5% ↑
1976年 12,800
-11.11% ↓
1975年 14,400
5.88% ↑
1974年 13,600
6.25% ↑
1973年 12,800
2.56% ↑
1972年 12,480
2.63% ↑
1971年 12,160
1.33% ↑
1970年 12,000
1.35% ↑
1969年 11,840
1.37% ↑
1968年 11,680
1.39% ↑
1967年 11,520
-2.7% ↓
1966年 11,840
1.37% ↑
1965年 11,680
1.39% ↑
1964年 11,520
2.86% ↑
1963年 11,200
9.38% ↑
1962年 10,240
6.67% ↑
1961年 9,600 -

ナミビアの羊肉生産は歴史的に見て、自然環境や経済的・社会的条件の影響を大きく受けてきました。1960年代から1970年代にかけては、農業技術の改善や生産効率の向上により、羊肉の生産量が比較的安定して増加しました。この期間は降水量が比較的安定し、牧草地の状態が良好だったことがその背景にあります。1979年には16,000トンと、生産量のピークに達しました。これは、ナミビアの地理的条件が羊の放牧に適しており、農畜産業が拡大していた時期でもあります。

しかし、1980年代以降になると状況は一変します。降水量の減少や干ばつの長期化による農地環境の劣化、さらには政治的不安や経済の停滞が生産に影響を与えました。特に、1990年代は羊肉生産量が不安定で、1995年には3,080トンという著しく低い数値が記録されています。この時期は独立後の経済移行期に該当し、土地の所有権問題や農業政策の変化が生産体制に混乱をもたらしたと推測されます。

2000年代に入ると、羊肉生産量がやや持ち直す傾向が見られるものの、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響により再び低迷し、6,551トンまで減少しました。この要因としては、感染症対策のための移動制限や国際市場での輸出需要の減少、加えて気候変動による持続的な干ばつが挙げられます。しかしながら、2023年には8,804トンまで回復しており、これは輸出市場の回復や、効率的な牧畜技術の導入による生産性向上が影響していると考えられます。

今後の課題として、ナミビアは持続的で効率的な畜産体制を構築する必要があります。気候変動の影響によって持続可能な放牧が困難になりつつある状況では、羊の飼育方式の多様化や技術革新が急務です。他国の事例として、中国では集約型の飼育システムを採用し、オーストラリアでは気候に適応した牧草の品種改良を進めることで、環境に合わせた生産を実現しています。ナミビアもこれを参考に、従来の放牧に代わるシステムの導入や、持続可能な土地管理の拡大を検討するべきでしょう。

さらに、輸出市場の拡大も長期的な成長戦略として考えられます。ナミビアの羊肉は上質で、国際市場での需要があります。しかし、市場アクセスの向上にはインフラ整備や国際的な取引枠組みの拡大が必要です。また、地域的な課題として、気候変動に伴う干ばつリスクを軽減するために、南部アフリカ地域での協力体制の強化が求められます。たとえば、既に一部機関が進めている干ばつ早期警報システムの共有や、農民支援のための緊急資金の確保が効果的と考えられます。

結論として、ナミビアの羊肉生産量の推移は、環境的要素と社会・経済的要因の双方に大きく依存しています。今後の持続可能な成長のためには、気候変動への対応を中心としつつ、国際協力や技術革新に焦点を当てた政策を推進することが重要です。地域協力や農業関連技術の導入、そのための国際支援を受けることが、ナミビアの牧畜業をより強固にし、農村経済全体の安定にも寄与するでしょう。