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アンゴラのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アンゴラのコーヒー豆生産量は1960年代から2022年までの間に大きな変動を見せています。1960年代には年間20万トン超の生産量を誇っていましたが、その後の情勢変化により急激に低下し、2022年には16,767トンとやや回復傾向が見られるものの、1960年代のピークには遠く及んでいません。このデータはアンゴラの農業、経済、社会情勢の変化を反映しており、今後の復興と成長の可能性について示唆を与えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 20,071
19.71% ↑
2022年 16,767
62.72% ↑
2021年 10,304
-22.45% ↓
2020年 13,288
0.02% ↑
2019年 13,286
0.43% ↑
2018年 13,228
-2.32% ↓
2017年 13,543
-7.74% ↓
2016年 14,680
-2.14% ↓
2015年 15,000
-0.06% ↓
2014年 15,009
19.59% ↑
2013年 12,550
6.9% ↑
2012年 11,740
15.19% ↑
2011年 10,192
2.42% ↑
2010年 9,951
-16.95% ↓
2009年 11,982
199.55% ↑
2008年 4,000
-65.29% ↓
2007年 11,523
130.46% ↑
2006年 5,000
42.86% ↑
2005年 3,500
76.77% ↑
2004年 1,980
-2.94% ↓
2003年 2,040
61.9% ↑
2002年 1,260
-61.82% ↓
2001年 3,300
-22.54% ↓
2000年 4,260
29.09% ↑
1999年 3,300
-35.29% ↓
1998年 5,100
32.81% ↑
1997年 3,840
36.17% ↑
1996年 2,820
-14.55% ↓
1995年 3,300
52.78% ↑
1994年 2,160
-53.25% ↓
1993年 4,620
-7.6% ↓
1992年 5,000 -
1991年 5,000 -
1990年 5,000
-50% ↓
1989年 10,000
-9.09% ↓
1988年 11,000
26.44% ↑
1987年 8,700
-41.22% ↓
1986年 14,800
23.33% ↑
1985年 12,000
-20% ↓
1984年 15,000
15.38% ↑
1983年 13,000
-25.29% ↓
1982年 17,400
-15.7% ↓
1981年 20,640
-52.29% ↓
1980年 43,260
149.48% ↑
1979年 17,340
-49.48% ↓
1978年 34,320
-39.85% ↓
1977年 57,060
-0.73% ↓
1976年 57,480
-68.07% ↓
1975年 180,000
-19.92% ↓
1974年 224,772
7.03% ↑
1973年 210,000
-6.67% ↓
1972年 225,000
-1.32% ↓
1971年 228,000
11.76% ↑
1970年 204,000
-5.12% ↓
1969年 215,000
8.59% ↑
1968年 198,000
-15.82% ↓
1967年 235,200
4.21% ↑
1966年 225,700
10.1% ↑
1965年 205,000
3.43% ↑
1964年 198,200
17.77% ↑
1963年 168,300
-9.03% ↓
1962年 185,000
9.73% ↑
1961年 168,600 -

アンゴラはかつて、コーヒー生産国として世界的に名を馳せていました。1960年代にはコーヒー豆の生産量が年間20万トンを超え、一部の年では約23万トンに達していました。この当時、アンゴラは主要なコーヒー輸出国として国際市場に大きな影響を及ぼしていました。しかし1970年代半ばから急激に生産量が落ち込み、1980年代以降、年間1万トン以下にまで減少しました。特に1990年代には生産量が年間数千トン程度まで落ち、事実上の低迷期に入りました。

この生産量の推移に大きく影響した要因として、1975年以降の独立に伴う政情不安や内戦の勃発、農業インフラの崩壊が挙げられます。内戦は2002年まで続き、生産の中心であったプランテーション農園が破壊され、多くの農民が他の産業への転換を余儀なくされました。また、農地の放棄や地雷の埋設が農業生産の復興を遅らせる原因となりました。これらの影響で、コーヒー産業は壊滅的な打撃を受け、その回復には長い時間がかかりました。

しかし、2000年代以降は内戦の終結に伴い、少しずつコーヒー生産量が回復の兆しを見せ始めました。各年の生産量を見ると、2007年には11,523トン、そして2022年には16,767トンとなり、過去数十年の中では比較的高水準に達しています。この回復は、政府主導の復興プロジェクトや国際機関からの支援、生産技術の改善、そして持続可能な農業への取り組みを背景としています。しかしながら、この数値は1960年代の生産量と比較すると、依然として大きな差があります。

他のコーヒー生産国との比較をすると、例えばブラジルやベトナムのような大規模なコーヒー生産国家では年間200万トン以上が生産されており、これは現在のアンゴラの規模を大きく上回っています。一方で、アンゴラのような他のアフリカ諸国、特にエチオピアやウガンダと比べると、その生産量は依然として控えめであり、国際市場での影響力は限定的です。

このデータが示している未来に向けた課題として、農業インフラの再建、国際市場との連携強化、品質向上への注力が挙げられます。具体的には、老朽化した育苗施設の整備、農業従事者への技能訓練の実施、地雷除去活動の加速といった施策が必要です。また、アンゴラ産コーヒーの魅力を国際市場に訴求するため、ブランド化戦略や有機認証の取得も検討すべきです。

さらに地政学的な背景として、アンゴラは豊富な天然資源に恵まれている一方で、他国からの経済的依存が大きく、コーヒーの復興に向けた安定した投資環境の確保も重要な課題です。特に地域紛争や経済ショックに対する耐性を強化し、農業以外の収入源に依存してきた経済構造の多角化を併せて進める必要があります。

結論として、アンゴラのコーヒー生産量は長い低迷期を脱しつつあるものの、依然課題が山積しています。将来的な復興には、国際協力の強化や持続可能な農業方法の導入、農民の生活向上策を含む包括的なアプローチが求められます。そしてこれによって、かつてのコーヒー大国としての地位を部分的にでも取り戻すことが期待されます。