Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、イラン(イスラム共和国)の柿生産量は1961年の20トンから、2023年には30,652トンにまで増加しました。この間には大幅な増加や減少を伴う変動が見られ、とりわけ1990年以降は大幅な成長が見られます。ただし、近年は生産量が30,000トン前後でほぼ横ばい状態にあることが特徴的です。
イラン(イスラム共和国)の柿生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 30,652 |
0.59% ↑
|
2022年 | 30,472 |
-1.07% ↓
|
2021年 | 30,801 |
0.39% ↑
|
2020年 | 30,683 |
2.51% ↑
|
2019年 | 29,931 |
-5.85% ↓
|
2018年 | 31,790 |
4.83% ↑
|
2017年 | 30,327 |
9.58% ↑
|
2016年 | 27,676 |
-19.56% ↓
|
2015年 | 34,405 |
19.05% ↑
|
2014年 | 28,899 |
46.51% ↑
|
2013年 | 19,725 |
58.71% ↑
|
2012年 | 12,428 |
21.84% ↑
|
2011年 | 10,200 |
0.01% ↑
|
2010年 | 10,199 |
0.01% ↑
|
2009年 | 10,198 |
6.82% ↑
|
2008年 | 9,547 |
-11.76% ↓
|
2007年 | 10,820 |
34.28% ↑
|
2006年 | 8,058 |
-25.74% ↓
|
2005年 | 10,851 |
38.18% ↑
|
2004年 | 7,853 |
-8.34% ↓
|
2003年 | 8,567 |
17.03% ↑
|
2002年 | 7,320 |
5.96% ↑
|
2001年 | 6,909 |
58.95% ↑
|
2000年 | 4,347 |
-30.05% ↓
|
1999年 | 6,214 |
-9.33% ↓
|
1998年 | 6,853 |
0.58% ↑
|
1997年 | 6,814 |
20.9% ↑
|
1996年 | 5,636 |
51.28% ↑
|
1995年 | 3,726 |
47.21% ↑
|
1994年 | 2,531 |
56.3% ↑
|
1993年 | 1,619 |
68.65% ↑
|
1992年 | 960 |
22.15% ↑
|
1991年 | 786 |
-15.03% ↓
|
1990年 | 925 |
131.25% ↑
|
1989年 | 400 |
300% ↑
|
1988年 | 100 |
122.22% ↑
|
1987年 | 45 |
-4.26% ↓
|
1986年 | 47 |
-21.67% ↓
|
1985年 | 60 |
-40% ↓
|
1984年 | 100 |
-33.33% ↓
|
1983年 | 150 |
-40.48% ↓
|
1982年 | 252 |
180% ↑
|
1981年 | 90 |
38.46% ↑
|
1980年 | 65 | - |
1979年 | 65 |
8.33% ↑
|
1978年 | 60 | - |
1977年 | 60 | - |
1976年 | 60 | - |
1975年 | 60 |
100% ↑
|
1974年 | 30 | - |
1973年 | 30 | - |
1972年 | 30 | - |
1971年 | 30 |
20% ↑
|
1970年 | 25 | - |
1969年 | 25 | - |
1968年 | 25 |
25% ↑
|
1967年 | 20 | - |
1966年 | 20 | - |
1965年 | 20 | - |
1964年 | 20 | - |
1963年 | 20 | - |
1962年 | 20 | - |
1961年 | 20 | - |
1961年に20トンから始まったイランの柿の生産量は、当初数十年間はわずかな変動しかなく、主に20~60トン付近で推移していました。しかしながら、1980年代に入り急激な変化が見られるようになり、特に1982年には252トン、その後1989年には400トン、1993年には1,619トンと急激な増加を示しました。この時期の成長は、農業技術の進歩や品種改良の導入、灌漑技術の改善が大きく寄与したと考えられます。
1994年から1997年にかけては、わずか4年間で2,500トンから6,814トンにまで増加するという非常に大きな成長が見られました。この飛躍的な生産量の増加は、国内での農業政策の転換、輸出向け作物としての地位向上、および気候条件の改善が影響した可能性があります。その後も2000年の一時的な減少(4,347トン)を除き、概ね増加傾向が続きました。
2013年に19,725トンを記録して以降、さらに急成長を迎え、2015年には34,405トンというピークを迎えました。ただし、2016年以降は生産量が低下し、一部の年を除いて30,000トン付近での横ばい傾向が続いています。この背景には、気候変動の影響や水資源不足、特にイランの主要農業地域での資源争奪が影響していると考えられます。
イランでは農業が経済の大きな部分を占めており、柿の生産も例外ではありません。近隣諸国や国際市場への輸出が期待される一方で、水不足や作物の病害などの課題があります。国は灌漑の効率化や新たな耐病品種の開発などの取り組みを進めることが不可欠です。
同じ時期における他の柿生産国、たとえば中国や韓国、日本などでは、安定した大規模生産を可能にするための農業技術が進んでいます。特に中国は世界最大の柿生産国で、1200万トン以上にのぼる生産量を記録しています。これらの国家と比較しても、イランの柿生産量は依然として小規模ではありますが、効率的な技術革新を行うことで競争力を高める余地があります。
さらに、地政学的リスクもイランの農業成長に影響を及ぼします。地域紛争や水資源を巡る外交関係の悪化は、柿を含む農産物の生産効率や輸出先の選択肢に影響を与える可能性があります。例えば、近年イランは経済制裁やサプライチェーンの混乱を経験しており、これも農産物の国際市場へのアクセスを難しくしています。
今後、イランが柿の生産をさらに発展させるためには多岐にわたる分野で取り組みが求められます。その中でも、第一に重要なのは持続可能な農業資源管理を行うことです。水不足に対応するためには、節水灌漑技術の普及が必要です。また、国内外の市場開拓のためのインフラと物流網の整備、さらには高付加価値型の加工柿製品の開発が戦略の中心となるでしょう。
最後に、政府や国際的な農業機関が地元農家を支援するための知識と技術の提供を強化することが重要です。国際市場で競争力を持つためには、持続可能性に重きをおいた農業生産体制を築き、環境変化に適応した戦略を進める必要があります。