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イラン(イスラム共和国)のクルミ(胡桃)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、イランのクルミ生産量は経年的に大きな増加を遂げ、一部の年では減少が見られたものの、2023年には380,999トンにまで到達しました。特に1970年代以降の急激な生産量の伸びは注目に値し、1990年代後半から2000年代にかけては着実に生産力が強化されていることが確認できます。しかし近年では、一部の年で変動が見られることから、安定供給の課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 380,999
7.31% ↑
2022年 355,040
-7.81% ↓
2021年 385,125
4.91% ↑
2020年 367,086
14.33% ↑
2019年 321,074
5.6% ↑
2018年 304,040
-22.75% ↓
2017年 393,598
12.72% ↑
2016年 349,192
-16.86% ↓
2015年 420,000
4.18% ↑
2014年 403,158
81.1% ↑
2013年 222,610
-21.73% ↓
2012年 284,421
1.48% ↑
2011年 280,275
4.53% ↑
2010年 268,135
-4.15% ↓
2009年 279,742
7.45% ↑
2008年 260,355
-13.15% ↓
2007年 299,789
-18.41% ↓
2006年 367,445
48.24% ↑
2005年 247,864
47.26% ↑
2004年 168,320
-17.85% ↓
2003年 204,883
15.32% ↑
2002年 177,673
9.11% ↑
2001年 162,838
25.96% ↑
2000年 129,276
-9.54% ↓
1999年 142,906
-1.54% ↓
1998年 145,145
16.87% ↑
1997年 124,196
9.73% ↑
1996年 113,185
-5.06% ↓
1995年 119,218
1.71% ↑
1994年 117,218
5.77% ↑
1993年 110,819
55.56% ↑
1992年 71,237
10.47% ↑
1991年 64,486
44.97% ↑
1990年 44,482
-30.51% ↓
1989年 64,009
69.24% ↑
1988年 37,821
14.76% ↑
1987年 32,957
-19.48% ↓
1986年 40,930
30.26% ↑
1985年 31,422
36.64% ↑
1984年 22,996
6.4% ↑
1983年 21,612
18.77% ↑
1982年 18,197
39.98% ↑
1981年 13,000
116.67% ↑
1980年 6,000
100% ↑
1979年 3,000 -
1978年 3,000
-7.69% ↓
1977年 3,250
16.07% ↑
1976年 2,800
-9.68% ↓
1975年 3,100
-6.06% ↓
1974年 3,300
10% ↑
1973年 3,000
-6.25% ↓
1972年 3,200
-8.57% ↓
1971年 3,500
-12.5% ↓
1970年 4,000
-33.33% ↓
1969年 6,000 -
1968年 6,000
50% ↑
1967年 4,000
33.33% ↑
1966年 3,000
-25% ↓
1965年 4,000
33.33% ↑
1964年 3,000 -
1963年 3,000
-62.5% ↓
1962年 8,000 -
1961年 8,000 -

イランは世界有数のクルミ生産国であり、特に農林業が国の経済と地域住民の生活に密接に関わっています。データによると、イランのクルミ生産は1960年代には年間8,000トンから3,000トンという低い数値で推移していました。この時期は、おそらく農業技術やインフラの未発達、また地政学的な困難が要因として影響していたと考えられます。

1980年代になると、イランのクルミ生産量は劇的に増加を見せています。1984年には22,996トン、1989年には64,009トンと急速に拡大しており、この背景には農業技術の向上や、地域管理の合理化が挙げられます。しかし、この時期は長いイラン・イラク戦争の影響を受けており、戦争による農業資源への影響を乗り越える努力がなされていたことも要因と考えられます。

さらに、1990年代以降、イランのクルミ生産は経済構造の多様化に伴い、より高度な農業技術や投資の恩恵を受けました。2000年代に入ってからはさらに目を引く成長を遂げ、2005年には247,864トン、2006年には367,445トンという急成長が見られました。ただし、この間にも2008年や2010年など一部の年で生産量が落ち込んでおり、気候条件や農業支援政策の不一定が一因である可能性があります。

2010年代後半から2020年代前半にかけて、イランのクルミ生産量は安定成長を遂げていますが、2016年の349,192トンや2018年の304,040トンなど一部の年で減少が見られます。この現象には、水資源の枯渇や、気候変動の影響がある可能性があります。特にイランは降水量が限られている地域であり、農業用水の確保が生産における最重要課題といえるでしょう。また、近年では世界的な新型コロナウイルス感染症の流行も農業生産のサプライチェーンに影響を与えていると推測されます。

2023年には380,999トンと、過去のピークに近い生産量を記録しました。これは国内の農業政策の継続的な加速や市場の需要に応じた生産力の強化が反映されています。一方で、イランは依然として地域特有の課題に直面しており、水や土壌などの基盤資源の維持、及び近隣諸国との協調が求められています。

未来を見据えた対応策として、農業生産の気候変動への適応力を高めるため、例えば乾燥地向けの耐寒性クルミ品種の育成が急務です。また、水資源管理技術の高度化や、効率的な灌漑(かんがい)システムの構築に投資を拡大することが重要です。さらに、国内外の輸出市場の拡大を図るためには、品質認証体制の整備や、輸出ネットワークの強化も欠かせません。

結論として、イランのクルミ生産は過去数十年で著しい成長を遂げた一方で、自然災害や地政学的リスクなどの課題に直面しています。今後、生産の安定性を高め、国際市場での競争力を維持するためには、持続可能な農業政策の遂行と環境との調和が鍵を握るといえるでしょう。国際連合や隣国との協力関係を深めつつ、より持続可能な未来を目指す必要があります。