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中国のテンサイ(甜菜)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)による最新データによれば、中国のテンサイ(甜菜)の生産量は、1961年の796,700トンから2023年の9,160,200トンまで推移してきました。1970年代後半から1980年代には飛躍的な増加を見せ、1990年には14,524,513トンのピークを記録しました。その後、2000年代初頭には一時的な減少を経て、2010年代には再び安定した生産を見せています。ただし、近年の2021年以降には低下傾向もみられ、必要な政策対応が求められる局面にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,160,200
2.54% ↑
2022年 8,933,200
13.79% ↑
2021年 7,850,900
-34.49% ↓
2020年 11,984,000
-2.35% ↓
2019年 12,272,900
8.84% ↑
2018年 11,276,600
20.17% ↑
2017年 9,384,100
9.82% ↑
2016年 8,545,000
67.94% ↑
2015年 5,088,000
-36.4% ↓
2014年 8,000,400
-13.6% ↓
2013年 9,259,800
-21.13% ↓
2012年 11,740,400
9.41% ↑
2011年 10,730,800
15.43% ↑
2010年 9,296,200
29.49% ↑
2009年 7,179,000
-28.52% ↓
2008年 10,043,800
12.46% ↑
2007年 8,931,200
18.96% ↑
2006年 7,507,500
-4.74% ↓
2005年 7,881,100
34.56% ↑
2004年 5,857,100
-5.25% ↓
2003年 6,181,700
-51.78% ↓
2002年 12,819,900
17.74% ↑
2001年 10,888,600
34.87% ↑
2000年 8,073,500
-6.54% ↓
1999年 8,638,600
-40.28% ↓
1998年 14,466,100
-3.35% ↓
1997年 14,967,900
-2.9% ↓
1996年 15,415,500
10.24% ↑
1995年 13,984,000
11.64% ↑
1994年 12,525,600
3.96% ↑
1993年 12,048,200
-20.05% ↓
1992年 15,069,100
-7.49% ↓
1991年 16,289,400
12.15% ↑
1990年 14,524,513
57.14% ↑
1989年 9,243,277
-27.85% ↓
1988年 12,810,369
57.38% ↑
1987年 8,140,000
-2% ↓
1986年 8,306,000
-6.87% ↓
1985年 8,918,612
7.66% ↑
1984年 8,284,000
-9.78% ↓
1983年 9,181,600
36.79% ↑
1982年 6,712,000
5.53% ↑
1981年 6,360,000
0.87% ↑
1980年 6,305,000
102.99% ↑
1979年 3,106,000
14.95% ↑
1978年 2,702,000
10.02% ↑
1977年 2,456,000
-16.23% ↓
1976年 2,932,000
18.4% ↑
1975年 2,476,400
8.21% ↑
1974年 2,288,500
-14.56% ↓
1973年 2,678,500
15.33% ↑
1972年 2,322,400
9.28% ↑
1971年 2,125,100
1.06% ↑
1970年 2,102,800
-11.88% ↓
1969年 2,386,300
10.75% ↑
1968年 2,154,700
-17.16% ↓
1967年 2,601,000
-0.99% ↓
1966年 2,627,000
32.41% ↑
1965年 1,984,000
52.15% ↑
1964年 1,304,000
151.06% ↑
1963年 519,400
53.22% ↑
1962年 339,000
-57.45% ↓
1961年 796,700 -

中国におけるテンサイの生産量推移を見ると、1960年代には比較的低水準でしたが、1970年代後半以降に急激な増産が見られました。この背後には、中国の農業技術の進展や灌漑インフラの整備、そして政策的な農産物生産奨励策が寄与したと考えられます。特に1983年以降の大幅な増産は、農業分野への国家的な資源集中と需要増加に伴うものとされています。ピーク年である1990年には、14,524,513トンに達しました。

しかし、1990年代後半から2000年代初頭にかけての生産量低下は、農業生産における合理化の進展や都市化に伴う農地の減少、さらには市場の変動によるものと考えられます。この間、他の穀物や経済作物が優先され、相対的にテンサイの重要性が低下しました。その結果、2003年には6,181,700トンと大幅な減少を記録しました。

2010年代に入ると、生産量は比較的安定した兆しを見せましたが、2021年以降は再び減少傾向が際立っています。2021年の7,850,900トンは最近20年間での最も小規模な生産の一つでした。これは気候変動の影響や新型コロナウイルスによる物流の停滞、あるいは農業従事者の高齢化など複数の要因が絡み合った結果と推測されます。

テンサイは、砂糖生産の重要な原料であり、特に中国の北部地域での栽培が盛んです。この作物は寒冷・乾燥地での栽培に適しており、中国東北部の広大な農地が供給拠点となっています。しかし、地政学的リスクや、近年の気候変動の影響もあり、収量管理が依然として課題となっています。例えば、旱魃や洪水といった極端な気象現象が、特に近年の収穫量の変動に大きな影響を与えた可能性があります。

また、他国との比較をすると、テンサイの世界的な主要生産国であるロシアやフランスに比べて、中国は国内使用量の多さから自国消費向けを優先する傾向があります。これは、世界市場での競争力を高める余地がある一方で、他国の輸出競争力に対して相対的な課題を抱えている現状とも言えます。

今後の課題としては、まず生産量のさらなる安定化が挙げられます。これは、新技術の導入や効率的な灌漑システムの構築を進めることで可能となるでしょう。また、気候変動への適応を目的とした品種改良や、収量に影響を与える害虫対策を強化することも求められます。さらに、農業従事者の世代交代を進めるために、若年層の農業参加を促す政策を策定することが重要です。たとえば、農村地域での生活基盤向上や農業教育プログラムの充実化などがその手段となり得ます。

国際的協力の枠組みをさらに活用し、特に気候変動に直面する砂糖生産国同士で情報共有や技術の交換を行うことも有用でしょう。これには、地域間協力を強化し、自然災害などのリスクに備える統合的な対策を推し進めることが含まれます。また、中国は砂糖輸出国としての競争力向上を図るため、国際貿易に関する戦略的な見直しも検討すべきです。

データが示している通り、中国のテンサイ生産量は歴史的に多くの変動を経ていますが、その一連の変化には、地政学的や経済的、さらには気候的な要因が密接に絡んでいます。これを踏まえ、中国は未来に向けて持続可能な農業構造を構築する必要に迫られています。それは単に国内での需要を満たす以上に、国際市場における影響力向上にも直結する重要な課題です。