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中国の桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新データによると、中国における桃(モモ)・ネクタリンの生産量は、1961年の43万トンから2023年の1,750万トンへと劇的な増加を見せています。この62年間で約40倍に拡大しており、中国は世界を代表する生産国としての地位を確実に築いています。特に、1990年代以降の急激な増産が顕著であり、ここ数年も持続的な成長が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,500,000
4.17% ↑
2022年 16,800,000
5% ↑
2021年 16,000,000
6.67% ↑
2020年 15,000,000
1.81% ↑
2019年 14,733,904
2.97% ↑
2018年 14,309,461
3.71% ↑
2017年 13,797,629
1.73% ↑
2016年 13,562,735
-0.57% ↓
2015年 13,640,032
9.79% ↑
2014年 12,423,700
4.19% ↑
2013年 11,924,085
4.32% ↑
2012年 11,430,347
4.07% ↑
2011年 10,983,028
3.97% ↑
2010年 10,563,969
4.17% ↑
2009年 10,141,200
6.36% ↑
2008年 9,534,351
5.33% ↑
2007年 9,051,775
10.19% ↑
2006年 8,214,790
7.75% ↑
2005年 7,624,207
8.75% ↑
2004年 7,010,985
14.03% ↑
2003年 6,148,100
17.54% ↑
2002年 5,230,436
14.65% ↑
2001年 4,561,893
19.2% ↑
2000年 3,827,000
-3.36% ↓
1999年 3,960,000
23.36% ↑
1998年 3,210,000
2% ↑
1997年 3,147,000
13.32% ↑
1996年 2,777,000
1.06% ↑
1995年 2,748,000
14.02% ↑
1994年 2,410,000
22.34% ↑
1993年 1,970,000
21.98% ↑
1992年 1,615,000
13.73% ↑
1991年 1,420,000
13.6% ↑
1990年 1,250,000
35.87% ↑
1989年 920,000
3.95% ↑
1988年 885,000
18% ↑
1987年 750,000
8.7% ↑
1986年 690,000 -
1985年 690,000
15% ↑
1984年 600,000
12.15% ↑
1983年 535,000
13.83% ↑
1982年 470,000
2.17% ↑
1981年 460,000
5.75% ↑
1980年 435,000
4.32% ↑
1979年 417,000
-8.55% ↓
1978年 456,000
16.92% ↑
1977年 390,000
-2.5% ↓
1976年 400,000
-6.98% ↓
1975年 430,000
-11.34% ↓
1974年 485,000
1.04% ↑
1973年 480,000
12.94% ↑
1972年 425,000
21.43% ↑
1971年 350,000
-6.67% ↓
1970年 375,000
4.17% ↑
1969年 360,000
-2.7% ↓
1968年 370,000
-2.63% ↓
1967年 380,000
-2.81% ↓
1966年 391,000
-5.78% ↓
1965年 415,000
7.79% ↑
1964年 385,000
-4.94% ↓
1963年 405,000
6.02% ↑
1962年 382,000
-11.16% ↓
1961年 430,000 -

中国の桃(モモ)・ネクタリンの生産量は1960年代から安定的に推移していましたが、1970年代に入ると徐々に増加が見られます。1975年を境に、生産量は約40万トン台を保ちながら増減を繰り返し、農業技術の発展や農地管理の改善が影響を与えたと推察されます。1980年代になると都市部の発展とともに果物需要が高まり、500,000トンを超える生産量に成長。特に1984年から1989年にかけては大きな伸びを示し、1989年には92万トンに達しました。

1990年以降、中国の農業政策と経済開放が生産拡大に寄与しました。とりわけ、一人っ子政策を始めとした人口管理政策や所得増加に伴い、果物の需要が著しく増加しました。この時期、生産量は100万トンを突破し、その後急激な成長を見せ、1994年には240万トンに到達。経済の急成長と農業の機械化が生産効率を押し上げた要因となりました。

2000年代にはさらなる増産が見られます。特に2004年から2010年にかけては平均10%以上の年成長率を記録し、2009年にはついに1,000万トンを突破しました。この背景には、政府による輸出奨励政策や農民の収入向上策が影響していると考えられます。加えて、国際市場での需要の高まりも寄与しており、中国産の桃とネクタリンは日本や韓国、アメリカ、ヨーロッパなど、多くの国に輸出されています。

2020年以降も中国の桃・ネクタリン生産量は増加を続け、2023年は1,750万トンという記録的な収穫に達しました。これは、中国の農業部門の技術進歩と同時に、灌漑施設導入や遺伝的改良による収量向上の結果です。しかし、新型コロナウイルス感染症がもたらした物流の課題や労働力不足にもかかわらず、この成長を維持した点は注目に値します。

一方で、このような急成長にはいくつかの課題も伴います。まず、生産規模の拡大に伴う環境負荷が挙げられます。農地の過剰利用や化学農薬・肥料の多用により、土壌の品質低下が懸念されています。また、特に乾燥部地域での無秩序な灌漑による水資源不足も深刻な問題です。さらに、国際市場への依存度増加に伴い、世界的な経済変動や貿易摩擦の影響を強く受けるリスクが見られます。実際に、近年の米中間の貿易摩擦は、輸出先政策の柔軟性の必要性を浮き彫りにしました。

今後、持続可能な農業を確立するためにはいくつかの具体的な対策が必要です。まずは、環境への負荷を低減する技術の導入が重要です。たとえば、精密灌漑技術の普及や有機肥料を中心とした農法の導入には即効性が期待できます。また、国内消費の拡大を図るため、桃とネクタリンを使用した新製品や加工食品の開発も有望な戦略です。さらに、こうした食品のプロモーション活動を強化することで、内需を支える基盤を作ることが求められます。

地政学的リスクに即した対応も欠かせません。例えば、地域主導の協力枠組みを活用し、東アジアやアセアン地域の隣国との貿易協力を深化させることで、輸出市場の多様化を進める必要があります。このほか、日本や韓国といった消費市場の潜在需要に更に目を向けることがリスク分散の一助となるでしょう。

全体として、中国の桃・ネクタリン生産はその規模と成長の裏にさまざまな課題を内包しています。しかし、技術革新や政策改善、そして地域協力を通じた持続可能な発展への転換により、中国は引き続きこの分野での主導的地位を保つことができると考えられます。国際的な農業と貿易のダイナミズムをうまく利用しながら、長期的な持続可能性を保証するモデルケースとなることが期待されます。