Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新の最新データによると、中国のネギ生産量は1961年の5,000トンから2023年には120,535トンに急増しました。このデータは、中国が農業生産性の向上と食糧の自給率強化に注力してきたことを示しており、長年にわたる成長の結果を反映しています。ただし、2015年以降の生産量は一部増減が見られ、安定した成長トレンドはやや鈍化している傾向が認められます。
中国のネギ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 120,535 |
1.35% ↑
|
2022年 | 118,931 |
-0.22% ↓
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2021年 | 119,190 |
0.15% ↑
|
2020年 | 119,012 |
0.35% ↑
|
2019年 | 118,592 |
-1.14% ↓
|
2018年 | 119,965 |
1.25% ↑
|
2017年 | 118,479 |
0.98% ↑
|
2016年 | 117,334 |
-6.88% ↓
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2015年 | 126,005 |
10.53% ↑
|
2014年 | 113,997 |
1.78% ↑
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2013年 | 112,000 |
1.82% ↑
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2012年 | 110,000 |
2.8% ↑
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2011年 | 107,000 |
3.58% ↑
|
2010年 | 103,300 |
3.3% ↑
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2009年 | 100,000 |
3.09% ↑
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2008年 | 97,000 |
2.11% ↑
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2007年 | 95,000 |
11.76% ↑
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2006年 | 85,000 |
13.33% ↑
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2005年 | 75,000 |
4.17% ↑
|
2004年 | 72,000 |
10.77% ↑
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2003年 | 65,000 |
14.04% ↑
|
2002年 | 57,000 |
14% ↑
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2001年 | 50,000 |
6.38% ↑
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2000年 | 47,000 |
6.82% ↑
|
1999年 | 44,000 |
4.76% ↑
|
1998年 | 42,000 |
10.53% ↑
|
1997年 | 38,000 |
3.08% ↑
|
1996年 | 36,865 |
1.59% ↑
|
1995年 | 36,290 |
0.8% ↑
|
1994年 | 36,000 |
5.88% ↑
|
1993年 | 34,000 |
6.25% ↑
|
1992年 | 32,000 |
16.08% ↑
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1991年 | 27,567 |
14.81% ↑
|
1990年 | 24,012 |
-19.96% ↓
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1989年 | 30,000 |
7.14% ↑
|
1988年 | 28,000 |
12% ↑
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1987年 | 25,000 |
25% ↑
|
1986年 | 20,000 |
5.26% ↑
|
1985年 | 19,000 |
26.67% ↑
|
1984年 | 15,000 |
25% ↑
|
1983年 | 12,000 |
20% ↑
|
1982年 | 10,000 |
11.11% ↑
|
1981年 | 9,000 |
-10% ↓
|
1980年 | 10,000 |
25% ↑
|
1979年 | 8,000 |
-11.11% ↓
|
1978年 | 9,000 |
12.5% ↑
|
1977年 | 8,000 | - |
1976年 | 8,000 | - |
1975年 | 8,000 |
2.56% ↑
|
1974年 | 7,800 |
4% ↑
|
1973年 | 7,500 | - |
1972年 | 7,500 |
7.14% ↑
|
1971年 | 7,000 | - |
1970年 | 7,000 | - |
1969年 | 7,000 |
7.69% ↑
|
1968年 | 6,500 | - |
1967年 | 6,500 |
8.33% ↑
|
1966年 | 6,000 | - |
1965年 | 6,000 |
3.45% ↑
|
1964年 | 5,800 |
16% ↑
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1963年 | 5,000 | - |
1962年 | 5,000 | - |
1961年 | 5,000 | - |
中国のネギ生産量は、1961年から2023年にかけて20倍以上の大幅な増加を記録しています。この数十年にわたる成果は、農業技術の革新、農地の効率的な利用、さらに地域ごとの気候や土壌に適した作物選定など、中国農業全体の改革の一環として表れたものと考えられます。特に1980年代後半から1990年代にかけて生産量が急激に増加しており、1986年の20,000トンから1999年の44,000トンまでの成長幅は目を見張るものがあります。この時期は、中国が社会主義市場経済への移行に伴い、農業部門の効率化と商品化を進めていた時期と一致します。
一方で2000年代以降、経済成長の追い風に乗りつつ中国のネギ生産量は拡大を続け、2010年代中盤には10万トンを超えました。しかし、2015年以降のデータを詳述すると、126,005トンを記録した2015年のピーク以降は微減または横ばいの状態が続き、2023年は120,535トンとなっています。これには、国内外の多様な要因が影響している可能性があります。例えば、都市化や労働力不足による農地や人材の減少、生産コストの上昇、さらには生産性向上の飽和などが挙げられます。また、新型コロナウイルスによるパンデミックが農業供給チェーンへ一時的な影響を与えたことも念頭に置く必要があります。
国際的に比較すると、中国はネギ生産量で世界のトップクラスであり、日本や韓国などネギの消費が多い近隣諸国への輸出の重要な供給源にもなっています。しかし、近年の生産量停滞は、国内での需要変化や供給の効率性低下の兆候としても読み取ることができます。特に気候変動や頻発する自然災害により農業生産が直接的な影響を受けるリスクが増しているため、持続可能な農業への転換が必要です。また、ネギの生産に関わる資源管理、例えば水資源や肥料の効率的利用も課題の一つと考えられます。
今後の対策として、地域間協力を強化し、農業技術のさらなる発展や低コストの生産方法の推進が挙げられます。また、国内市場だけでなく、海外市場をより意識した輸出戦略の整備にも注力する必要があります。例えば、農産物の輸出規制緩和や、高品質なネギ製品を求める国々への流通経路の開拓が有効です。さらに、気候変動に対応するための作物の多様性確保や環境への配慮を取り入れた生産体系への移行が、持続可能性の確保に向けた鍵となるでしょう。
結論として、中国のネギ生産量はこれまでの目覚ましい成長を経て、現在は停滞期に入りつつあります。この停滞を打破するためには、政府と民間の連携による政策支援や研究開発が必要です。これにより、国内外の需要に応える安定した供給体制を確保し、中国が引き続き世界的な農産物供給国としての地位を確立することが期待されます。