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中国の大麦生産量推移(1961年~2023年)

中国の大麦生産量は1960年代から一貫して変動を続け、2020年代に入っても安定的な増加には至りませんでした。過去のピークである1962年の5,940,000トンに比べて近年は1,900,000トン前後で推移しており、全体的には減少傾向が見られます。しかし、2018年以降、ある程度の回復を見せています。2023年には1,990,000トンを記録しましたが、停滞状況が続いている点が課題と言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,990,000
1.53% ↑
2022年 1,960,000
-8.15% ↓
2021年 2,134,000
4.81% ↑
2020年 2,036,000
1.24% ↑
2019年 2,011,000
-0.49% ↓
2018年 2,021,000
86.23% ↑
2017年 1,085,200
-18.07% ↓
2016年 1,324,598
-29.09% ↓
2015年 1,868,000
3.09% ↑
2014年 1,812,000
6.65% ↑
2013年 1,699,000
4.5% ↑
2012年 1,625,800
-0.69% ↓
2011年 1,637,100
-16.99% ↓
2010年 1,972,200
-14.93% ↓
2009年 2,318,300
-17.88% ↓
2008年 2,823,200
1.37% ↑
2007年 2,785,100
-11.01% ↓
2006年 3,129,600
-9.13% ↓
2005年 3,444,100
6.9% ↑
2004年 3,221,800
-0.85% ↓
2003年 3,249,500
-2.18% ↓
2002年 3,322,000
14.83% ↑
2001年 2,893,000
9.33% ↑
2000年 2,646,000
-19.82% ↓
1999年 3,300,000
-2.94% ↓
1998年 3,400,000
-21.17% ↓
1997年 4,313,000
0.7% ↑
1996年 4,283,000
-3.1% ↓
1995年 4,420,000
-1.78% ↓
1994年 4,500,000
8.43% ↑
1993年 4,150,000
-5.68% ↓
1992年 4,400,000
4.76% ↑
1991年 4,200,000
-3.94% ↓
1990年 4,372,288
45.74% ↑
1989年 3,000,000 -
1988年 3,000,000
7.14% ↑
1987年 2,800,000
11.11% ↑
1986年 2,520,000
-6.67% ↓
1985年 2,700,000
-18.18% ↓
1984年 3,300,000
10% ↑
1983年 3,000,000
-6.25% ↓
1982年 3,200,000
3.23% ↑
1981年 3,100,000
14.81% ↑
1980年 2,700,000
-25% ↓
1979年 3,600,000
5.88% ↑
1978年 3,400,000
13.33% ↑
1977年 3,000,000 -
1976年 3,000,000 -
1975年 3,000,000 -
1974年 3,000,000
3.45% ↑
1973年 2,900,000
7.41% ↑
1972年 2,700,000
-3.57% ↓
1971年 2,800,000
4.48% ↑
1970年 2,680,000
11.67% ↑
1969年 2,400,000 -
1968年 2,400,000
-20% ↓
1967年 3,000,000
7.14% ↑
1966年 2,800,000
-41.67% ↓
1965年 4,800,000
9.09% ↑
1964年 4,400,000
-2.22% ↓
1963年 4,500,000
-24.24% ↓
1962年 5,940,000
60.11% ↑
1961年 3,710,000 -

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年時点の中国の大麦生産量は約1,990,000トンであり、依然として歴史的なピーク時である1962年の生産量に遠く及びません。1960年代後半から大麦生産量は大きく減少を始め、1970年代を通じて一時的な安定が見られたものの、長期的には減少傾向が続いています。この動きには、農業の近代化や政策の変遷、国の産業構造の変化が大きく影響しています。

大麦の生産は、主にその需要と価値、そして他の穀物との競合に影響を受けます。たとえば、中国ではコメや小麦、トウモロコシといった他の主要穀物が大麦よりも優先的に栽培される傾向があります。これらの作物は、食料として使用されることが多く、政策の優先度も高いため、農地や資源がそちらに振り向けられています。また中国は、都市化が急激に進んだことで農地が縮小し、さらに農業従事者が減少するという課題にも直面しています。

2020年代に入り、大麦生産量には一定の回復基調が見られますが、グローバルな視点で見ると中国の生産量は依然として主要生産国に比べて低い水準にあります。これに関連して、中国はオーストラリアやカナダなど大麦の輸出大国から多くの輸入を行っています。こうした輸入依存は、国内生産の減少が貿易戦略や経済的安定に影響を与える点で課題となり得ます。

また、気候変動も中国の農業に重要な影響を及ぼしています。近年、中国では極端な気象現象や水不足が頻発しており、大麦の持続可能な生産を脅かしています。実際、大麦は比較的乾燥した気候でも育つ作物ではありますが、生長に適した条件が揃わなければ収量は低下します。このため、中国政府は農業技術の研究開発を強化し、より耐性の高い品種の開発を進める必要があります。

この現状を踏まえ、いくつかの具体的な示唆を提案します。一つ目は、持続可能な農業の推進に向けた技術革新です。中国の農業専門機関や大学との連携を通じ、耐候性作物の品種改良を加速させることが重要です。二つ目として、国際貿易の安定化に向けた戦略構築が求められます。他国からの輸入依存度を考慮しつつ、必要に応じて地域間での協力体制を構築することが効果的です。また、農業物流の効率化や、生産者の支援を充実させる補助金政策の導入も有効な手段となるでしょう。

結論として、中国の大麦生産量が減少傾向から脱却するためには、国内農業構造の改革や生産技術の進歩、さらには持続可能な農地利用計画が必要です。さらに、地政学的要因による輸入供給への影響を最小限に抑えるため、柔軟かつ長期的な対策を講じることが重要です。これらの取り組みは、大麦の安定供給のみならず、国内の食料安全保障や経済成長にも大きく寄与する可能性があります。